鬼三のSM小説
女衒の國 その七

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続女躰崩壊

この物語はフィクションであり、実在の人物、機関とは何ら関わりがありません。

 ここは日本を遠く離れたR国の奥地。日本人向け保養地で、高級温泉旅館を日本的佇まいに造られている。
 貸切露天風呂付客室で、二十代後半の細面、色白で上品な女性と、七十に届く男性の二人が太陽の下で濃厚に戯れている。
 「先生。私をこんな処にお誘いに成って、逃げたらどうするのです」
 「心配は要らない。真紀子さんの了解を得ている」
 女は男性の一物を細いしなやかな手で摘み、舌の先でじわじわと刺激を加える。
 女の印象深い黒い瞳は男性の表情を見上げている。女は積極的である。嫌々やっている印象はない。
 「日本では大雪が降って、空港も電車もストップだ」
 「それは珍しいことで」
 女は露天風呂の石底に膝を揃えて着き、男性は石の淵に腰掛けている。女は執拗に男性の棹を責める。
 男性はその舌戯に驚いている様子である。
 女は舌先で男性自身の鈴口に、のの字を書く様に舐め続ける。速度を上げたり落としたり巧みな技である。
 「どうします。このまま私の口で抜いてしまいますよ」
 「あんたの口に出せるとは夢のようじゃ」
 「それじゃあ。いいですね」
 女は亀頭のカリ首までを口に含む。中で亀頭の鈴口部分を丁寧にゆっくり舐める。
 一気に興奮は上がらない。徐々に高まるようにゆっくり舐める。
 女は片方の手で男性の手を自分の乳房に誘導する。
 「そろそろ果てるぞ」
 女は舐める速度を変えない。男性が果ててもまだ同じ速度で舐め続ける。
 男性は暫くそれに任せて、やがて軽く女の肩をたたく。官能が終わりきった合図である。
 女はようやく口を離す。男性の情液は既に口には無い。
 「飲んでくれたのか」
 「そんな吐き出すなんて」
 「今のようにしてくれると、官能が長く続いて気持ち良い」
 「悦んで頂けて」
 男性は満足そうに湯に浸かる。女は男性の背中に乳房を当てて一緒に浸かる。
 「どうします。ベッドの方に行きますか」
 「いや今ので暫くは」
 如何に精力的な政治家と雖も、今の歳で二回連続は厳しい。
 「それでは、お酒のご用意にいたしましょうか」
 「今はビールのほうが良いな」
 女は湯から上がった男性の体を丁寧に拭く。拭きながらも、時々乳首を当てる配慮を忘れない。
 下半身を拭くときは膝で男性の足を挟む。乳房は膝にべったり当たっている。仕上げに軽く唇を重ねて部屋の方に促す。
 「先生。今日は私から少しお願いがございますのよ」
 女は冷蔵庫からスタインラガーの小瓶を二本取り出す。それを冷やしたグラスに注ぐ。
 軽くグラスを合わせる。
 「何だ。願いとは」
 「今この国では現地の女性を売春に使っています。私は日本人の街の中だけで、日本人だけにするべきだと思います」
 「何故」
 「如何にこの国が今の政府の言い成りでも、この国の女性が売春を続ければ何れ批判が起きると思います」
 「外国人だけが限られたゾーンでやっている分には、非難は起き難いか」
 「ええ」
 「だが、この国では女を養殖しているではないか」
 「あれは総て娼国の国籍です」
 「そうか娼国も外国だな。それに立場も上だ」
 「それに、その大方が日本人の血になっています」
 「あんた。ここで商売始めたのか」
 「はい」
 「しかし、あんたの口からそんな言葉が出るとはな」
 「この温泉も私が経営しておりますのよ」
 「なんと!いつの間に」
 平佐和は驚きの目で市江廣子見詰める。
 「それで、日本から女性をからゆきさんさせるには、今の警察官僚の入れ替えが必要なのです」
 「うーん。俺に唾を吐いたあんたとは思えんな」
 「もう。その事は幾重にも私のこの躰でお詫び申し上げました」
 「いや。怒っては居らんよ。感心しとるんや」
 仲居が襖の外で声をかけて、軽い酒のつまみになる料理を運んで来る。
 「かなり大掛かりな事になるがな」
 「東京都知事を入れ替えるよりは簡単と思われますが」
 平佐和は唖然として市江廣子を見ている。
 「ところで此処は北側の勢力圏ではないのか、あんたがどうして此処に」
 「この度のお話、湯野中も北嶋もお金を出す所存でございます」
 「あの仲の悪い二人が賛同したと言うのか」
 「はい」
 「いったい誰が調整したんや」
 「私ではいけませんか」
 市江廣子は印象の強い目を輝かせている。
 この時、平佐和は初めて、これまでの市江廣子とオーバーラップして、悪女の本性を見た気がした。
 「うーん。あんたが一番悪党とは」
 平佐和は女の狡さを噛み締めたという表情である。
 「そんな。それには私は先生の足元にも及びません」
 「うーん。なんと。まあ。嫌とは言わんがな」
 「ありがとうございます」
 市江廣子はしんみり頭を下げて礼を述べる。
 「あんた湯野中を抱き込んだんか」
 「そんな」
 「このD市にも日本の工場が進出するらしいな」
 「はい。私が接待でたくさん戴いたお金で安く土地を買い集めまして、それなりに日本企業にお貸し致しまして、此処でお遊びいただきます」
 何と、総て利益にし尽くすと言わんばかりである。
 「まあ。よかろう」
 平佐和はにんまり笑っている。
 
 そこはR国でも南側。中央駅を見下ろして建つ新日本空輸ホテルである。
 一つのツインルームに集まって、日本人一団の会議が行われていた。
 「とにかく私は、米倉礼子さんの会社があんな不渡りを出すとは思えません。保証協会の融資も満額ではありませんでした」
 米倉礼子のライバル誌を経営する四十代の女社長若村真弓である。
 「闇金から借りる必要は無かった」
 警視庁組織対策課の木村史乃警部補である。
 「そうです。インターネット通販サイトが当たり、エクセレントも儲かっていました。R国進出に資金が要るにもあれだけの不渡りは考えられません」
 「それに滝澤沙緒里さんと、内山莉緒警部補の行方も解らないままです」
 国民党都議会議員河口晴奈である。
 「フリージャーナリストの新井弘樹も、DNAが米倉さんの遺体から確認されただけで、行方不明と同じだ」
 フリージャーナリストでカメラマンの飯星徳次郎である。
 「とにかく遺体が確認されたのは、米倉礼子社長と警視庁元警部の古館明さんだけ」
 「警視庁は内山莉緒警部補の行方を追求はしないの」
 「官房長から却下されたわ。きっちり圧力が掛かっている」
 「捜査依頼も出来ないのね」
 「偽名を使っていたので入国の事実は無いと。米倉さんの件は証拠物件まで提示されています」
 今回も河口晴奈と木村史乃警部補は偽名のパスポートで入っている。
 「元より捜査は出来ないし、捜査依頼をしても同じ答えに成るのは解っています。総て篠田茉莉さんの射殺から始まっています」
 「そうね。篠田茉莉さんの射殺は完全に向こうは正当化している」
 「今解っているのは全部T市で、行方不明又は殺されたかよ」
 「米倉さんも古館さんも殺害と判断するか」
 「そうとしか考えられません」
 若村真弓は飯星の疑問にきっぱり答える。
 「そう考えて捜査して、この国の闇を国際社会に浮き彫りにするのよ」
 「拉致ではなく自分から行っているので、日本政府が交渉することは無くても、そういう国の実態を浮き彫りにしてじわじわと国際社会に従わせるか」
 飯星の言葉は周囲に強い意思を感じさせる。
 「そう。それしかない」
 木村史乃警部補も賛同する。
 「この国も娼国も上部構造は大方が日系人だ」
 「そして日本企業、いや日系企業が経済の大部分を握っています」
 「娼国は99%日系人です」
 「そしてこの国から娼国が独立した形だが、実質は娼国が支配している」
 「その娼国は最近軍備を着々と整えています」
 「それは中国が南シナ海で暴挙に出るから、仕方ないとは言えるが」
 元警視庁警部補栗山秀樹である。亡くなった古舘明とは旧知の仲であった。
 「空母や日本のロボット技術を使って、ロボットの師団まで配備されていると言う噂も」
 「日本からの税金逃れだけでなく。やくざも売春も蔓延り放題。問題は日本女性がたくさん動員させられている事よ」
 「篠田茉莉さんはそれを追って、カメラ取材で射殺されたのね」
 「問題は凡てT市で起こっている。T市に行くべきね」
 「問題はT市に入る方法だ。鉄道は中央駅から海岸線にしか走って無い。高速道路はL字に走っているが途中迄で、そこからは悪路の一本道だ」
 飯星は慎重である。
 「そこをレンタカーで行けば」
 木村史乃警部補は現状を分析出来ていない。
 「それでは完全に潜入は察知される。T市に工場の在る日本企業のトラックと物資を輸送するトラック以外殆ど通らない」
 「現地の人は」
 「この国の人は殆ど移動はしない。自家用車が普及してない。大方が農民か漁民又は日本企業の工場で働いている」
 「では、日本企業のビジネスマンは」
 「移動はチャーターヘリだ」
 「空港も無いのね」
 「昨日降りた国際空港一つだけだ。あとは空軍基地が二つ。一番奥のD市に新しい二千メートルクラスの空港を建設中らしいが」
 「それで米倉さんはT市に家を買って、工場を誘致しようとしたのね」
 「日本企業の進出に見せかけて、全員が移動した」
 「それが直ぐにばれたという事ね。米倉さんの心中に見せかけた殺害まで僅か五日よ」
 「慎重に潜入しないと危険と言う事ね」
 「それ以前に、このホテルに居る事自体が危険なのではないか。古舘氏一行はこの反対側のセントラルホテルを使った」
 「ではどうします」
 「街の中の小さなホテルに移るべきだ」

 警察庁の木下優樹子警視から湯野中に連絡が入る。
 内山莉緒警部補と同じ課の木村史乃警部補が、休暇を取って姿を消したというのである。
 湯野中は娼国の村上副主席に連絡する。村上副主席が安形、真紀子、津島に通知する。
 真紀子は平佐和と通話中であった。
 「私が湯野中に何か提案しても反発します。彼女を間に挟むのが調度良いのですよ」
 「しかし。変われば変わるというか、青天の霹靂やな」
 「私も最初は驚嘆しました。でもその考え方が正しいと思います。元々経営感覚があったのですよ」
 「空港も計画されているらしいが、誰の案かな」
 「それも彼女が湯野中を説得したのですよ」
 「ふーん。何も無かったD市の土地を安く買い叩いて、政府に開発させて価値を上げて高く儲けるか」
 「あの先生。ちょっと問題が起きたようです。この間先生からご忠告頂いて片付けた日本からの刺客。その仲間がこちらに向かったようです」
 「うむ。奴らも執拗だな。益々廣子さんの考え通りかな」
 「先生、暫くそちらでお遊びに成っていて下さい。私はこれからT市に向かいます」
 「判った」
 電話を切ると市江廣子が座っている。
 「先生。上の特別なお座敷に鍋とお酒の御用意が出来ました」
 「おお。そうか」
 「さあどうぞ」
 エレベーターで最上階に案内されると其処は風呂場であった。風呂の中央に囲炉裏が設えてある。
 風呂の中に設えた石に座って、囲炉裏の鍋を頂く嗜好である。正面はガラス張りで外の景色が見渡せる。
 その先では既に空港の工事が着工している。
 天井はガラスのドームで、密閉から換気、露天まで調節が出来る。
 「これは素晴らしいな」
 「私も裸でお相手いたします」
 
 湯野中は指宿らを連れて、内山莉緒警部補を鉄格子から引き出す。既に拷問の準備は出来ている。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は下着一枚で、隣り合わせの独房に監禁されていた。
 「木村史乃警部補。知っているな」
 湯野中が詰問を始める。
 「それが」
 内山莉緒警部補は憮然としている。これまで散々玩具にされ尽くしている。
 「おまえと同じ課の同僚だ。こっちに向かったらしい」
 「だから」
 「こいつに協力する奴は他に誰が居るかな」
 「知らないよ。知っていても言う訳無いだろ」
 「そうは行かん。関係者全員を挙げてもらう。この国に入ったもの全部を捜査する」
 「知らない」
 「しゃべらないなら」
 湯野中の視線は内山莉緒警部補の全身を舐める。
 「躰に聞く」
 内山莉緒警部補はどうせやることは決まっていると憮然としている。
 「そうだ」
 「自白剤でも何でも使ったら、どうせ何も出て来ないよ」
 「随分自信満々だな。もう拷問慣れしたか」
 「違うよ。木村が何故こっちに来たかその意図さえ見当付かないよ。まして他の仲間が誰かなど」
 「まあいい。躰に聞くだけ聞いてみるだけだ」
 湯野中は指宿を促す。
 「親父。俺よりお嬢さんか北嶋副主席が適任だよ」
 「もうじき来るさ。それまで開帳台に固定して山芋漬けにしておけ」
 指宿は手を下さず部下を促す。
 内山莉緒警部補はこの拷問にもかなり慣れた。それでも表情は恐怖に引き攣っている。
 指宿の部下が四人がかりで内山莉緒警部補を開帳台に磔る。ただ一枚身に着けていたショーツは切り落とされた。
 内山莉緒警部補の女の部分に開口器が捻じ込まれる。
 「ううーーーん」
 湯野中はじっくり大和芋を擂っている。
 「無駄だよそんな事をしても。何にも知らないよ」
 「それでもよい。おまえの苦しむ顔は蜜の味だ」
 「畜生。人非人」
 大和芋を擂った汁を粘膜に流されると堪えられない痒みを起こす。痛み以上の拷問である。

 飯星徳次郎一行はホテルを出て、飯星が旧知の日本人マスターが経営する日本食レストランに入った。
 「そう言う事ならTS側に潜伏した方が安全だな。S市のホテルは全部完全に捜査される。此処も危険だ」
 マスターは長く商売している。国の内情にも詳しい。
 「何故。TSの方が安全なのですか」
 「この国で面倒なのは娼国派遣の警察員だ。それがTSには派遣されない。この国の市警だけなら、のんびりしていてたいした事は無い」
 「どうして、TSには娼国から派遣されないのだ」
 「北側の勢力圏だからだ」
 「どういうことですか」
 「この国には地図に描かれない。国際的にも知られていない支配者だけの境界線が有る」
 「その南側が娼国の支配下ということですか」
 「そう。娼国の安形、北嶋、村上の三つの資本下に有る。北は仁川前主席の資本を半分受け継いだ湯野中元副主席の資本下だ」
 「この二つは対立しているのだな」
 「微妙」
 「詳しく話して下さい」
 木村史乃警部補はつい警察官的な質問に成る。若い女の詰問するような言い方にマスターは少し嫌な表情を示す。
 「すまん。この人は警視庁の捜査官なのだ。職業柄からこんな言い方に成ってしまうのだ。許してくれ」
 飯星は木村史乃警部補を制してマスターに先を促す。
 「まず、軍と警察は南と北でまったく別の指揮系統だ」
 「では村上首相はどっち側なのだ」
 飯星にはこれまでの認識が崩れる最大の疑問である。
 「双方で祭り上げた傀儡政府だ。湯野中氏の資本下に有るが、村上娼国副主席の弟だ」
 「それでは、議会の勢力は」
 「五十対五十。議会もただのパフォーマンスだ。双方の話し合いで決まる。元は湯野中氏側が四十五市だったが、TSに繋がる五市が引き渡された」
 「どういう経緯でしょう」
 「娼国の北嶋副主席がR国内の麻薬栽培を廃絶する事を条件に、海に面したTSまでを譲って国内の勢力を均等にしたのだ」
 「問題はT市なのですが」
 「あれは北側だな。それも湯野中氏のお膝元だ」
 「それでもTSのほうが安全なのか」
 「南は、特にS市は外国人が多い。娼国の精鋭がやって来る。北側は軍と警察を統括する組織が有るが、普段は市長配下の市警任せだ」
 「そんなに現地の警察はのんびりしているのですか」
 「S市を除いて犯罪など無い。大方が平和ボケしている」
 「途上国なのに犯罪が少ないのですか」
 河口晴奈国民党都議会議員が疑問を挟む。
 「日本の様なホームレスや生活困窮者は居ない。安い売春が行き渡っているので性犯罪も殆ど無い。あまり追求もないが」
 「そんな。売春で治安が守られているなんて」
 河口晴奈はつい言葉を荒げてしまう。
 「止めろ」
 フェミニスト的不満をぶつける河口晴奈を飯星が制する。
 「何故この国の人達は移動することが少ないのですか」
 暫く黙っていた木村史乃警部補がやや低姿勢に尋ねる。
 「その市だけで総てが足りる上に移動手段が無い」
 農作物や漁業収穫は総て日系人が買い取ってくれる。コンビにもファミレスもどの市にも同じ様に存在する。
 流通の大方が日系人の手に委ねられている。
 農民、漁民以外も日系人の工場で働いて安定した収入が得られる。足りない分は海外から労働力を輸入する。
 そこに治安の乱れが起こりがちだが、労働力の輸入は一括して行われ、出入国から衣食住まで管理され、寮に押し込めて給与は出身国の家族に前金で払う。
 これを管理するのがR国の原住民となる。
 ここに制度化されない階級が自然に成立する。
 日系人、日本人が士農工商の武士と商人。現地人が農工。外国人労働力が、士農工商以下の穢多非人となる。
 これが逆にR国の治安を安定化させる。
 「でも、経済と治安が安定していて、生活苦が無いなら何故売春が存在するのですか」
 「この国では個人の売春は絶対規制、許可の無い法人も認められない。従事するのは売春専用に育てられた女と外国人だけだ」
 「そんな。売春専用なんて人身売買より酷い」
 「だが、三十五まで働けば相当の資産が出来る。大概は日本人向けマンションのルームオーナーに成って家賃収入で贅沢に暮らせる」
 「・・・・・」
 木村史乃警部補は驚きに言葉も出ない。
 「TSに知人の会社が持つ倉庫が有る。其処に落ち着いて先を考えてはどうかな。冷凍車の荷台で良ければ送って行くよ」
 「すまん」
 飯星はマスターの提案を呑む。
 
 娼国副主席北嶋真紀子がT市のリゾートホテルの地下に着いた。
 開帳台に固定された内山莉緒警部補は、痒みの苦しみにうめき声を上げている。苦しそうに躰を捩る姿は湯野中の生唾を充満させる。
 「駄目よ。こっちを責めても。もう一人の女を引き摺り出して」
 真紀子は確信を持って言い放つ。
 「ああーー。やめてーーーーーー。彼女は関係ありません」
 痒みに曝け出された膣をヒクヒクさせ苦しみ喘いでいる。実に官能的な姿である。
 「関係なくても、彼女が拷問に苦しむ姿を目前に、貴方がしゃべらなければ見殺しね」
 「ひどいですーーー。私も何にも解らないのですーー」
 内山莉緒警部補は痒みに苦しむ顔を歪めて言葉を搾り出す。
 「舌を噛まない様にこの女にギャグボールを嵌めて」
 「何故今更」
 「これまで自殺しなくても、同朋を苦しめると解れば舌を噛み切る危険はあるわ」
 「なるほど」
 指宿は間髪を許さず開口器で口を抉じ開けてギャグボールを突っ込む。
 「ぐおおーーーーーーーーーー」
 叫び声で抵抗する内山莉緒警部補の口にギャグボールはしっかり収まる。
 そこへ指宿の部下が滝澤沙緒里を連れて来る。こっちもショーツ一枚の無残な姿である。
 窶れては居ない。食生活と栄養補給は管理している。鉄格子にバスは付いている。アルコールも好みの食事も許される。
 性的玩具にされ、強制的に逝き顔を曝されるだけである。
 痛みを伴う拷問はこのところ受けていない。
 「余談だが、おまえらの卵子を六つ確保した。これを人工授精してお前らの娘を創る。将来の売春婦だ」
 「なん・・・・」
 滝澤沙緒里はあまりの事に口も利けない。内山莉緒警部補はギャグボールを嵌められている。
 台車に載せて厚さ五センチは有る平たい石が五枚運ばれる。一番上に十露盤板が載っている。
 「これがなんだか解るか」
 湯野中が十露盤板を床に置いて内山莉緒警部補に言う。
 「あうおぉおぉ」
 内山莉緒警部補はギャグボールの奥で唾液を飛ばして叫ぶ。
 「江戸時代の日本の拷問だ」
 指宿の部下が二人で滝澤沙緒里を高手小手に縛り上げる。
 そして十露盤板に座らせる。
 「ああーーーーーーー。あああーーーーーーーーーーーん」
 十露盤板は角材が角を上に向けて尖らせている。座るだけで向う脛がかなり痛い。
 「どうだ」
 ギャグボールを嵌めた内山莉緒警部補には、開帳台に小型のテーブルがセットされ紙と鉛筆が置かれる。
 右手を肘から先だけ戒めから開放する。
 だが、内山莉緒警部補は『ほんとに知らない』と書くだけである。
 湯野中の合図で指宿の部下が二人で石を運ぶ。
 「ああ。ああーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーん」
 滝澤沙緒里の恐怖の悲鳴が轟く。
 指宿の部下二人はそろりと石を、滝澤沙緒里の左右揃えて座った綺麗な膝に載せる。
 「あはあーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は痛みに悶え苦しみもがく。
 「ゃーめーぅぅぅてーーーぶぅぅぅ」
 内山莉緒警部補は涙を飛ばしてギャグボールの奥で悲痛に叫ぶ。耐え難い痒みに狂いそうになりながら、同朋の苦しみを救えない。
 無念の喘ぎに藻掻き続ける。
 そこへ津島から真紀子に電話が入る。
 「木村史乃警部補は新日本空輸ホテルにチェックインしたようだ。部屋を調べたが既に荷物は無かった」
 「チェックアウトはしてないの」
 「ない。他に四人一緒だったが荷物はどこも無い。五十代と思われる男性が二人。若い女性が一人。四十代くらいの女性が一人」
 「別々にチェックインしている筈よ。何故一緒と解るの」
 「防犯カメラにそのメンバーが、四十代の女性の部屋に集まるのが映っていた。全員で荷物を持って駐車場階から出ている」
 「危険を感じてどこかに移動したという感じね」
 「これから五人の画像を送る」
 送られてきた画像をプリントアウトして、痒みに苦しむ内山莉緒警部補の前に一枚ずつ翳す。
 内山莉緒警部補は痒みに躰を捩りながら、石抱きの痛みに苦しむ滝澤沙緒里に目をやりながら首を振る。
 湯野中は石をもう一枚追加するよう合図する。
 「ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 滝澤沙緒里はサイレンの様に甲高い声で、切迫した悲鳴を上げる。
 容赦なく指宿の部下は石を膝の上の石に重ねる。
 「ぐおお、お、お、おーーーーーーーーーーー。おぐおーーーーーーーー。ごおーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は圧迫と傷みに躰を震撼させ、藻掻き、脂汗を流して叫ぶ。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 遂にギャグボールが、内山莉緒警部補の口から押し出される。
 「やめろーーーーーーー。こんなのしなくても舌なんか噛まないよーーーーー。生き続けておまえらをいつか、・・いつか社会的に葬ってやるーーー」
 内山莉緒警部補は奇人の表情を破裂させる勢いで叫ぶ。
 「そうかい。お前のDMAを子々孫々、此処で売春婦にしてやる」
 湯野中は愉快そうに笑っている。
 「本当に知らないようね」
 真紀子もこれまでと判断する。
 「木下警視に紹介してみよう」
 十露盤板に苦しむ滝澤沙緒里の前にも翳すが反応は無い。
 指宿の部下が滝澤沙緒里の膝に載っていた石を退かすと、滝澤沙緒里は十露盤板の横に転げる様に倒れる。
 「おい。もう一つ働くんだよ」
 湯野中は滝澤沙緒里の顔をつま先で軽く蹴る。
 滝澤沙緒里は上目遣いに湯野中を見上げる。
 「こっちの婦警さんの痒みを癒してやんな。狂ってしまうぞ」
 今度は乳首を軽く蹴る。
 「ああ。莉緒」
 滝澤沙緒里は瞬時に、これまで散々虐められた痒みの究極の苦しみを内山莉緒警部補が受けている状況を悟る。
 痺れた脚を伸ばしたまま腰を捩りながら、手で前進して内山莉緒警部補を縛り付けた開帳台に歩み寄る。
 「ああーー。莉緒。いま助けるからね」
 滝澤沙緒里は開帳台の足を握り、内山莉緒警部補の太腿を掴んで、開帳台に上半身が攀じ登る様に近付く。
 真紀子が極太のドリルバイブを渡す。
 「ああ」
 滝澤沙緒里はその擬似男根の太さに眼を見張るが、直ぐ考え直して縦筋に近付ける。
 さすがに指宿の部下が滝澤沙緒里の腰を支えてやる。
 「莉緒。行くよ。いい」
 「ああ。お、お、おね、が、い」
 内山莉緒警部補は痒みの苦しみに恥も外聞も無い。滝澤沙緒里も、もうそれを充分に身に沁みている。
 痒みという苦しみを与えられて、散々焦らされて、ドリルバイブでイキ捲くる究極の羞恥を自ら受け入れさせられる。
 尋常では考えられない屈辱である。
 滝澤沙緒里が先端をねじ込むと、内山莉緒警部補は抵抗無く受け入れる。
 始動すると内山莉緒警部補は究極の叫びを上げ続け、失禁して潮を撒き散らし、最後は失神して痒みから逃れた。
 この上ない究極の官能場面である。

 TS市も空港付近の都心部を離れると、開発途上国さながらの風景になる。
 機械化農業が進んでいる耕作地帯を過ぎて、トラックターミナルを内包した倉庫の建物に着く。
 来る途中にマスターは此処の女社長に、携帯電話であらましの了解を取り付けていた。
 着くなり飯星らを女社長に引き渡す。
 女社長は速やかに二階奥の会議室に通す。
 「社長の盛高知里です。お話は総て伺っております。T市へは私が安全にお連れ致します」
 四十を過ぎているが美人の面影は残っている。ミニスカートから出た脚はまだ女を感じさせる。
 「ご迷惑をお掛けいたします」
 飯星は丁寧に挨拶をする。
 「いいのよ。これは私のささやかな報復の一環だから」
 「報復」
 「ゆっくり説明します。此処はT市の工場で作った商品を、東南部十六の市に在るコンビニに配送するセンターです」
 盛高知里はパソコンからプロジェクターで地図を映し出す。
 「T市から此処へは毎日何便も往復しています。帰りは一部TS市の養殖場から海産物を送っています」
 更にポインタをT市に置いて地図を拡大する。
 「あなた方の同朋がもし捕らえられていれば、このホテルの地下です」
 T市日本人居住区に在る大型リゾートホテルである。
 盛高知里は地図を航空写真に変換する。
 「その日本人居住区に入れるのですか」
 「それは皆さんの権利で此処に入れない限りは不可能です。中のコンビニに二トン車一台は毎日入っていますが便乗は無理です」
 「厳重な入出管理が有ると言う事ですか」
 「そうです。でも、休日で大きな宴会など無い日を狙って、このホテルの裏山側にある渓谷から進入は出来ます。宴会の有る日は市警の見張りが就きます」
 「このホテルの予約を取っても駄目ですか」
 「まず、此処で宴会を行うに不自然でない関連企業以外取れません。もし皆さんの中に警察関係者がいらしたら、既に情報は流れていると思います」
 「そんな。どうしてそんな事が解るのですか」
 木村史乃警部補は興奮を隠せない。
 「私は北側に於ける影の権力者、湯野中匡史の女でした。今もその報酬でこの会社を経営しております」
 「ええ」
 一同から驚きの声が上がる。
 「警察庁には湯野中の側近が、キャリアとして東京大学卒業以来就業しております」
 「な、な、なんと」
 一同の驚きは頂点に達した。
 「その人はいったい」
 木村史乃警部補は追求せずに居られない。
 「そこまでは」
 盛高知里は首を振っている。それ以上の情報は持っていなかった。
 「貴方は、今も湯野中氏の」
 「女と言っても湯野中の性奴隷でした。私の躰に女の価値が薄くなって解放されて今の立場です」
 「すると今でも湯野中氏の恩恵を受けていると言うこと」
 栗山秀樹はやや失言してしまう。
 「恩恵!とんでも御座いません。仕方なしに此処にいるのです。元は日本人でした。湯野中に強制的に帰化されました」
 盛高知里は怒りを露骨に顔に表している。
 「秘密を知り過ぎたからですか」
 飯星が質問の角度を変える。
 「そうです。湯野中に気に入られなければ、辛くてもハードコンパニオンを一年弱務めれば日本に帰れたのです」
 「そうでしたか。それが復讐の一環なのですね」
 「そうです。恨みこそあっても恩恵など。これを受けるしかないからそうしているだけです」
 「結婚も出来ないのですか」
 今度は河口晴奈都議会議員が尋ねる。
 「私は湯野中に子供を生めない躰にされました」
 「まあ」
 若村真弓は怒りと同情の表情である。
 「私に出来る事はあなた方をT市の工業団地の手前に有るビジネスホテルまでお送りします。そこからは徒歩で裏山を貫けるしかありません」
 今度は裏山の地図をプロジェクターに表示させる。
 「裏山と日本人居住区の地図。問題のホテル内部を私の知る限り詳細図にしています。こちらを御使い下さい」
 盛高知里はUSBメモリのデータと、人数分をプリントアウトしてくれた。
 
 鉄格子の中で夜遅くなってから、滝澤沙緒里が内山莉緒警部補に話しかける。内容を聞かれない様に手話を使う。
 手話は内山莉緒警部補が滝澤沙緒里にこの独房で過ごすために教えた。
 『一人は古舘さんの旧友。フリージャーナリストでカメラマンの飯星徳次郎さん。すごく慎重で調査取材の巧い人』
 『そういえば北嶋副主席は電話の向こうに、危険を感じてどこかに移動したという感じと言っていたわね』
 『もしかしたら救援に来てくれるかも』
 『そこまではどうかしら。ここに潜入は出来ないと思う』
 『そうかなあ』
 『ここに潜入出来て救い出してくれても、出国すら無理よ』
 『うーん』
 
 翌朝、滝澤沙緒里と内山莉緒警部補は鉄格子からまた引き摺り出された。
 全裸で宴会場の畳に座らされる。
 部屋の照明を落としてスクリーンに動画が流される。
 中東での内戦の取材映像である。
 真紀子は二人の人物がアップになったところで動画を静止する。
 そこには飯星徳次郎と滝澤沙緒里が映っている。
 「貴方はこの人を知らないといったわね。フリーカメラマンの飯星徳次郎を。でもこのように一緒に取材をしていたのよ」
 真紀子の口調は厳しい。
 「・・・・」
 「いつ連絡を取ったの」
 「取っていないよ。みんなそんな余地無かったよ。考えられるのは古舘さんだけだよ」
 「どうして。米倉が借りた日本人居住区は携帯の電波は繋がる筈よ」
 「でも、日本人居住区に入るまで携帯の電波はまったく繋がりません。着いて直ぐに古舘さんと久保田巡査部長に連絡した時は通じなかったのです」
 「嘘ではない様だ。こいつらが着いて直ぐに片瀬の家の前で身柄を押さえている。携帯で何度も通話をしていたが通じてなかったのも事実だ」
 指宿が当時の状況を振り返る。
 「そう。じゃ凡てあの狸親父ね」
 「まあ。良い。お前らは明日から米軍の接待に使う。ベイソン少将は日本人の躰に刺青がお好きだ」
 「えーーーー」
 「それだけではない。此処にスパイに来た日本人と聞いて、たっぷりお仕置き下さるそうだ」
 「酷い」
 「お前らのDNAは子孫に繁栄して、同じ様にハードコンパニオンにしてやる。だからお前らは接待に使ってこれで廃棄処分だ」
 「殺す気」
 「まあ。米軍さん次第や」
 「何処でやるの」
 真紀子の疑問である。
 「今回米軍がD川を北上する」
 「ゲリラとR国は関係ないというパフォーマンス」
 米軍がゲリラゾーンの直ぐ手前で演習する。米軍がR国を守るという姿勢を示す形になる。
 「まあ。そういう効果もあるかもしれない」
 湯野中の巧妙な対外政策である。
 「ちょっと。それ誰の提案」
 「あれ。あんたの手先が暴走したんか」
 「私が言えば怒るのに、廣子が言えば直ぐ納得するのね」
 真紀子は市江廣子に自分の心を見透かされたと思った。
 「あんたが言えば女の意見を通すと腹が立つ。あいつが言えば女が頼みに来たと甘くなる」
 「随分はっきり言うわね」
 「お互い様や」
 二人とも笑っては居ない。対立の深みは相当に深い。だが、対外的に対立は表面に出せない。市江廣子は双方妥協のジョイント役である。
 「米軍はそっちで対応すれば良いわ。刺客はどうするの」
 「こっちは指宿が対応する」
 「いいわ。それで」
 
 マスターは朝一番、昨日から飯星らの滞在するトラックターミナルの倉庫にやって来た。
 「既に君らは見張られている。五人とも新日本空輸ホテルの防犯カメラから手配されている」
 昨日彼らを送ってマスターが戻ってから、店に津島らが捜査に来た。五名の写真を提示された。
 マスターは遅いランチタイムに食事に来たと答えた。伝票を提示した。知らないと言って何かの証言が出ては拙いからである。
 「何を話していたか解らないか」
 「いや。カウンターに居て仕入れに行く準備をしていた。話し込んでいたようだが、仕入れがあるので二時半で閉めると断ってお帰り頂いた」
 「どこに仕入れに行った」
 「TSの養殖場です」
 その後津島はその養殖場に電話を入れた。マスターは飯星らを降ろして帰りに養殖場に寄った。
 養殖場で対応した職員は冷凍車の中は空で、既に荷物を入れるため冷やされていたと回答している。
 TS市にNシステム等はない。時間的にも不自然さはない。津島もそれ以上の追求はしなかった。
 警察庁から木村史乃警部補の画像が送られ、木村史乃警部補が若村真弓の部屋に移動したので、其処に出入りした全員がピックアップされたのである。
 予定通りT市に向けて出発する。大型コンテナトレーラーが一台準備されていた。
 コンテナボックスに固定出来るシートがセットされた。後ろは荷物四パレットを積んでカモフラージュした。
 一日掛かる移動である。社長の盛高知里も同乗する。運転席のカメラから前方が確認出来るモニターもセットされた。
 河口晴奈は出発して直ぐ携帯の電波が届かないことに気付いた。
 「街道はもとより、市内でも工業団地かホテルの集まった地域意外は通じません。それに外国情報監視法であなた方の通話は既に見張られています」
 「それじゃ身柄を押さえられなくても、日本に救援は求められないのね」
 「元々無理だ。スパイ容疑が掛けられ投獄されたものを日本からどうにも出来ない。麻薬所持を付けられれば都議会議員でも同じだ。中国を見ろ」
 飯星は事態を深く理解している。
 「それじゃ。滝澤沙緒里さん達をもし救出できても国外には出られない」
 「我々が出国するのさえ難しい。取材目的がない事は承諾済みだ。既にスパイ容疑は免れない」
 「それでは証拠を?んで、二人を救出しても、国際社会に訴えられないのですか」
 「捨て身でメールか国際電話を掛けるか、山越えしてT国の国境を掠めて中国に逃れて亡命するかだ」
 「でも中国がどう出るでしょうか」
 若村真弓は近年の日中関係から不安である。
 「T国では完全にR国に戻される。そっちに掛けるしかない」
 「待って。私がクルーザーか漁船なら確保出来ます。T国の沿岸警備はたいした事ありません。親日の国まで行けば何とかなります」
 「でも、そこまでお願いしては」
 「私も行きます。そして日本に亡命します」
 「そうですか。その覚悟なら。脱出する時は我々と一緒に行動して頂けますか」
 「私も日本に帰りたいのです」
 「それはそうでしょう。これまでの事を全部明るみに出しましょう」
 河口晴奈は歓待し励ますように理想を唱える。
 「それほどに効果はないと思うが、一歩ずつやって行くしかありません」
 「どうしてですか」
 河口晴奈は飯星の言うことに納得が行かない。
 「シリアで射殺された女性カメラマンの場合は相当に騒がれた。篠田茉莉さんの場合は軽く報道されただけだ」
 「そうですね」
 「戦場と平和な国でスパイ容疑での射殺という差もあるが、何か大きな圧力が掛かっているとしか思えないな」
 飯星はそれなりに状況を読んでいる。
 「その通りです。湯野中の資本は日本中に忍び草の様に浸透しています。R国に進出している企業の大半が元は仁川、湯野中が日本に投資した企業です」
 「なんと。そんなに力が有るのか」
 盛高知里の証言は飯星の想定を遥かに超えている。
 「R国北側だけで一京の金が動きます」
 「なるほど。政治家一人や二人が動く事とは違うな。もっと密着した実権が随所で動いている」
 「その通りです」
 盛高知里は覚悟を決めているが難しい顔である。
 「要するに多くの日本企業の至る所に湯野中資本が浸透して、湯野中の配下が中枢に何人も力を持っていると言うことね」
 若村真弓には何とか事態が飲み込める。
 「問題はそれが表社会だけではなく、裏にも浸透していると言う事だ」
 「では、総てが裏社会とグルだと言う事でしょうか」
 「そうとも言えない。それぞれ縦は繋がっているが、横の全体の繋がりは見えない筈だ。表にも裏にも資本は浸透していると言う事だ」
 「娼国の分もありますね」
 「その通りですが、影響力という面では湯野中の資本が遥かに大きいです。裏に関しては大方が湯野中です。」
 「うーん」
 飯星も相手の巨大さに唸らざるを得ない。
 「とにかく二人を救出して、日本に逃げ帰って対策しましょう」
 若村真弓も二人の証人は何としても確保したい。その上で皆の身の安全を考えるしかない。日本で地道に闘うべきであると考える。
 
 アメリカ海軍第六十任務部隊は数隻の小型艦艇でD川を北上した。海兵部隊は先にゲリラゾーンの手前で橋頭堡を構築していた。
 総てがパフォーマンスである。
 ベイソン少将を筆頭に指令部は、D市に建設中の空港近くで市江廣子が経営する日本旅館に逗留する。
 此処で湯野中らの接待が行われる。
 その生贄として内山莉緒警部補と滝澤沙緒里が、ヘリで空港建設地まで移送された。
 平佐和が逗留する建物とは別棟である。
 三日間日系企業の予約は入れてない。朝食バイキングの会場となる大型バンケットルームが宴会場に当てられた。
 米軍なのであえて和室の宴会場は使わなかった。
 今回からコンパニオンは市江廣子の進言で、現地人でもR国の国籍ながら八分の七が日系人のコンパニオンばかり用意された。
 これらは生む専門の女性に、日本人の美形男性の精子と現地との掛け合わせで美しく作られた日系人女性の卵子を、体外受精して生ませた女性である。
 これらの産む専門の女性は毎年四つ子位を出産する。生涯で百人近い娘が居る事に成る。
 女将の市江廣子は平佐和と後から着いた真紀子を、昨夜平佐和が食事をした特別な座敷に案内する。
 天井のガラスドームは開放され湯船は露天風呂になっている。
 三名とも手拭一枚の全裸である。
 真紀子の躰は細くしまった女の線を描いている。それに比べて市江廣子は細身ながら躰は柔らかい女の線を描いている。
 採点をすれば真紀子が勝っているがどちらも悪くない。
 今夜はスクリーンがセットされている。真紀子が米軍の宴会を監視するためである。市江廣子はあまり見たくない。スクリーンの死角に座る。
 露天風呂に設えられたテーブルには囲炉裏は閉じて、寿司とつまみが並べられている。
 ビールとワインが好みで置かれ、長丁場で宴会を監視しながらこっちは愉しむ嗜好である。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は、会場内の壁面に磔柱を設置され全裸のまま磔られた。
 磔柱は一メートル四方の鉄板の台に白木の十字架が立てられている。
 滝澤沙緒里は両手首を十字架の左右の先端に手錠で固定されているだけである。脚は自由が利く。
 内山莉緒警部補は両手首を十字架の左右の先端に手錠で固定されているのは同じだが、右脚首は十字架の根本に縄目を五段にきつく縛られている。
 左脚も手錠が掛けられ十字架の根元に鎖で繋がれている。膝を少し上げる程度には動かせる。
 二人とも湯野中を出迎えた女将が市江廣子と分かって驚愕した。麻薬購入とスパイ容疑で捕らえられたのが、その後どうなったのか不思議である。
 湯野中がベイソン少将ら一行を案内して来る。
 「この国にスパイ行為に来て逮捕された二人です。どのように扱ってくださっても構いません」
 「なかなか上玉だな」
 「男性や既に終わっているのは処分いたしました」
 「この間の女は俺たちの満足とはいえ、入墨で潰すには少しかわいそうだったが、こいつらは心置きなく愉しめるな」
 「本日は他にもお一人に一人、処女のコンパニオンをご用意致しております。日本国籍ではありませんが八割以上日系人です」
 「それは嬉しい。いつも湯野中氏の歓待には心から感謝いたしております」
 ベイソン少将が近付くと、内山莉緒警部補は怒りの篭った目でにらみ返す。
 米軍が来ることは湯野中から聞かされていたが、ベイソン少将の襟章を見て怒りがこみ上げている。世界のエリートがこんな接待を歓迎するとは。
 「この女はジャップ」
 「警視庁の組織対策課の婦警です」
 ベイソン少将の顔が残忍に歪む。次の瞬間平手で内山莉緒警部補の右頬を叩く。
 「おうーー」
 叫ぶや次の瞬間僅かに動く左脚の膝でベイソン少将の太腿を蹴る。鎖に繋がれていて、ベイソン少将の身長が高いので股間までは届かない。
 ベイソン少将に躱すだけの余裕はある。それでも態とオーバーに倒れる。
 「指令」
 横に居た幕僚が駆け寄る。
 「申し訳御座いません。縛り方が不十分で」
 湯野中も駆け寄り前に膝を着く。
 「ノー。ノー。心配ない。大丈夫。縛りはこの位でいいですよ。じっくり愉しみましょう」
 ベイソン少将はやる気満々立ち上がって一本鞭を持つ。
 振り被って内山莉緒警部補の乳房に横向きに鞭を叩きつける。
 「ぐおーーーーー。おーーーーーーーーー」
 反動的に仰け反り左の膝はベイソン少将を蹴った以上に跳ね上がる。
 「ううーーーーーーーーー」
 ベイソン少将は続けて叩く。
 一本鞭の先端は内山莉緒警部補の両方の乳房を、左右に流れるように掠める。乳首はへしゃげられ乳房は強く歪む。
 「ぐおーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は左膝を強く跳ね上げ、口を縦に大きく開けて、割れんばかりの形相で鈍い悲鳴を轟かせる。
 ベイソン少将は十数発叩いて一本鞭の手応えを愉しむ。
 「ぐあわーーーーーーーーー。があーーーーーーーーー。があーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は鞭の応酬に躰を仰け反り暴れさせ悲鳴を上げ続ける。太腿と乳房に紅い筋が何本も奔る。
 「がはあ。はあ。はあ。はあ」
 内山莉緒警部補は荒い息遣いである。
 「クリップ」
 ベイソン少将は少佐の襟章を着けた中年女性に要求する。これまでパーティの司会をやってきた女性将校である。
 女性司会者は直ぐに取りに行く。
 「こっちの女は」
 「ジャーナリストです。T市で警備がスパイ行為で射殺した女の仲間です」
 「ほう。こいつもジャップだな」
 またベイソン少将は露骨に嫌悪の表情を浴びせる。
 そこに女性司会者が黒い書類を鋏むクリップを持って来る。鋏む部分が三センチ位の幅がある。これに敏感な部分を鋏まれたら相当に痛い。
 ベイソン少将は滝澤沙緒里を指差す。
 女性司会者は滝澤沙緒里を一瞥する。
 「その女の脚を広げて」
 女性司会者は若い将校に命令する。若い将校が二人ずつ左右から滝澤沙緒里の脚を持って股を広げる。
 「ああーーーーーーーー。いやあーーーーーーー」
 若い将校が鉄製の一本棒の両側に脚錠を取り付けた拘束具で、脚の開きを強制する。
 「クリトリスを剥いて」
 「ああーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーー」
 若い将校が滝澤沙緒里の小陰唇を指で開いて、クリトリスを包んだ包皮を指先で剥く。
 「これで鋏んで」
 女性司会者は別の若い将校に命令する。
 「ああーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー」
 「乳首もぐっさり抓んで」
 「ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里の恐怖の叫びを他所に、クリップはクリトリスと左右の乳首を痛々しくきっちり鋏み込む。
 「こら。日本人婦警。この痛みが分かるか」
 「ああーーーー」
 内山莉緒警部補もその痛みは充分に分かる。顔は恐怖に引き攣っている。
 「あんたが素直にこいつで逝き顔を晒したら一つずつ取って上げるわ。時間が掛かれば掛かる程、取るときの痛みは壮絶よ」
 女性司会者はドリルバイブと電マを準備している。
 「ああーーーー。なんて事を」
 内山莉緒警部補も捕らえられてから、洗濯バサミを二時間以上鋏まれた乳首の痛みを充分味わっている。
 湯野中らの玩具にされ、絞められた粘膜が戻るときの痛みに悶絶させられた。
 いま滝澤沙緒里が付けられているのは、更に痛い事が想像に難くないクリップである。
 滝澤沙緒里を苦しめない為には、ドリルバイブと電マの責めを素直に受け入れるしかない。
 悔しい。世界のエリートが僅かな満足のため、自分たち女性に卑劣極まりない要求をする。それでも今逆らって何も太刀打ち出来ない事も解る。
 怒りがこみ上げてくるが自分が羞恥を被るしかない。さもなくば同朋が女としての身体を大きく損傷してしまう危険さえある。
 捕らえられてからこれまでも、卑劣極まりない手段で羞恥の限りを曝け出さされた。
 今回はR国、娼国の首脳だけではない。たくさんのアメリカ人エリートも見ている。
 将校が二人で左脚の戒めを十字架の左手の下に付け替える。股間が丸出しになる。会場の殆どの目がそこに集中している。
 続いて右脚の戒めを一旦外され、椅子が運ばれお尻の下にかまされる。そのまま右脚首も右の手首の下、十字架に固定される。
 「ああーーーーーー」
 これまで以上に恥ずかしい。
 若い中尉の襟章を付けた将校がドリルバイブを構えて、内山莉緒警部補の女の部分に近付ける。
 「まってよーー」
 内山莉緒警部補は突然叫ぶ。
 「どうした。受け入れないとこっちの女はどんどん辛くなるぞ」
 ベイソン少将は露骨に虐める姿勢である。
 「分かっているよ。受け入れるけどローションくらい塗ってよ。それじゃ痛くてイクどころじゃないよ」
 内山莉緒警部補は悲鳴のような声で訴える。
 「そうか。この状況じゃ自分で濡れるのは無理だな」
 ベイソン少将は笑っている。
 「先に電マを使って濡らしますか」
 将校が提案する。
 「それよりローションの代りに、たっぷりマスタードを塗ってあげましょう」
 女性司会者が残忍な提案を出す。
 「それは良い」
 湯野中もニンマリ納得する。
 「なんて酷い」
 女性司会者の手で内山莉緒警部補の膣口にクスコが捩じ込まれる。
 「ああーーーーーー」
 内山莉緒警部補は冷たさと痛みに呻く。
 女性司会者はチューブのマスタードを二本流し込む。
 「ああーーーーーーーーー。ひどいーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は女性司会者の残忍さに恨み顔で訴える。湯野中らには何を言っても無駄だが、米軍には多少は配慮がという希望が残っている。
 「まあ。痒みを我慢する結果にはなりませんがね」
 湯野中は賛成しながら意味がないと言っている。
 「そうね。これで掻き回すから痒くは成らないわ。やがて歓喜の濡れが洗ってしまうわね」
 女性司会者も残念そうである。
 意味が無くても内山莉緒警部補には辛いことに変わりは無い。
 ぶるーーーん。ぶるーーーん。ぶるーーーん。
 強力に振動するドリルバイブである。
 内山莉緒警部補は辛い目でそれを見詰める。
 中尉の襟章を付けた将校は柔らかい擬似男根の先端を持って、女性司会者がクスコを抜き取るのを待って内山莉緒警部補の女に捩じ込む。
 滝澤沙緒里は首を垂れ髪が顔を隠しているが、強力なクリップに女の敏感な部分を鋏まれ繊細な痛みに堪え続ける。
 脚が微妙に痛みに震えている。
 内山莉緒警部補にはその痛みが充分に伝わる。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里はこれまでに卑劣な手段で、女の極限状態となる羞恥の醜態を強引に曝け出さされた。
 最早、此処での羞恥は諦めるしかない。少しでも痛みを回避して救いを待つしかないと鉄格子を通して話し合った。
 必ず日本から救いが来ると信じている。
 今は、内山莉緒警部補としては自分が醜態を甘受して滝澤沙緒里を痛みから救わなくてはならない。
 どう戦ってもドリルバイブの責めには敵わない。嫌でも官能に女のプライドは押し倒される。身を任せれば良いと自分に言い聞かせる。
 将校はしっかり奥まで捩じ込んでスイッチを入れる。
 責められて内山莉緒警部補の顔は情けない表情から一気に軋む。縛られた躰は目一杯仰け反る。
 「ううーーーーーーーーー」
 
 隣棟の露天風呂では大型モニターにこの状況が伝わる。
 あまりの状況に平佐和の棹は手拭い一枚の無防備な状態のまま、年甲斐も無く起立しそうになる。
 平佐和は手拭をたたんで重みを付けて腰に置く。
 市江廣子がそれを感じ取って慰めようとするのを真紀子が制して、手拭を避けて平佐和の膝を跨ぐ。
 「おい。副主席とこんな事して良いのか」
 「先生は国賓同然ですもの」
 真紀子はモニターに向いていた平佐和の体を横に向けて、自分もモニターが見えるようにして、平佐和の膝に乗り一物を咥え込んでしまう。
 真紀子は米軍へ湯野中からの接待でも、その内容は監視しなくてはならない。国際社会に対する湯野中の失敗を恐れている。
 北側だけの問題では済まない。経済的自由国と性の自由国を守るのが最重要である。
 市江廣子のこれまでの強制的性接待を高額で評価した。それでも途上国と雖もこの温泉を建てるがやっとである。
 企業を誘致する土地は真紀子が出資した。
 出資した配当だけ得て大方は市江廣子に儲けさせる。市江廣子を北側に進出させる事で北側に口出しが可能になる。
 市江廣子を国内で自由の身にしたのは、平佐和が市江廣子の女を気に入っているからである。
 藤崎奈緒美をこの国に置いていながら、それ以上に市江廣子を玩具に求める。
 そして湯野中も市江廣子の躰が好みらしい。
 この二人が市江廣子を独占しようと取り合う事はあり得ない。
 さらに湯野中は南側同様に平佐和を利用したい。市江廣子は総てのジョイント役になる。
 娼国、R国を国際社会の倫理から守って日本企業を更に誘致する。誘致するだけで世界から莫大な利益を吸い上げる基盤は既に出来ている。
 
 「だめーーーーーー。もうだめーーーーーーーーー。あーーああーーーーああーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補の究極の悲鳴が轟き続ける。将校は逝き顔を確認しても許さない。失神まで追い詰める目論見である。
 膣圧で押し出そうとする擬似男根を力で押し返す。
 「ああおおーーーーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーー」
 眉間に皺を二重に刻み、整った美形である内山莉緒警部補の顔が情けなく歪み強く軋む。
 ドリルバイブの強烈な回転から女の液が流れ一部飛散る。隠微で壮絶な光景である。
 「なかなか。粘りますな。だいぶこの責めに慣れてしまったようで」
 湯野中が何度も責め続けて来た経緯から語る。
 「電マを併用しましょうか」
 ドリルバイブを操作しているのとは別の将校が提案する。
 「やれ」
 ベイソン少将が了解する。
 「あああーーあああーーーーーーーーーーーーーーーーー。あああーーーーーーーーーーーああーーーーーーーーーー」
 声は更に強烈になり、固定された躰は浮き、左右に捩り不自由な躰が暴れ続ける。
 
 飯星徳次郎らを乗せたトラックは毎日何便も走る湯野中系企業なので、検問も何の検査も無く通過させてくれる。
 通常、検問は無いらしい。既に飯星徳次郎らが手配されているのである。
 盛高知里は当初飯星徳次郎らを、T市の工業団地内のビジネスホテルへ案内する予定であったが考え直した。
 盛高知里の会社が持つT市の工業団地に隣接したターミナル。その古い倉庫の二階に変更した。
 飯星徳次郎らを其処に一旦落ち着けて食料を降ろしてゆく。
 「私が近日中にホテルの地下を探ります。それまで此処に隠れていてください。私共のあまり使われていない施設です」
 盛高知里はその日はTS市の事務所に引き上げた。
 その倉庫はかなり遠方が見渡せる。もし追っ手が来れば早い発見が可能である。
 盛高知里から提供された図を開いて、日本人居住区の中に在る問題のホテル内部を検分する。
 みな、難しい顔で誰も口を利かない。
 若村真弓が最初に席を立った。夕食の支度に掛かる。
 搬入された荷物から焼肉パーティの準備をする。生ビールのサーバーはセットされていた。
 炭酸のホンベと生ビールの樽を搬入してくれたので、生ビールで乾杯して肉を焼き始める。
 「どうにも、此処に潜入方法はないのでは」
 栗山秀樹がぼそりと発言する。
 「そうね。気付かれないで潜入する方法はないわ。宿泊出来れば別でしょうけど。それでも二人を連れ出すのは無理ね」
 若村真弓も結論を出してしまう。
 「だが、それならこんな物渡さないだろ。自分が内情を探るまで動くなと言っているのだ。何かやってくれるんじゃないか」
 「でも。もし中から手引きして貰っても連れ出すのに裏の崖を降りるしかないと思います」
 木村史乃警部補も悲観的に成っている。
 「崖を降りるより登って中に入るほうが難しい」
 「だが、この崖は内部の監視からも死角になるんじゃないか」
 栗山秀樹が盲点を見出したように言う。
 「死角に成るなら何処かにカメラが有る筈だ」
 飯星は慎重に否定する。
 
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 サイレンの如く一段と大きく内山莉緒警部補の悲鳴は鳴り響く。
 同時に内山莉緒警部補は電マの下から小水を噴き上げてしまう。
 「おおーー。ジャパニーーズ、お、も、ら、し」
 ベイソン少将が悦びの歓声を上げる。完全に日本の婦警を玩具に愉しんでいる乗りである。
 電マを持つ将校もドリルバイブを持つ将校も小水を避けて手を緩めない。
 内山莉緒警部補は躰を震撼させ、苦悶の表情を幾重にも歪め変化させ絶頂を繰り返す。
 「あはあーーー。ああああ、ああ、ああーーーーーーーーーーーー。あはあ。あ。あ。あ。ああ。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補の喘ぎは爆発寸前からすっと静かになる。
 いくらドリルバイブを回しても、磔柱に垂れ下がったまま台の揺れに任せる状態である。
 ようやく一回目の失神が達成した。
 「さあ。そっちの女。どっちかのクリップを取ってやるぞ。どっちが良い」
 ベイソン少将は弄ぶように滝澤沙緒里に問い掛ける。
 「ああーー。下の方」
 滝澤沙緒里は苦しみのさなか小さく声を絞り出す。
 「躰の部位で言わなきゃ駄目よ」
 女性将校が意地悪くからかう。
 「ああーああーー。く、り、と、り、すー、を取って、く、だ、さああーーーーーーい」
 滝澤沙緒里は泣き声交じりに叫ぶ。
 ベイソン少将がしゃがんで滝澤沙緒里の股間のクリップを抓む。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は狂ったように躰を暴れさせ、サイレンより大きな悲鳴を轟かせる。強烈な痛みである。
 これまで肉を抓まれる痛みが苦しめていたが、一定の時間以上締め付けられた肉が戻る痛みはその数倍である。
 「あんた達。電マで揉んであげて」
 女性将校が若い将校らに命令する。
 「やめてーーーーーーーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は恐怖の叫びを上げる。
 「揉まないといつまでも痛いよ」
 「ああーーーーーーーーーーーーーーん」
 滝澤沙緒里は行き場のない痛みに泣き叫ぶ。
 若い将校らは嬉しそうに左右から滝澤沙緒里の躰を抱えて、局部に電マを充てる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里はサイレンのような悲鳴とともに失禁する。そして意識朦朧と成る。そのまま躰を将校らに預けてぐったりと沈む。
 ベイソン少将の指示で若い将校が内山莉緒警部補に水をぶっ掛ける。さらに連続ビンタを浴びせる。
 内山莉緒警部補は意識朦朧と周りを見回す。
 「綺麗な逝き顔だったわよ」
 女性将校が詰る。
 「・・」
 内山莉緒警部補は顔に悔しさを滲ませる。
 「彼女のクリのクリップ取る時、凄い悲鳴だったわよ。聞かせてあげられなくて残念だわ」
 女性将校は更に詰る。
 「ひどい」
 内山莉緒警部補は壮絶な痛みが理解出来る。洗濯ばさみを乳房に付けられても取る時はもんどり打った。
 それがもっと強い鉄板を曲げたばねのクリップである。更にもっと敏感なクリトリスを抓まれていたのである。滝澤沙緒里の苦しみに胸が締め付けられる。
 ベイソン少将の指示で若い将校らは滝澤沙緒里にも水を掛ける。
 「ああーー。やめてーーーーーーーーーーーー。そのままにしてーーーーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は待っている間滝澤沙緒里に気絶していてほしいと願う。
 「痛みから解放はしてやらない。お前が早くイケば良い」
 ベイソン少将は内山莉緒警部補に追い討ちを掛ける。
 「そうよ」
 女性司会者も同調する。
 「ああーー」
 内山莉緒警部補は天を仰ぐ気持ちである。
 湯野中が新しいドリルバイブを持ち出す。
 「こいつは回転とピストンしかしませんが、先端の太さが変わるんです」
 先端部の擬似男根は布を縦に絞って編み合わせて縛ったような作りである。
 太さ三センチ長さ二十五センチぐらいの状態から、長さが十センチぐらいに縮むが口径が十センチぐらいに太くなる。
 湯野中が実際に動かして見せる。
 「膣を押し広げる力は凄いです」
 内山莉緒警部補は青ざめた表情で、これも受け入れるしかないのかと見ている。滝澤沙緒里の乳首を責めているクリップを早く取ってやらねば成らない。
 子供が出てくる部分だから広がるのは分かるが、その部分が壊されるのではないかと恐怖が先に立つ。
 これまでも何度も壊されると思ったが、強烈な官能で意識が無くなるだけであった。
 だが、本意でない官能は、いくら感じても残るものは計り知れない不安と嫌悪だけである。
 将校が先端を近付ける。内山莉緒警部補は大丈夫と自分に言い聞かせても恐怖に慄く。
 
 古い倉庫の二階で夕食会を徒然に飲み明かす飯星徳次郎らに、盛高知里から其処の固定電話に連絡が入った。
 「携帯は危険ですからこちらに連絡しました」
 工業団地に隣接しているのでビジネスホテル同様携帯は通じる。
 「はい。頂いた図面を見ながら検討して居りました」
 若村真弓が対応している。
 「いま、内山さんと滝沢さんはホテルの地下には居ません。米軍のパーティに駆り出されているようです。戻ってくるのは明後日だそうです」
 「米軍のパーティ」
 若村真弓は訝しがる。
 「ええ。詳しくは明日そちらでご説明します。戻ってきたら暫くは警備員だけだそうです。その時を狙いましょう」
 盛高知里はホテルの中を自由動ける。世間話程度で簡単に情報は入る。湯野中の予定を聞くだけで二人の動きも判る。
 湯野中は米軍の接待パーティの後、娼国と調整会議が入っている。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里だけが、ホテルの地下に戻されて来ることは想定出来る。
 盛高知里はその時がチャンスと考えたのである。
 
 新型ドリルバイブの責めに内山莉緒警部補は僅かな時間で二回目の失神をしてしまった。
 「ああーーー。もうー。やめてーーーーー」
 太くなった男根の先端が静かになった内山莉緒警部補の股間で動き続ける光景に、滝澤沙緒里は驚愕の悲鳴を上げる。
 「一度解いてやれ。こっちは暴れないだろう」
 ベイソン少将が滝澤沙緒里の戒めを解く様指示する。
 「そうですね。自分で取らせるのも面白いです」
 女性司会者もニンマリ納得する。
 若い将校二人が滝澤沙緒里の腕の戒めを解くと、そのまま床にべったり倒れこむ。
 「自分で取れ」
 滝澤沙緒里は痛みを充分に知っている。両方?んで一気に外す。
 「ああーああーーーーーーーーーーー。あはあああーーーーーーーーーーん。あはああーーーーーーーーーーーー」
 両方に乳房を?んで床にもんどり打って転げまわる。
 「あはああーーーーーーーーーーーー。ああーーああーーーーーーーー」
 乳房を庇うように掴んだまま床に蹲って藻掻き続ける。
 若い将校が四人で押えて電マでマッサージする。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 仰向けに成ったまま般若の形相で藻掻き悲鳴を轟かせる。
 狂乱状態が治まるのを待って、滝澤沙緒里の片脚だけ十字架の根元に鎖で繋ぐ。
 蛇が用意される。
 女性司会者が内山莉緒警部補の膣にクスコを挿入する。
 中を覗く為ではない。女性司会者に命令されて一人の下士官が蛇を掴む。
 「ああーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は床を這って十字架の根本に繋がれた躰を乗り出し半狂乱に叫ぶ。
 下士官は指令通り蛇の頭を内山莉緒警部補の膣に入ったクスコの中に突っ込む。
 「やめてーーーーーーーーー。おねがい。やめてーーーーーー」
 滝澤沙緒里は狂った様に叫び続ける。
 下士官は一通り掻き回して抜き取り、布袋に蛇を投げ込み袋の口を何度も捻って紐で縛る。
 録画を取っただけである。
 また水をぶっ掛けて連続ビンタで内山莉緒警部補を起こす。
 女性司会者は意識朦朧としながら滝澤沙緒里を探す内山莉緒警部補に、精神安定剤を注射する。
 「安心して、精神安定剤だから」
 内山莉緒警部補は黙って注射器を見ている。
 「よく見ろ。お前が失神している間の醜態だ」
 ベイソン少将は録画を回すよう合図する。
 大股開きに縛られてドリルバイブで無念の醜態を晒して、台の上で躰を暴れさせ堪え続ける内山莉緒警部補の姿が、拡大スクリーンに映し出される。
 「ああーー」
 内山莉緒警部補は堪えられず目を瞑ってしまう。
 でも、滝澤沙緒里がピンチより強力なクリップを取って、悲鳴を轟かせる場面で目を見開き、怒りより怯えた表情で滝澤沙緒里と画面を交互に見る。
 「さあ。ここからよ。失神している貴方に何が起こったか」
 女性司会者の言葉に内山莉緒警部補は自分の恥ずかしい姿から、もう目を瞑れない。何が起こるか恐怖の表情で見入る。
 クスコが挿入され下士官の手に蛇が握られている。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は恐怖の悲鳴を轟かせる。
 「ああーーー。やめてーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は自分の膣に蛇が入って行くのを見て涙をぽろぽろ流す。
 「ああーーーーーーーーーーー。あはああーーーーーーーーん。ああーーああーーーーーーん」
 必死に縛られた縄を強く握って、顔は汗を噴き躰は小刻みに震えている。
 ベイソン少将は満足そうにそれを見ている。
 
 平佐和はモニターに映る壮絶な拷問に興奮して、真紀子の中に一回目を果てた。
 真紀子の躰は絶品である。乳房が大きい訳ではないが形は綺麗である。手に収めれば柔らかい感触だけで良い。
 股間には女の拳一つ入る。その隙間がまた綺麗である。腰の括れも申分ない。
 太腿に余分な肉は無い。締まった美しい脚線美である。
 腰に乗せて七十に届く平佐和にもそんなに重さを感じさせない。
 老練な平佐和もモニターから入って来る強烈な映像と、真紀子の躰に興奮度が上がり、真紀子の動きに上から抜き取られてしまった。
 真紀子にとって躰を提供する事など何の抵抗も無い。世間的な恋愛など既に視野に無い。自分の目的に価値のある男ならいくらでも抱かせる。
 真紀子の躰を拒否したのは仁川だけである。それにも関わらず仁川からは多くの利益を得た。
 そして真紀子は一人、安形を頼むと言い残した仁川の死水を取った。
 どんなに若いイケメンでも価値の無い男には関わらない。今の真紀子には若い男はゴミにしか見えない。
 平佐和は絶品の真紀子の躰より市江廣子を好むようである。それは充分に分かっている。
 でも、市江廣子に妬いて割り込んだ心算は無い。平佐和はこれからも重要なパートナーとなる。躰で自分の誠意を示しただけである。
 平佐和も市江廣子を自分のものにしようと執着するわけではない。
 いま、その市江廣子が引き継いで萎えた平佐和の一物を咥えている。年齢的に本来なら暫く休むところだが、映像と二人の躰にもう起立している。
 
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は一旦拷問椅子に固定された。
 女がD市の刑務官に牽かれて来る。
 「この女は加重死刑囚です。R国籍で日本とヨーロッパの混血で大沢ナタリアです。前回加重死刑になった大沢真珠の妹です」
 女性司会者がメモしたコメントをアナウンサーの様に読む。
 「何をした」
 ベイソン少将が確認する。
 「はい。姉の加重死刑に抗議して国家に反抗しました。検察官の個人宅に侵入して殺害しました。国家反逆罪。殺人罪。建造物進入です」
 「姉に比べておっぱいが異常に大きいな。顔も似ていない」
 ベイソン少将が囚人服の上からも判る胸のボリュームを指摘する。
 「はい。母親が違います」
 女性司会者がきっぱり答える。
 「お前ら。この加重死刑囚の女がどのように処刑されるか良く見ておけ」
 ベイソン少将が内山莉緒警部補らに宣言する。
 「本日は刑を執行します。加重というのは被害者遺族への賠償金を労役又は身体奉仕で稼いで頂きます。本日の花代は湯野中氏がご負担下さいます」
 おおーー。
 感謝の拍手が沸く。
 内山莉緒警部補らはなんと野蛮なと言いたい。だが、自分らも今紙一重の立場である。それどころか自分らには花代の負担も無い。
 女性刑務官が大沢ナタリアを二人掛で、両手首を滝澤沙緒里が磔られていた柱に固定する。
 囚人服のパンツを脱がす。
 「ノーーーーーーーーーー」
 大沢ナタリアは叫ぶ。
 構わず開襟シャツのボタンを外す。
 「ノーーーーーーーーー。ノオオーーーーーーーーーーーーーー」
 叫び続ける。
 開襟シャツの襟首から袖を切り落とす。
 ブラとショーツだけの下着姿にされる。ブラの下には巨乳が僅かな布のブラを弾き飛ばさんばかりに存在を主張している。
 玩具の拳銃やライフルが運び込まれる。
 「これは玩具です。でも現代の玩具とは違います。日本が今程煩くなかった時代の玩具です。当時の物ではありません。同様に造りました」
 女性司会者は拳銃とプラスチックの弾を翳す。
 「火薬などは使っていません。プラスチックの銃弾です。五口径ですが銃弾の形をしています。素肌に当たれば相当に痛いです」
 ブスウーーーーン。・・・パーーン。
 一発撃って壁に当てる。壁に跡までは付かない。
 「これで処刑します。どうしても完了しない時は次の手段を講じます」
 女性司会者は淡々と語る。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里はあまりの恐ろしさに驚愕して声も出ない。
 大沢ナタリアも凍り付いた表情で震えている。
 内山莉緒警部補はこれで殺すにはいったい何発撃つのか。いやこれでは殺せない。痛みに苦しみ続けて失神が精一杯だと思った。
 それなら先にもっと残酷な事が予定されているに違いない。そして自分らにも残虐な生殺しの仕打ちが待っていると恐れる。
 将校が二人ライフルを構える。距離は僅かに五メートル。一人は乳房を一人は太腿を狙う。
 パアーーン。パアーーン。
 大沢ナタリアの躰は手首しか固定されて無い。脚は一メートル位左右に逃げられる。
 腰を躱して逃れようとする。
 「ああーーーーーーん」
 パアーーン。パアーーン。パアーーン。パアーーン。パアーーン。パアーーン。パアーーン。パアーーン。
 将校は連射する。
 「あううーーーー。あううーーーー。ああううーーー。ああーーあああーーーーー」
 腰を右に左に逃れんと暴れ捲くる。
 「まって」
 女性司会者が待ったを掛ける。
 大沢ナタリアの躰は連射が止まっても震えている。
 女性司会者は道具の係りを呼ぶ。下士官が二人出て来る。
 「ここに低い脚乗せ台を持って来て。平均台を三十センチ位の高さで」
 残酷な思い付きである。台に乗せれば動ける範囲が狭くなり、落ちればぶら下がる事に成る。
 完全に固定はしない。苦しみに暴れ捲くるのを愉しみたいのである。
 躰に命中した部分は水疱瘡の様に蚯蚓腫れになり直ぐに紅くなる。
 今でも売られている玩具の銀球鉄砲が当たってもそれなりに痛い。だが相当に威力が無ければ痕には成らない。
 紙を幾重にも折ってX字の弾にして、輪ゴムで飛ばして当たるとかなり痛い。皮膚の当たり所では痕になる。
 それがプラスチックの弾になると更に痛い。
 先が丸まっているから肌に当たって弾ける。
 若い将校が四人掛かって大沢ナタリアを磔ていた十字架、これを高さの高い物に代える。
 抵抗する大沢ナタリアを無理やり台に上がらせ、手首に嵌めた手錠を左右の柱の先端に固定する。
 ベイソン少将が同じプラスチックの弾でも先の尖った物を翳す。
 「いいえ。それはもう少し後で。じっくり行きませんか」
 女性司会者が提案する。
 「そうだな」
 ベイソン少将も納得する。
 将校二人が玩具のライフルを構える。
 「まて。ただ撃つだけで肌を汚くしても詰らん。ピンポイントに狙おう」
 ベイソン少将が新たに残酷な提案をする。
 「右の膝を直角に吊り上げろ」
 将校が大沢ナタリアの右膝に輪っか状にした縄を引っ掛け、十字架のフックに吊るす。膝は九十度水平に吊られる。
 ベイソン少将は吊られた太腿の上部にピンチ七本を横並びに抓んで行く。
 「ううーー。ううーー。うーー」
 大沢ナタリアは眉間に皺を寄せて唸る。
 「一人十発だ。湯野中さん賞金は出ますか」
 ベイソン少将は予定外なので湯野中に要求する。
 「いいでしょう。一本落せば百ドル。一本増えるごとに倍額。七本なら三千ドルでどうでしょう」
 「ありがとう」
 ベイソン少将はオーバーなゼスチャーで感謝を述べる。
 一人目の将校が大沢ナタリアの太腿で、一番スベスベした部分を抓んだピンチの根本を狙って撃つ。
 「ぐおおーーーーーーーーーー」
 大沢ナタリアの右脚は爪先で蹴るように跳ねる。
 「うおおおーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 余韻に大沢ナタリアの躰は震撼する。ピンチがすっ飛んで衝撃の次に痛みが襲う。一気に甲高い悲鳴になる。
 二発目は大沢ナタリアが磔られた躰を前に引き、脚首を後ろに逸らせたので太腿のフロント面が前を向く。
 ピンチの抓んだ部分がピンチの奥に隠れる。
 弾はピンチの抓む側面に被弾する。
 「ああーーおおおーーーーー」
 ピンチの抓みがずれ浅くなる。小さく僅かに抓んだ状態が見た目にも痛み、更にその痛みの繊細に感じさせる。
 「ああーーー。うおおーーーーーーー」
 甲高い悲鳴がバンケットを劈く。
 痛みに躰を震撼させる。浅いピンチの抓みが弾ける。
 「おお、おおーーーーーーーーーーーーーーーん」
 大沢ナタリアは眉間に深く縦長に皺を刻んで口を縦に割って叫ぶ。
 
 盛高知里はTSのトラックターミナルに戻らず、T市の湖畔のホテルに向かった。
 ホテルの部屋を個人でキープする。ホテルの事務所に下りてパソコンを借りる。USBを差し込んで表計算で自社のデータを集計する振りをする。
 後ろに人目が無い時にサーバーにアクセスする。パスワードは前から持っている。湯野中の女だったので誰も疑わない。
 此処にいる面々より盛高知里の立場が上なのである。
 図面を探し出して、プリンターの付近に人がいないことを確認してプリントアウトする。カモフラージュに表計算で作ったシートを直ぐ後に出力する。
 USBに図面データをコピーしてプリントアウトと共に持ち帰る。
 客室に戻って図面を確認する。ホテルの図面ではない。地下室の図面と地下通路の図面である。
 日本人居住区内の幾つかの家とホテルの地下が繋がっている。盛高知里の記憶ではそれ以外に日本人居住区の外に出る地下道がある。
 それらしい道は記載されている。だが何処に出ているのかが解らない。
 盛高知里は地図と照らし合わせて考える。
 終点部分に地図に示された建物などは無い。図面の長さから裏の山を抜けている事は解る。
 図を細かく見ると途中から道の形状が変わっている。その部分は造られた物ではなく天然の洞窟か何かではないかと思われる。
 入ってみるしかないと思うが一人で行く勇気は無い。出口と思われる山の反対斜面を調べるのが良いと思われるが、それも一人では怖い。
 もう一度部屋を出て、内山莉緒警部補と滝澤沙緒里が戻ってきて監禁される場所と、抜け道への地下から入る口を確認する事にした。
 山の反対斜面は明日飯星徳次郎らと行けば良いと考えた。
 
 大沢ナタリアの白い躰はスリムである。乳房だけが躰の線からはみ出て異常に大きい。巨乳と言って良い。
 片方の乳房は的にされ紅い小さな腫れが幾つか確認される。乳首を狙ったようである。
 さすがにこっちはプラスチックではなく蝋燭の弾丸を使っている。破壊力はやや低くなる。
 更に弱々しく白い太腿は両方とも紅い腫れと、ピンチが飛ばされて皮膚が剥け血が滲んだ箇所が幾つか確認される。
 大沢ナタリアは躰をぶるぶる震わせ既に虫の息である。
 「大沢ナタリアの本日のお仕置きはこれが最期です。明日は処刑します。最期のお仕置きは究極の部分を的にします」
 指示を受けた将校二人が大沢ナタリアの脚を片方ずつ持ち上げて、十字架の左右の柱に手首を固定した部分の上から縄で縛り付ける。
 局部の閉じ合わせたビラビラが正面を向けてその姿を曝け出す。
 大沢ナタリアは痛みと苦しさに唸り続けている。
 若い将校が膣にクスコを挿入する。
 「ああーーーー。なにするのーーーーーーーー」
 殆ど泣き声である。
 「先が尖った蝋燭の弾丸です。子宮口を狙います。壮絶な痛みです。悶絶状態が期待できます」
 女性司会者の残酷な宣言に、内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は震え上がる。
 「当たれば賞金千ドル。一人当たれば終了です」
 早い者勝ち一人目が撃つ。
 クスコの金属部に当たって、鈍い音で蝋燭の弾丸は砕ける。
 「おおーーーーーーーーーーーん」
 それでも大沢ナタリアは悲鳴を上げる。
 この将校は命中でないので賞金は貰えない。
 「よし次」
 二人目もクスコの縁に当たる。僅かに金属音を含んだ鈍い音がして弾丸は砕け散る。
 「ああーーーーーーーーーーーーー」
 大沢ナタリアはいっそう恐怖に躰を震わせる。
 この将校も命中ではない。賞金は貰えない。
 「次」
 三人目が撃つ。今度はクスコのど真ん中を貫く。子宮口にめり込む。
 「おおーーんおおーーーーーーーーーーー。がはああーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーん。ああーーー。あがーー。あがあーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 大沢ナタリアは狂わんばかりに断末魔の悲鳴をあげ、強烈な痛みに藻掻きながら縛られた躰を狂ったように暴れさせる。
 狂ったような猛烈な悲鳴は直に止み、止まらぬ痛みに白目を剥いてしまう。
 壮絶な光景に滝澤沙緒里は叫びながら漏らしてしまう。内山莉緒警部補も青い顔で震えている。
 「この女は本日これまでだ。湯野中氏のリクエストを実行しよう。明日は火炙りの処刑だ」
 ベイソン少将が宣言する。
 「それでは滝澤沙緒里のAVデビューのオープニング撮影を行います」
 女性司会者が爆弾宣告する。
 滝澤沙緒里は瞬時にどういう事か解らない。
 そこへ娼国警察員が久保田奈緒子娼国元巡査部長を引き連れて来る。
 娼国で育った日系人三世で娼国から空港に派遣されていた。滝澤沙緒里らに協力した事で拷問されAV嬢に堕された。
 久保田奈緒子元巡査部長は既に純白の下着姿である。
 「ああーー」
 滝澤沙緒里は心臓が張り裂けんばかりである。
 「滝澤沙緒里。もし貴方が、AVデビューのオープニング撮影をしっかりやらないと彼女を拷問します」
 「やめてーーーー」
 滝澤沙緒里は恐怖の表情で叫ぶ。
 篠田茉莉の射殺事件を追ってR国に入った時、滝澤沙緒里らは情報を得るため久保田奈緒子元巡査部長に協力を求めた。
 それが自分らの行動に彼女を巻き込んでしまった。滝澤沙緒里には大変な自責の念である。
 「オープニング撮影とかをやります。だから。彼女は許して下さい」
 滝澤沙緒里は床に手を着いて土下座状態である。
 「まあ。貴方が良く言うことを聞くように、一発だけサンプルにやってもらいましょう」
 若い将校が久保田奈緒子元巡査部長のブラを毟り取る。一人がショーツを引き摺り下ろす。
 「ああーーーーーー」
 久保田奈緒子元巡査部長は悲鳴を上げる。
 「おねがいーーーー。やめてーーー」
 滝澤沙緒里は必死に叫ぶ。
 将校らは四人掛りで久保田奈緒子元巡査部長を、大沢ナタリアと同じ様に十字架に開脚状態に磔る。
 「いやああーーーー」
 久保田奈緒子元巡査部長も泣き叫ぶ。
 「やめてーーーーーーーー。おねがいやめてーーーーーー」
 泣き叫ぶ滝澤沙緒里らを他所に、将校らは淡々と作業する。
 「局部を狙います。でもAV嬢なので先の丸い蝋燭の弾丸にします」
 「やめてーーーーーーーー。私がやります」
 「なに言っているの。貴方が受けたらAVデビューのオープニング撮影が出来ないでしょう。一発だけよ。その後、貴方が素直にやれば大丈夫よ」
 女性司会者は笑顔たっぷりに言う。
 「ああーーーーー。どうしよう。久保田ごめんーーーーーーー」
 滝澤沙緒里は床に這い蹲って泣き叫ぶ。
 それをよそ目に将校が銃を構える。
 「ああーーー。まってーーーーーーー」
 将校は正確に狙いを定めて膣口を狙う。
 蝋燭の銃弾は膣口にめり込む。
 「おおーおーーーーーーーーーーーーーーん」
 威力はそんなに強くない。めり込んで半分砕けている。
 「うぐうーーーーーーーーー。ぐわあーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 久保田奈緒子元巡査部長は狂ったように吊られたまま暴れる。
 そして失禁する。
 「ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 痛みが止まらず悶え続ける。
 医師が近付いて麻酔を注射する。
 医師の指示で将校らが磔から外して開帳台に乗せる。
 医師が処置に掛かる。
 滝澤沙緒里はスタイリストにメイクして貰う。その後何度もNGを出しながら撮影が行われた。
 AVデビューのオープニングが出来れば、本偏はこれまでの拷問を録画した部分が当てられる。
 オープニングを作る事で本人の意思でAVを作ったと証明される。
 
 翌朝、飯星徳次郎らが隠れる古い倉庫の二階に盛高知里が現れた。
 地図と図面を広げて抜坑の説明をする。
 飯星徳次郎らの表情が一気に明るくなる。
 「こんな手段があったのか」
 「とにかく今日中に下見をしましょう」
 木村史乃警部補も積極的に成る。
 「二人が戻されてくる明日が一番手薄です。明日中に決行してそのままTSの港に向かいましょう。漁船は手配してあります」
 盛高知里はこのチャンスに一日も早く日本に帰りたい。
 飯星徳次郎らは盛高知里の搬入した朝食を済ませて、移動してきたトラックで山の裏まで運んで貰う。
 飯星徳次郎。栗山秀樹。木村史乃警部補。河口晴奈国民党都議会議員の四人で向かう。若村真弓だけ倉庫の二階に残して来た。
 万一の場合、次に繋げる為である。
 比較的なだらかな山道を暫く進む。地図で確認した出口がある想定のポイント付近に着く。
 飯星徳次郎は道が山の斜面側に僅かにT字になっている部分を発見した。
 植物に覆われている中に何か隠れているように思われる。
 植物を割って少し進む。足元は固めている。盛高知里が用意した蛇に噛まれた時の血清も持参している。
 コンクリートの小さな建造物に突き当たる。
 「トーチカの様だな」
 飯星徳次郎が四角いコンクリートの前面に開いた目の様な窓を見付けてそう言う。
 「ドアがある」
 栗山秀樹が四角い建造物の奥に金属の扉を発見する。
 「鍵が掛かっている」
 トーチカの目から中を覗く。
 「何も無いな。入ってみよう」
 飯星徳次郎が銃を撃つ目の部分から入ろうとする。
 「私が行く」
 一番細身の木村史乃警部補が、脚から躰を突っ込んで中に転げ込む。
 内側から鍵を開けて全員を中に入れる。
 外から見えない入り組んだ位置に、坑道に入る口はあった。
 中は真っ暗である。ハロゲンランプとキャリーカートにバッテリーは積んできている。
 木村史乃警部補を先頭に、栗山秀樹がハロゲンを照らしてキャリーカートを転がす。
 飯星徳次郎が一番後ろを固める。
 直ぐに地図にあった天然の洞窟らしい部分に差し掛かる。鍾乳洞のようだがあまり濡れてはいない。
 脇道が多いので、迷わないようにトラロープが張られている。
 
 平佐和らは昨日まったり過ごし過ぎて遅めの朝食を取っていた。
 昨日と同じ階でテーブル席の小部屋である。窓からは米軍が裏庭の外。道を挟んだ空き地に天幕を張って何か準備している。
 大沢ナタリアの処刑を行う準備である。
 もちを焼く網を連想して頂きたい。その網が三メートル四方の大きさに作られたものである。
 ベッドの高さ五十センチくらいに横たえている。四方は四本のアームに載っている。
 網の下は中心二メートル四方ぐらい、厚さ二十センチくらいの石の囲いがある。囲いの中は底も石である。
 側面に四角い一メートルくらいの台が設えてあり、スイッチパネルがある。
 スイッチを押すとアームが伸びて網の高さが上昇する。
 若い将校らが台車で薪を大量に運んでくる。下士官四人が無言で薪を焚き火のように積み上げている。
 この網は良く出来ている。燃えにくい材質、かつ鉄のように熱くならない。
 被疑者が縛った部分の火傷で気絶しない配慮をしている。火にこんがり焼かれ、汗を噴いて、悶え苦しむ姿を堪能できるのである。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は此処では温泉旅館の洋室に泊められていた。
 鍵は掛けられており、ドアの外と窓の下には下士官が交代で見張りを行っている。
 二人の部屋からも網を準備する光景は見える。
 大沢ナタリアは反対側の部屋に看護士が付いている。
 旅館の仲居が憲兵に付き添われて昼食を運んで来る。韓国系現地人である。
 二人は深刻に話し合っていた。久保田奈緒子巡査部長の事。滝澤沙緒里のAVが日本向けに配信される事。飯星徳次郎らの事がやや希望である。
 「お前らはこの部屋から処刑を見守れ。時間に成ったらまた来る。処刑が終わったらヘリが迎えに来る」
 憲兵はそう言い置いて出て行った。
 
 飯星徳次郎らは鍾乳石の洞窟を抜けて、再び人工的に作られた坑道を進む。
 十分程進むと、盛高知里が用意した図に示された金属の扉が在る所に着いた。
 盛高知里から預かった携帯をワンコールする。
 その日は警備員も付いていない。盛高知里は鉄格子の前を抜けて地下通路の入口を開ける。
 その扉には防犯カメラが付いていない事は確認済みである。
 「無事に来られましたね。明日また同じ事をやりましょう。このまま元の通りお帰り下さい。後程伺います」
 予行演習である。盛高知里はそう言い置いて扉を閉めて戻る。
 飯星徳次郎らも速やかに倉庫に戻る。
 「何とか先が見えてきましたね」
 河口晴奈都議会議員は飯星徳次郎の一つ前を進む。帰りも先頭は木村史乃警部補である。
 続いて栗山秀樹がハロゲンを照らしてキャリーカートを転がす。
 「まだまだ。明日が一番大変だ。一つ間違えば全員捕らえられる」
 飯星徳次郎は慎重である。
 「でもこんな抜け道があるなんて」
 「偶然に連続で事がうまく運びつつある。こう言う時は用心しないとどんでん返しが来る」
 「船に乗るまで油断は禁物ですね」
 「いや。明日見つからず二人を救い出せれば、船に乗るまでは行けると思う。R国の沿岸を離れてからが問題だ」
 「警備艇に追跡されますか」
 「そんな程度では済むまい。娼国、R国の海軍。場合によっては米軍まで協力しかねない」
 「海に逃げたと気付かれなければ」
 「そうだ。まずは国内を捜査する。その間に親日国の港に入れば助かる」
 「直ぐにばれるかしら。巧く事が運び過ぎるのが気になるのですね」
 「まあ。こういう行動をしている時は、胸騒ぎはするものだが」
 飯星徳次郎自身も大丈夫と自分に言い聞かせている。
 
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里が見下ろしている窓の下を、大沢ナタリアが全裸で太陽の下に引きずり出される。
 天幕の中に連れ込まれ、下士官が四人で網の上に大沢ナタリアをうつ伏せに寝かせる。
 下には薪が積まれている。火炙りにされる事は瞬時に解る。
 「いやあーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー」
 大沢ナタリアは泣き叫ぶ。
 下士官らはがっちりその躰を押さえる。
 手首、脚首四箇所を、少し余裕を持たせて手錠で網に固定する。
 下士官らが離れると網は二メートルの高さまでアームを伸ばして上昇する。
 薪の中にシントルが投げ込まれる。底に流されていたガソリンに点火して薪に着火する。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 最初は火の熱はなかなか到達しない。上からの太陽のほうが暑い。
 大沢ナタリアの躰は冷房から出て来て数分で汗を噴いている。
 薪の炎は徐々に高くなる。
 大沢ナタリアは余裕の限り腕と脚を伸ばして炎から躰を逃す。
 「ああーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー。あああーーーーーーーーーーー」
 活きた鮑を網に載せて焼く。貝殻の上で身がくねくね踊る。大沢ナタリアも網の上で四つん這いに、躰をくねくね捩って炎から逃れんと躍らせる。
 悲鳴と涙と汗が飛散る。
 内山莉緒警部補は二階の窓から蒼白な表情で見ている。滝澤沙緒里は手で顔を覆ってしまった。恐怖にぶるぶる震えている。
 憲兵は部屋の入口で銃を構えている。この光景は目に入らない。
 網そのものは熱くならない材質で出来ている。下からの炎だけが大沢ナタリアを責める。
 鮑の踊り焼きも、焼きあがると徐々に踊りが止まる。
 大沢ナタリアも力尽き網の上に横たわり白目を剥く。
 そのままアームを下げて直火で火葬してしまう。
 刑務官らに交代して最期に骨を拾う。
 T市から内山莉緒警部補と滝澤沙緒里をヘリが迎えに来る。
 帰りは二人ともショーツ一枚で裸のまま高手小手に縛られ、脚首には長さ六十センチの鉄棒の左右に付いた脚錠を掛けられた。
 移送するのはT市の警察員である。
 だが、彼らにはあまりにも刺激が強過ぎた。堪え切れず警察員らは二人の躰に触り始める。
 「やめっろー」
 内山莉緒警部補が怒鳴る。
 「うるせー」
 警察員は内山莉緒警部補をビンタする。
 「やめっろー」
 「やめてーー」
 滝澤沙緒里も叫ぶ。
 警察員らは操縦している一人を除いて、内山莉緒警部補と滝澤沙緒里の一人に二人ずつ掛かる。
 一人が抑えて一人がバックで挿入する。
 「やめーーろおーーーーーーーー」
 いくら叫んでも警察員等は興奮しきっている。
 時間が足りない分ヘリは旋回を続ける。操縦を交代して五人全員が、二人に一回ずつ入るまで続けられた。
 到着が遅れたので、市警の署長が日本人居住区に出向いていた。
 「通信が途絶えて遅れたが、どうしたのだ」
 「すみません。こいつらが暴れたもんで」
 「うそよ。あんたらが強姦した」
 「なんだとー。きさまら」
 「嘘だ!」
 「二人を調べろ」
 署長は婦警に命令する。
 「間違いありません」
 婦警は簡単にザーメンの残留を確認する。
 五人は逮捕された。
 署長は集まっている関係者の中で湯野中に近い人物を探す。盛高知里を見付けて近寄る。
 「どうしたものでしょう」
 「待ってください」
 盛高知里は湯野中に電話する。
 「知里です」
 「どうした」
 「護送してきた二人の日本女性ですが、護送の警察員がヘリの中で」
 「やってしまったか」
 「ええ。今婦警が二人の躰を確認して、署長が五人を逮捕しました」
 「表面的に不問にしろと言ってくれ。但し出世は無いとな」
 「やはりそうですね」
 「表面的に不問だそうです。但し出世は無いと」
 「判りました」
 盛高知里が二人を鉄格子に連れて行く。警備員が四名前後を固める。
 手錠と脚枷を外して鉄格子に一旦収める。警備員が引き上げたところで二人を手招きする。
 盛高知里はカメラの死角を知っている。自分の映らない四角に呼び寄せる。
 「静かに私の言う事を聞いて下さい」
 「明日。飯星徳次郎さん達が迎えに来ます。私が手引します。それまで静かにしていて下さい」
 「貴方は」
 「私は元湯野中の女です。今はこの国で流通商品の配送会社をやっています。もう船の手配も出来ています。明日一気に決行します。私も行きます」
 「はい」
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里には、元湯野中の女と言う、盛高知里の真意が飲み込めた。
 「何も言わずに静かに。今日と明日の朝は食事をしっかり摂って下さい」
 「はい。よろしくお願いします」
 滝澤沙緒里は小声だが涙が滲んでいた。
 
 盛高知里はそのまま日本人居住区に搬入する二トン車を運転して検問を通る。
 盛高知里は荷台の扉を開ける。防犯カメラに中まで映る角度に止めている。運転席のドアも開けて中を確認させる。
 警備の警察員は盛高知里の車なのでろくすっぽ見ない。
 「駄目よ毎日ちゃんと確認しないと」
 むしろ逆に注意する。明日やれば態とらしいので今日注意したのである。明日も同じ警備の警察員が居る事は判っている。
 明日はこの中が空である証明が重要である。
 「はい」
 警察員らは盛高知里が湯野中の側近で、自分らより立場が上なので指示に従う意識で返事する。
 そのまま飯星徳次郎らが待つトラックターミナルの倉庫に向かう。
 本来はトラックターミナルに二トン車を置いて、トレーラーに乗り換える。
 明日はその予定である。
 若村真弓が夕食の準備を整えていた。
 「何とか抜け穴は確認できました。巧く行きそうですね」
 飯星徳次郎は楽観してはいない。盛高知里の好意に応えてそう言ったのである。
 「二人は間違いなく戻りました。明日は北側の幹部組織の面々は一人もいません。決行出来ます」
 「ありがとう御座います」
 河口晴奈国民党都議会議員が深々と礼を述べる。全員が感謝の意を示す。
 「明日はお二人にワンピースだけ着せて、問題の扉から出します。履物はこちらから持ってきて下さい」
 「手引するときは大丈夫なのですか」
 「警備員は昼食の時に眠らせます。独房を見張っている防犯カメラは警備員が動かさない限り二人の房内に向いています」
 「何台あるのですか」
 「二台だけです。警備室も臨時でカメラも後から付けたものです。元々はホテルの倉庫の一角を特別区画にしただけです」
 「そこから逃げても街が塀に囲まれていて、容易に出口はないからその程度の監視という訳ですね」
 「何処まで考えているか解りませんが、彼女らを捕まえてとりあえず監禁場所を作ったと言う状況です」
 「抜け穴は警戒してないのですか」
 「その存在を殆どの人が知りません。私も以前に偶然ホテルのサーバーの中に見付けたのです」
 「以前からいろんなところを調べていたのですね」
 「ええ。湯野中はあの街を天然の要害と言っていました。でも、包囲されたら逃げられないのでは思ったとき、何処かに脱出口があるのではと調べました」
 盛高知里はその日も日本人居住区のホテルに戻った。戻るときは乗用車である。さすがにTSに戻って明日来る時間は無い。
 総て身の回りは整理した。この国に欠片も未練はない。明日はそのまま船に乗る。
 
 真紀子らはその夜。湯野中を交えて和風庭園の見下ろせる小部屋で宴席を組んだ。
 「米軍は悦んで貰えた様で。問題は日本から進入した五人ね」
 「まったくこっちで手掛かりは無い」
 「奴らは必ずT市に向かう筈よ」
 「街道は検問している。山道を徒歩で移動しない限り直ぐに目に付く」
 「S市から徒歩では無理よ」
 「まだSに隠れているのじゃないか」
 「日本人の協力者が居ないか虱潰しに当たっているよ。T市に着いて隠れている事は無いの」
 「隠れるところなど無い。山にテントでも張れば別だが」
 「ホテルは」
 「毎日確認している。ビジネスもラブホテルも該当する客は無い。みな素性の解った日系企業の社員ばかりだ」
 真紀子にもそれは解る。だが、胸騒ぎは禁じ得ない。
 「海外で資産の凍結なんて事態には簡単には成らないと思うけど。ああいう分子が蔓延れば他国のマスコミが騒いで、国内にも微力に世論が沸き始めるわ」
 「何処に潜伏しているのかな。カメラマンの女を撃ったのが祟っているのか」
 湯野中は煩わしい。
 「現地人の警察員だけの検問で大丈夫かしら」
 「うーむ。もっと軍の幹部を投入するか」
 「こっちでG市の検問を出させる」
 「うん。そうして貰えれば。D川の境界も見て貰えればいいな」
 湯野中もその辺は心配である。現地の警察員だけでは不安は無いとは言えない。北軍の精鋭を出せば事が大袈裟に成る。多くは動員できない。
 「いいわ。珍しく低姿勢ね」
 「ああ。街道とD川からT市に入る支流の一番浅いところと、日本人居住区の入口は見張っているが、その練度は低い」
 「判った。二日以内に手配するわ」
 湯野中があっさり従ったので、真紀子もそれ以上追及は留まった。
 「誰か協力者が居て何処かに匿われているとしか考えられない。どちらにしてもT市を目指して来ると考えられる」
 「またはこの国に入り込んで、行動が取れなくなって出国手段を探しているかだな。楽観は出来ないが」
 平佐和の意見である。確かに逃げ道を見出そうという考えも一理ある。彼らは既に出口を絶たれている。
 「確かに空港から堂々と出国はできないわ。でも協力者が居れば何らかの方法があるかも知れない」
 「問題は飯星徳次郎という人物だ。あいつが発言するとめんどうだ」
 平佐和は飯星徳次郎を良く知っている。
 「どこかの日系企業が協力しているという事はないのですか」
 市江廣子がするりと口を挟む。
 「可能性は高いな」
 「そう」
 「そうなると北の警察は殆ど検問しないに等しい。昨日俺の女だった配送業の社長が、自分の車の検査がスルーなので警察員を注意していた」
 「T市に繋がるところで、湯野中さんの息の掛からない企業はどのくらい有りますか」
 「今は皆無だ」
 「韓国企業も」
 真紀子らしくない質問であった。
 「韓国内の大手企業でさえ、生粋の韓国企業とは言えない。銀行に至るまで外資の餌食だ。北側には息の掛からない韓国企業は無い」
 「そうね」
 「それに韓国企業が飯星徳次郎に協力する事はあまり考えられないな」
 平佐和も否定する。
 「最初に彼らが立ち寄った店と、マスターの行動は見張っているけど何も起きないわ」
 「まあ。明日津島氏とよく打ち合わせをしよう。奴らは生かして帰す訳には行かない」
 
 翌日、盛高知里はホテルを自家用車で出て、昨日の様に飯星徳次郎らの居る倉庫に向かう。
 二トン車で飯星徳次郎らを昨日と同じ山の麓まで送り届けて、日本人居住区に戻る。
 今度は搬入する荷物を積んでいる。TSからの荷物の一部である。飯星徳次郎らを乗せるため多少は調整している。
 本日も若村真弓だけ残って荷物を纏めて待つ。万一、飯星徳次郎らが戻らなければ若村真弓だけ日本に帰る。
 盛高知里は日本人居住区の入口で検問を受けて、ホテルと二軒のコンビニに荷物を降ろす。
 降ろす作業は現地滞在のスタッフ任せである。荷台の空もスタッフらが確認している。
 そのままホテルの駐車場に止めて、連泊している自分の客室に一度引っ込む。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里を管理する警備員二人が、彼女らに昼食を搬入して、彼らが昼食を終える頃を見計らって通風孔から催涙ガスを流す。
 警備員二人が眠っているのを確認して、カメラの向きを確認する。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里の鉄格子の奥、バスタブと便器の辺りに照準が向けられている。扉付近は死角に成っている。
 予定通り抜抗を通って来た飯星徳次郎らからワン切りコールが成る。
 彼女らを扉に引き寄せ、ワンピースを頭から被らせ、鍵を開けて抜抗の入口に誘導する。
 抜抗の入口を開けて無言で二人を飯星徳次郎らに引き渡す。
 そのまま警備室を確認して二トン車に乗り込む。日本人居住区の入口で荷台の観音開きの扉を開放して内部を確認させる。
 態と防犯カメラに内部が映る位置に止めている。運転席も開けて中を確認させる。
 昨日の忠告で一応きっちり確認する。
 そのままゆっくり山の麓まで行き、飯星徳次郎らを乗せて倉庫に戻る。
 TSに向かうトレーラーには若村真弓が乗って待機している。それに乗り換えて直ぐに出発する。
 運転しているのは金達寿という韓国系二世の専務である。T市のホテルで働いていたのを拾った。
 盛高知里が湯野中を離れてから関係が出来ていた。
 金達寿は盛高知里が日本に帰る事を承諾した。配送会社は彼が引き継ぐ。今回の計画に一人だけ協力して貰った。
 走行する車内で荷物にカモフラージュされた奥の一角。遅い昼食を取りながら内山莉緒警部補と滝澤沙緒里の受けた仕打ちが語られて行った。
 一番驚愕したのは、米倉礼子と古館明の心中シーンを丁稚上げる為、内山莉緒警部補と滝澤沙緒里に情液を抜かせた事である。
 若村真弓は嘔吐した。河口晴奈国民党都議会議員は嗚咽した。飯星徳次郎は口をへの字に拳を握り締めて無言である。
 米軍の接待内容にも無言の怒りが車内の空気を緊迫させた。
 無言の時間が長く続いた。
 「どっちの親日の国に逃れるかだな」
 道程の半分を過ぎて飯星徳次郎が口火を切った。
 「漁船の燃料に限界があります。南シナ海に入るのが限度です」
 「F国に行きたいが難しいかな」
 「航続距離が足りません。BL国までが限界です」
 「ぎりぎりまで航行して日本に救援を求めてどうかしら」
 「距離があり過ぎる。連絡を取れば先に追っ手に捕まる」
 「そうですね」
 トレーラーは無事にG市を通過した。もし一日遅れていれば娼国警察の配備が追い着いていた。
 G市警だけで毎日通る湯野中系企業のトラックなので、検問は形だけで後ろの扉を開け助手席を見ただけである。
 運転している専務も警察員らは顔見知りである。
 
 その頃、眠りから覚めた警備員が、鉄格子が空なのに気付いて騒ぎ始めた。
 湯野中らは真紀子を伴ってジェットヘリでT市に引き帰した。
 日本人居住区を固めるT市の警察員らは、二人を含めて他所者の出入りは無かったと証言する。
 「まさかと思うが知里さんの車」
 指宿が疑問を呈する。
 警察員もスタッフも盛高知里の行動の通りを証言する。
 行きも帰りも荷台はおろか車体の下を見るカメラ、赤外線センサーまで他に同乗者が居ない事を証明している。
 「盛高さんには数日前、きちんと見ないと駄目と注意されたばかりで、荷台から助手席まで確認しています」
 警察員は胸を張って答える。
 裏の崖下の死角を見張るカメラも、屋上のカメラも何の変化も無い。
 「まだ中に居るだろう。徹底的に探せ」
 湯野中は日本人居住区の中に潜んで居ると見ていた。
 「一応沿岸と国境の見張りを強化しよう」
 「判ったこっちの空母を出す」
 真紀子は娼国の海軍を沿岸に出動させる手配をする。
 「中国国境を完全に固めよう。T国は心配ない。中国はどう出るか解らない」
 「そうね」
 真紀子も指宿の見解に同調する。
 更に指宿はラドルフマイカル少将に連絡して、北側の潜水艦を湾内に展開させる。
 「知里は何処に」
 「TSに向かっていると思われます。本日はチェックアウトしています」
 「G市で通過車輌のリストに運転者が金専務で、盛高社長が同乗と記録があります。三時間前です」
 「妥当な距離だな。男と一緒か」
 指宿も納得する。
 「第一、知里が飯星徳次郎らと繋がりがある筈がないぞ。十年以上こっちに居るのだ」
 「確かに他の線を考えたほうがいいわ。無駄でも沿岸と港を固めましょう」
 真紀子も盛高知里の懸念は無いと考えた。
 
 盛高知里らはTSの漁港に着いていた。仕入れの在る水産会社の桟橋を借りていた。
 船に荷物を積み終えて飯星徳次郎らは既に乗船している。盛高知里は金達寿に会社を引き継ぐ書類を渡して最後の別れを交して船に乗り込む。
 「進路は」
 「BL国しかないです」
 「そうだな」
 その頃、娼国の空母は出港点検を行っていた。軍には不法入国のマスコミが逃走の恐れありと通達されている。
 漁船は最大船速である。三十二ノットは出る。軍艦には敵わないが客船などよりは遥かに早い。
 「奴らが、あの日本人居住区に潜んでいると考えてくれればよいが」
 飯星徳次郎は不安を拭い去れない。
 盛高知里は既に死は覚悟している。あの国で老いるのを待つくらいなら、懐かしい日本に向かって最期の賭けである。
 このチャンスしかない。日本が帰化した者の亡命を受け入れてくれるか疑問であるが、飯星徳次郎らの支援があれば可能性はある。
 
 「抜け穴を使ったという事は無いか」
 指宿は日本人居住区内の捜査に限界を感じていた。
 「どうしてあの抜抗の存在を知るのだ」
 「知里さんは」
 「教える訳が無いだろう」
 湯野中は憤然と否定する。
 だが、指宿は納得しない。
 「知里さんはホテルの事務室には出入りしていたね。抜抗のデータは」
 「サーバーに有るが」
 「調べてみよう」
 指宿はExcelファイルを探してプロパティを見る。
 「最近誰かが開けたな。五日前だ」
 「なに」
 全員に緊張が走る。
 指宿は盛高知里の携帯を鳴らす。そろそろ通じても良い頃である。
 電源は切られていた。
 続いて金達寿の携帯に掛ける。
 金達寿は直ぐに出た。
 「盛高さんは其処にいるか」
 「いいえ。盛高さんは先ほど日本に帰りました」
 「うーん。どういう事だ」
 「回りには内緒で、私に会社を引き継いで日本に帰ると言っておられました」
 「どうやって帰ったのだ」
 「漁船です」
 「どこの」
 「日本の漁船でした」
 「他に何人いた」
 「日本人が七人です」
 「そいつらは不法入国だぞ」
 「飯星さんと若村さんの査証は見せてもらいました。不法入国ではありません」
 「何故日本の船と解る」
 「第三花咲丸と書かれていました。船籍は根室花咲漁港です」
 その間にも指宿の部下と真紀子が、指宿の会話を聞きながら手配に掛かる。
 「盛高知里が日本に帰れると思っているのか」
 「そんな本人の意志ではないですか。私は会社を譲ってもらいましたし」
 「何も解ってないな」
 「もういい。その男を責めるより協力させろ」
 湯野中が横から指令を出す。
 「いいか。お前の立場は微妙だぞ。これからこっちに協力しろいいな」
 「は、はい」
 「金はあっさりしゃべったんだろ。そいつは何も知らずに女に利用されただけだろ」
 「そのようですが」
 湯野中らはジェットヘリで潜水艦に向かう。洋上で合流する。真紀子は娼国の空母に向かうよう薦める。
 洋上に着いてからの判断となった。
 逃す訳には行かない。全員に緊張が奔っている。
 「おやじ、いったい何処で知里さんと奴等の接点があったのかな」
 「解らん。ジャーナリストなんかと接点があるとは思えなかった」
 「誰か紹介者が居たのよ」
 「例えば」
 「この国に住む日本人で、飯星徳次郎か古館明と近しい人物ね」
 「知里に接点があるとすれば商品を納めるコンビニ、飲食チェーン、スーパーだ」
 「日本人経営のコンビニはまずない。日本人が関わればエリアマネージャーくらいだが。あまり居ないな」
 「飲食チェーンだが飯星徳次郎や古館明と接点があるかな。経営陣以外、現地人だけだ。客も現地人だ」
 「スーパーも同じだな」
 「日本人がこの国に来て飲食するのは、ホテルか個人経営の店だけだ」
 「ちょっと待って。最初に飯星らが現れた日本人料理店のマスター」
 「見張っていたんだろ。それに知里がそこまで食事に行く行動はあまり考えられないな。空港から向こうに行動半径はない筈だ」
 「言い切れるの」
 「そっちに行動半径はない」
 真紀子は津島に連絡を取る。既にS市の上空まで来ている。携帯は通じる。
 「盛高さんのTSのターミナルなら可能性はある」
 「どういうこと」
 「ちょっと当たってみる」
 津島は一方的に電話を切る。
 「どうしたんや」
 湯野中の質問に真紀子は津島の見解を説明する。
 直ぐに津島から折り返しの連絡が入る。
 「TS市の養殖場だ。其処で知り合ったらしい。どっちも養殖場に買い付けに来ている。」
 「判った」
 「だが。マスターを逮捕したりしないほうがいい。見張るだけで本人に影響がなければそれ以上動かない」
 「逮捕したりすると、海外メディアが騒ぐかもしれないわね」
 真紀子も津島の言う事は理解出来ている。
 「何もしなければ奴はそれ以上騒がない」
 
 洋上を全速で航行する漁船の中である。
 若村真弓が肉を切り野菜を焼き。鉄板でバーベキューを楽しみながら、ビールとワインで乾杯して、気を紛らわしながら会話を続ける。
 「ねえ。知里さんと同じ立場だった他の女の人達はどうしているの」
 「大方は持ち株の配当だけで生活しています」
 「株の配当だけで」
 「はい。湯野中系資本の保証する株ですから、日本、韓国の大手企業と、湯野中の資本が絡む企業です。損失が出た事は有りません」
 「何故、貴方は同じ道を取らなかったのですか」
 「閉鎖された社会に生きるより、少しでも人と接する機会が有ればと思いました」
 「そう」
 「日本では相当にお金がないと買えない豪華なマンションと、持ち株の配当だけで充分贅沢な暮らしが出来ます。この国を出なければですが」
 「何重にも、湯野中の資本が亜細亜中から吸い上げる構造が出来ているのね」
 「資本の半分以上を系列で押さえて、経営陣はその国の人を立てますが、末端の派遣従業員を安い賃金で働かせ利益の大方を吸い上げます」
 「本社と幹部をこの国に引っ張ってSM三昧にして、亜細亜中から利益が流れる構造ね」
 若村真弓は日本国内の現実を思い浮かべて怒りを露にする。
 「日系人だけで上部構造を押さえて、本来の国民は安い労働力にされ貧民生活というわけだ」
 「そうでもないのです」
 農民は湯野中資本や娼国系資本が機械化農場を作って、土地に見合う分の資本参加している。
 漁民は船を提供され漁獲高は日系人が買い取ってくれる。
 工業に従事しても最下層の労働力ではない。ある程度はロボット化され、それ以外はもっと途上国から出稼ぎの労働力を入れている。
 「風俗に流れる女性が多いのでは」
 「それが、現地の女性は減っています。最近は日系人には付きません。現地の女性は現地のお客のみです」
 「この国では風俗嬢を創っているのではないか」
 「そうですが、現地の女性は生むだけです。種は日系人の掛け合わせです」
 盛高知里はそこまでしか知らない。現実は現地人用と一般日本人、日系人用であった。
 「それはこの国の民族ではないと区分されている訳だ」
 「それが日本人向けの売春婦ってこと」
 「そうです。でも、日本人及び日系人幹部には日本からの出稼ぎの女性です」
 「まあ」
 若村真弓の表情は更に怒りを濃くする。
 「篠田茉莉の追っていった問題はかなり深刻な現実だな」
 「はい。私もその一人でした」
 「日本から連れてこられた人は皆どうしているのですか」
 「殆どがお金を得て日本に帰ります。私は湯野中の女にされ事情を知りすぎたため帰れませんでした」
 「最初にお会いした時、そう言われたわね」
 若村真弓は盛高知里から最初に聞いた説明を想い出す。
 「現地の女性で売春に入った人達はその先どうなるのですか」
 「大概はお金を得てお店を持つか、湯野中グループの進める海外投資で老後は安泰です」
 「国から出なければ娼国や湯野中の経済力の恩恵で、大方の国民生活は安泰という訳ね」
 「そうです」
 「政治に参加出来なくても、文句を言わない範囲に安泰化させて、外に出られないだけと言う訳ですね」
 「いいえ。政府の企画するツアーに限って海外旅行は可能です。むしろ海外の経済難民を見せる方針です」
 「なるほど監視付きかつ、他と比較して自分等がむしろ恵まれていると教える訳だ」
 「そうです」
 
 真紀子は湯野中や指宿を伴って、娼国の空母加賀の艦橋に居た。
 「索敵機は全部で四十機。二隻の空母から二十機ずつ出ています。一直が折り返す十八時に二直を出します」
 参謀らしき少将の徽章を付けた軍人が説明する。
 「暗くなる前に発見したいわ」
 真紀子も苛立っている。
 既に警備の艦船は漁船を片っ端からチェックしている。船名等を航行中に変えるのは難しい。出港時に船名が書かれていた事は確認している。
 亜細亜で親日以外の国は少ない。T国以外娼国の力は及ばない。T国の排他的経済水域を脱出する前に押さえねばならない。
 
 指宿は別の作戦を考えていた。潜水艦二隻にF国に向かう航路と、BL国に向かう航路に絞って追わせた。
 ベイソン少将に御願いして、アメリカ海軍のカールビンソンもその付近の海域に向かってもらった。
 
 「もうじき日が暮れる。T国の排他的経済水域から出れば、あからさまな攻撃は出来ない」
 「もう一息ですね」
 河口晴奈が飯星徳次郎の気持ちに同調する。
 盛高知里は祈るような気持ちで無言である。
 木村史乃警部補は気分を紛らわすビールを飲みながら、後方の空を見張っている。
 漁船のレーダーに戦闘機、索敵機らしき機影は写ってない。
 時々ソナーを使って後方を確認する。ソナーに反応も無い。気付いて追って来るまでにはそれなりの時間が掛かる。
 
 R国北の潜水艦である。
 「艦長。この分だと追い着けるのが公海に出てしまいます」
 「全速で追いかければ公海に出たあたりで追い着く。必ず進行方向に居るはずだ。一気に艦首で蹴飛ばせば良い」
 「潜望鏡で船名を確認しないのですか」
 「已むを得ない。何としても止めねばならない。違ったら事故で済ませる」
 
 「ソナーに何か映っている。潜水艦かもしれない」
 ソナーを時々操作していた内山莉緒警部補が騒ぎ出す。
 「潜水艦だな。速度が速い」
 飯星徳次郎が確認する。
 「とにかく全員救命胴衣を」
 栗山秀樹が即座に救命胴衣を配る。
 「ゴムボートが有ったな」
 「有りますけど」
 盛高知里は不安な表情で唇を青くしている。
 「近くに島が在る。追い着かれたらゴムボートで脱出して、島に逃れて救援を呼ぶ」
 日は落ちている。飛行機からの発見は難しい。
 「真っ直ぐ向かってくる」
 「携帯は使えるか」
 「駄目圏外」
 木村史乃警部補が答える。
 「だめーー。突っ掛って来る」
 「エンジン止めろ。ボート下ろせ」
 木村史乃警部補と栗山秀樹が先にボートに飛び移る。
 栗山秀樹がエンジンを掛ける。
 飯星徳次郎と内山莉緒警部補が飛び移り、他の三人を受け取る。
 栗山秀樹が舵機を捜査して漁船から離れる。
 潜水艦が漁船を前甲板に蹴散らして浮上する。セイルだけを出して船体は潜った状態である。
 セイルに乗員が出て探照灯を照らす。
 漁船は転覆している。
 「左舷。ゴムボートだ!」
 「取り舵45!」
 潜水艦の船体は逃げるゴムボートの真下に来る。
 「浮上」
 ゴムボートを前甲板に載せた状態で潜水艦は静かに浮上する。
 直ぐにハッチが開いて自動小銃を持った水兵が出て来る。
 八人は潜水艦に収容される。
 潜水艦からの連絡で真紀子らがジェットヘリで追っかけて来る。
 「四人の女はもう一度捕虜ね。叔母さんと男は遺体でアメリカの空母で日本に帰すとして、手引した女はどうする」
 真紀子は盛高知里をどうするか湯野中に確認する。
 「鮫の餌さだな」
 湯野中は怒りに任せている。
 「駄目よ。海に放り出して泳いで助かったらどうするの。殺すならコンクリートに詰めて発射菅から捨てるのよ」
 「鮫の餌では確実でないか。残りは海水を飲まして遺体で日本送りか」
 「違うわ。水槽に海の水を入れて、水温を一気に下げて心配停止よ」
 真紀子はとことん用心深い。
 「なるほど自然だな」
 指宿の機転で危険を回避した。戦略は読めるが、戦術では湯野中は真紀子に敵わない。
 そして盛高知里の裏切りは、連れてきた日本人をどう処遇しても、内心は刃を向けていたと悟らずには居られなかった。
 「沈めた漁船を調べたほうが良い。日本の船ではない。日本の船なら救命胴衣などに船名が入っている筈だ」
 指宿が疑問を呈する。
 「R国の漁船を偽装しただけじゃないの。こっちで造った日本製でしょう」
 「問題は、盛高知里が一人で出来るはずは無い」
 「ならば、もう少しあの女を生かして調査すべきね」
 真紀子も指宿の考えには同調する。
 直ちに若村真弓、飯星徳次郎、栗山秀樹の処刑は艦長以下で実行され、救命ボート共、米空母カールビンソンに引き渡された。
 遺体をもう一度、救命ボートで海に流し、カールビンソンが引き上げる手はずで行われた。
 末端の米軍水兵らが、余計な情報を流さない配慮である。
 「親爺。この女達をあのホテルに監禁は危険だぜ」
 「娼館島に委託するか」
 「それがいいわ。南の島も改善してこの潜水艦位なら入れるよ。あそこで監禁するにはもっと改善しないと」
 「そうだな」
 湯野中もあっさり認める。
 潜水艦は北の島で桟橋から乗り込んで来た津島の誘導で、南の島に海中から進入した。
 五人の収監者を降ろす。
 盛高知里を除いて、四人は向かい合わせ隣り合わせの独房に入れられる。四つの独房は十字の通路を挟んで会話が出来る。
 四つの独房は鉄格子がなければ壁で区切られて大枠は一つの部屋である。
 縦の通路は左右の独房の間に貫通路が有り扉が付けられている。
 横の通路は独房の奥行きの壁で行き止まりである。
 各部屋には便器と猫脚のバスタブが設置されベッドも洗面も有る。
 一度全裸で放り込まれたが、バスロープとバスタオル、フェースタオルが投げ込まれる。
 銃を持った兵士に守られて警備員がワゴンで夕食を搬入する。
 盛高知里は別の階に入れられた。行き止まりの角部屋である。服は脱がされない。トイレも浴室も壁に囲まれドアも付いている。
 盛高知里は既に艦内で漁船の入手経路を白状した。協力者は金達寿と同じ様に盛高知里の本位を知らない。
 手配者は盛高知里の会社で使うものと思っていた。日本の船名を付けたのも盛高知里の好みと疑わなかった。
 それにもう一年も前だと話していた。他にクルーザーも買っていた。
 この独房の作りでは自殺の危険が有る。だが、防止する考えは無い。いつまでもこのまま此処に入れておくだけである。
 湯野中らはとりあえず一段落と、安形主席を交えて宴席を設けた。唯一南面に窓のある座敷である。
 南の島は木に囲まれ、中央部だけが僅かに明かりを放っている。
 「明日はあの四人の女躰崩壊と行きますか」
 湯野中は日本酒をコップ酒で御満悦である。先程までの緊張も解れて酔いも少し回っている。
 「あの女どうするの」
 「あのまま終身刑だ。若いときは良い女だったがな」
 「用済みに成って、帰さなかったのが失敗ね」
 「秘密を知り過ぎたんだ」
 「騙されたと知らなくても、日本から売春に連れて来られた女を信用し過ぎたのね」
 真紀子も湯野中の失敗の巻き添えである。
 「ああーーそうだよ」
 湯野中も言い訳は出来ない。
 「日本に帰してこっちの監視が利く不動産とか与えて、系列企業のどっかのポジションに入れてしまえば良かったのよ」
 「此処で親爺の女になることで、ハードコンパニオンの辛さからは逃れられたのだ。日本に帰れさえすれば余計な事はしなかったと思うな」
 指宿も真紀子の言い分を理解する。
 「そうよ。借金返して日本に帰って僅かな収入で暮らす事を考えれば、地位と資産を与えられれば、自分の過去を明るみに出してまで反逆はしないわ」
 表に立たず底辺から確実に浸透する湯野中の戦略も、こういう面ではもろに親父的やり方で失敗を演じる。
 ハードコンパニオンに金を持たせて返す。日本に戻ってからは稼いで来た様に暮らしてもらう。
 盛高知里にだけ湯野中のしたたかなやり方の逆を演じたのである。
 「そうだよな」
 湯野中も回りから責められて力なく納得する。
 「もっと国が力を持たないといけないな」
 安形がポロリと言う。
 「そうだよ。総て欧米や日本の論理で制約されては国家の意味がない」
 「まだ我々に力が足りないのかな」
 「経済力は有るわ」
 「軍事力か」
 「アメリカに勝てなくても、中国は防げるわ」
 「軍事力を強化するか」
 「量じゃないわ。質よ」
 「質的には高いよ。ロボット技術は知られてないが軍として動かせる。潜水艦も一千メートトルまで潜る」
 「核が無い事でしょうかね」
 「要らない。核を迎撃する技術は持っている。一発目は海上で迎撃でも、何発も撃とうとすれば既成事実で中国上空で落せる」
 「アメリカは」
 「アメリカは貴方が懐柔するのよ。向こうは金がないのよ」
 そこは現実にやっている湯野中の役割と押し付ける。それに関しては湯野中を評価したのである。
 「そうや」
 「足りないのは、国際的な宣伝よ」
 「軍事力を宣伝するか」
 「それだけじゃない。R国は欧米や日本韓国が解決できない問題を解決している。売春だけを盾に取られるのを逆宣伝すべきよ」
 真紀子はここが確信と言い切る。
 「そして我が国に経済制裁すれば、ロシアに経済制裁するよりその報復制裁が大きい事を示すべきだな」
 湯野中も納得して気炎を吐く。
 「そうよ」
 「先進国の大方がこれから介護の難題を解決できないよ。特に日本、中国は。方法はどうであれ我が国は解決している」
 真紀子は更に核心部分を突く。
 「方法はどうであれ少子化も」
 安形が更に付け足す。
 「そうだな」
 「宣伝は良いけど。先進国のマスコミを入れるのは」
 村上はここが不安である。
 「そこはやりようよ。亜細亜の途上国に、インターネットと求人にくっつけてこっちで造った宣伝を流すのよ」
 「インターネットは先進国向けか」
 話が纏まって、四名は南の島の薄らとした夜景を眺めながら祝杯を上げた。
 R国では女性の社会進出がどうのとは誰も言わない。完全に男女分権である。一部の例外を除いて女性の職業は限られる。
 美人に生まれた者が売春婦。又は第二婦人。
 それ以外は代理母及び保母。または介護士である。
 保母が居ても主婦が子供を預けて働く託児所はない。
 一部の金持ちには家庭に派遣される保母も有るが、大方は代理母が生んだ事業的計画出産の子供である。
 そのうち日系人の種を計画出産したのが、日系人一般向け売春婦となる。
 資産家向け上級が日本からの出稼ぎである。
 現地人の種は市江廣子の提案から現地人向けと限定された。
 そして公的計画出産の現地人男性が、役人、警察、軍人等の公務員。企業的計画出産が企業戦士になる。
 家族という絆が三割くらいの人にしかない。恋愛も同様である。大方が売春で賄われる。
 この国で殆どが義務教育のみである。それ以上に行くには、学力面、金銭面とも狭き門となる。
 女性で上級の学校に進学するものは、家計で育った日系人を除くと僅かに0.1%の前後である。
 それが逆に社会を安定させている。
 
 収監された四名は絶望に沈んで暫く口も聞けなかった。誰も食事に手を付けない。もちろん船で肉は食べて来た。
 「知里さん。どうなったのかしら」
 木村史乃警部補が想い出したように疑問を発する。
 潜水艦から降ろされるまでは一緒であった。
 「私達が殺されなかったのは、ハードSMで接待に使うためよ」
 内山莉緒警部補がここのお決まりと言わんばかりに憮然と答える。
 「では知里さんは」
 木村史乃警部補は殺されたのではと懸念を示す。
 「殺すなら一緒に殺したのでは」
 河口晴奈議員はあの場で殺さなかったから生きていると考えている。
 「日本に遺体を帰すわけに行かなかったのよ」
 内山莉緒警部補は現状を理解している。
 「酷い奴らよ」
 木村史乃警部補は怒りを露わにする。
 「私たちにはこれから地獄が待っている」
 滝澤沙緒里は帰れると昨夜泣いて喜んだのが絶望に暮れ、かつ恐怖に怯えている。
 四人が収監されている鉄格子の通路に指宿が入って来る。
 静かに四人を見渡す。
 全員バスロープの前を繕う。
 「食事は食べないのか」
 「食べられる訳ないでしょ」
 「船で食事は摂ったのか」
 指宿は滝澤沙緒里に聞く。
 「はい」
 「判った」
 「指宿さん。千里さんは」
 滝澤沙緒里がこのタイミングにと確認する。
 「二つ上の階で和室に居るよ」
 「どうなるのですか」
 内山莉緒警部補が続いて質問する。
 「終身禁固だな」
 「殺されることは無いのね」
 木村史乃警部補が確認する。
 「親父がそう言っているからな」
 「もう一つ。米軍の接待に連れて行かれた日本の温泉みたいなところの女将。市江廣子さんですよね」
 内山莉緒警部補は気に成っていた事をここで聞いてしまう。
 「そうだ」
 「どうしてあそこに」
 「あれは恩赦で終身執行猶予。そして今は我々の良き協力者だ」
 「協力者。信じられない」
 「人は長い間追い詰められ、元の自分に戻る道が無いと悟れば変わるよ」
 「だから、あそこで接待の仕事に就いた訳」
 内山莉緒警部補の視線には怒りが篭っている。
 「あそこの土地は副主席が投資したが、旅館はあの人の資産だ。相当に稼いでいる」
 「そんな」
 「そして完全に我々のパートナーだ」
 「私達をどうするの」
 木村史乃警部補には内山莉緒警部補や滝澤沙緒里ほどには、今の事態が飲み込めてない。
 「今のところ終身女体奉仕刑だな」
 「なによそれ」
 木村史乃警部補に分からないまでも、その異常な理不尽さは感じ取れる。
 「そっちの二人に聞けば解るさ」
 指宿は顎で滝澤沙緒里と内山莉緒警部補を示す。
 「私たちに助かる道は無いの」
 滝澤沙緒里が無駄と分かっている事をポロリと言い出す。
 「無くも無いが難しい。逆に以前、此処に居たテレビクルーとアナウンサーは処刑された」
 「此処ではどうしてそんな無茶苦茶がまかり通るのよ」
 木村史乃警部補には如何に治外法権と雖も、先進国の常識でしか考えられない。
 「いいか、滝澤沙緒里以外不法入国で存在そのものが認められてない。滝澤沙緒里は入国する時に入国条件に違反している」
 「この国に報道の自由は無いのね」
 「海外メディアには無い」
 「言論の自由も無いのね」
 「逆にお前等の国に無い言論の自由は有る」
 それから当分、平穏な日々が続いた。
 当面、酒や好きな料理が許された。
 四人が鉄格子を通して雑談しても特に干渉は無かった。
 
 四人とも鉄格子の中にはテレビモニターが付けられた。R国の国内放送と、海外向けの求人を主体とした国家の宣伝動画が流された。
 売春が自由な国だが、先進国より老人介護などの社会福祉の安定と、貧困のなさがアピールされている。
 軍備をアピールする動画も流された。彼女等も娼国、R国がこんなに軍備を持っているのかと唖然とした。
 兵力のロボット化には驚かされた。アメリカの空母には六千人ぐらいの水兵が乗艦している。
 娼国の空母は十万トンでも、艦載機の搭乗員を除いて僅か五十名で動く。
 
 ある日突然、四名は引き摺り出された。バスロープのまま、手錠と足枷を付けて潜水艦に乗せられる。
 潜水艦は空母に接続する。一人ずつクレーンに吊るされて空母の甲板に上げられる。
 甲板には鉄柱が四本立てられる。鉄柱は直径十五センチ、人の背丈の一・五倍ある。
 四名とも足枷を留められ、手を後ろに回して手錠を掛け直される。手錠も鉄柱に留められる。
 甲板には空母の乗員の半数と安形、湯野中、真紀子、津島が居た。
 艦橋のハッチから指宿が盛高知里を引いて来る。後ろ手に手錠を掛けられ、ドレスというよりただの白い布が乳房から膝までを包んでいる。
 空母の艦首に向かって牽かれて行く。その後ろから兵士ではない男が三人付いて行く。
 追い風が盛高知里の後ろから当たる。白い布の押し付けられ方から下着は着けさせて貰えなかった様子である。
 艦首付近のクレーンが甲板の下から鉄柱を三本甲板上に上げる。
 それを指宿の後ろから付いて行った三人が、クレーンを巧みに使って立てる。
 盛高知里は真ん中の鉄柱に縛り付けられる。手錠を掛けた手首は柱の上部に引っ張り上げられ、頭の上に伸びきっている。
 指宿はそのまま戻って来る。
 津島が猟銃を構える。
 「殺すの」
 木村史乃警部補が叫ぶ。
 「擬似処刑だ」
 戻って来た指宿が答える。
 「どう言う事」
 「銃は本物だが、弾丸は蝋燭だ」
 本物は嘘である。実弾は装填出来ない。プラスチックの弾丸を撃つ構造に変更されたものである。本来は訓練用に使用する。
 「ああー」
 滝澤沙緒里は、米軍のパーティの事を思い出す。
 四名と、見学者の前にモニターが準備される。艦首の鉄柱に磔られた盛高知里の全身が映し出される。
 中国人風の男の手で盛高知里の躰を包んでいた白い布が外される。
 バスタオルの様に乳房の上で巻き込んで留められていただけで、飛ばないように腹部と腰に更にピンが留められていた。そのまま脚元に落ちる。
 四十女の全裸とは思えない。
 若い肌とは違うが年齢的な染みや濁りは無い。二十代のハリこそないが滑らかな柔らかさを感じさせる。
 巨乳ではないがふくらみは充分にある。適度な大きさの乳房ゆえ、垂れてはいないがやや重心が下に来ている。
 ゴムのヨーヨーの様な柔らかさを宿していて弾力を感じさせる。
 乳首の色は赤い。乳輪も乳首の周りにそれなりに存在感を主張している。それが年齢を感じさせない。
 腹にも太腿にも余分な肉は無い。腰と土手の上の僅かな盛り上がりがやや年齢を感じさせる程度である。
 湯野中の対象外となっただけで、こういう躰を好む男も少なくはない。
 盛高知里はお座敷に出される前に湯野中に拾われて、ハードコンパニオンは一度もやっていない。多くの人前で全裸を晒した事さえ無い。
 盛高知里の小作り、かつ可愛さを宿した美人顔は羞恥に染まっている。
 艦首に残った中国人風の男と他二名は女を責める責め具を用意している。
 津島は猟銃を構える。左の乳首を僅かに五ミリ外にずらした位置を狙う。
 モニターに盛高知里の顔と乳房までがアップになる。
 津島の狙いは正確である。
 蝋燭の弾丸と雖も皮膚を破り血が噴出す。
 「ぐああーーーーーーーーーーーーーー」
 盛高知里は大口を破裂させ叫ぶ。躰は鉄柱に押し付けられ弓なりに歪み、固定された左脚が僅かに跳ね上がろうとする。
 二発目は左の乳首に右側最初の一発と均等の位置に当たる。
 「があーあーーーーーーーーーーーーー」
 蝋燭の銃弾は躰にめり込んではいない。皮膚の表面で砕けるように固さを計算されている。
 「酷い、おっぱいが駄目になる」
 河口晴奈が叫ぶ。
 「たいした破壊力は無い。整形したら綺麗になる」
 指宿が横から解説する。
 あと二発が右の乳房を狙って左右同じ位置に命中する。
 モニターにアップに成った盛高知里の表情は耐えられない痛みを訴えている。乳房からは血が流れている。
 衛生兵が近付き簡単に止血をして包帯を巻く。乳房に横一文字に乳首だけを隠した包帯は、何故かエロさを感じさせる。
 「副主席の考えは片方だけ整形するのや」
 指宿の説明に誰も疑問の余地は無い。恐ろしさを実感するのみである。
 横に居た二人の男が盛高知里の膝に、二本に折った縄を輪っか状の部分に先端から通し一度回して縛る。そのまま脚首で二重に回して縛る。
 隣に立つ鉄柱のフックにその縄を引っ掛ける。盛高知里の脚は引っ張られ股間は大きく開く。脚首は鉄柱に縛り付けられる。
 「いやあーーーーーーーーー」
 もう片方の脚も同じ様に引っ張られ鉄柱に脚首を縛り付けられる。
 盛高知里の躰は手首を頭の上で縛った縄と三本で、空中に碇型に吊るされている。
 モニターに無残に開かれた股間部分が拡大される。
 膣口の外を閉じ合わせたドドメ色の粘膜が丸出しである。
 「ああーー」
 まだこんな事態に免疫の無い河口晴奈が慄きの声を発する。
 木村史乃警部補は口をへの字に無言で怒りを噛み締める。
 中国人風の男、鄭は小型の浣腸器に白い濁った液体を入れる。
 盛高知里のアナルではなく膣に差し込む。
 「ああーー。いやあーー」
 盛高知里は女の大切な部分を襲われた悲鳴である。
 「内山莉緒と滝澤沙緒里はあれが何か分かるだろう」
 「ああーー。山芋の汁」
 それが分かった滝澤沙緒里は泣きそうな表情になる。思い出しただけで恐怖に縮み上がる苦しみであった。
 山芋の汁を膣内へ投入が終わると粘着テープで前張りの様に蓋をする。土手の僅かな黒い塊は粘着テープに蹂躙される。
 もう一本浣腸器を取り出す。今度は極太である。注射器と見間違う事は無い。
 鄭はアナルまで被った粘着テープをやや寄せて浣腸器を挿入する。
 「ああーーーーーーーーー。いやよーーーーーーーーー。助けてーーーーーーーーーーーーーー」
 辛い姿勢で吊るされて藻掻く事も侭成らない。浣腸液は僅かずつながら容赦なく入って行く。
 「ああーー。ゆるしてーーーーーーーー」
 モニターに拡大された盛高知里の情けなく歪む顔に、真紀子と湯野中はにんまり顔を見合わせる。
 盛高知里には吊るしの苦しみに浣腸の苦しみが襲い、やがて痒みの辛さが総てを蹂躙する。
 膣の痒みが効いて来る頃、浣腸に耐える事は出来なくなる。それまで四人には暫し艦内の説明を行う予定であった。
 「その前に知里さんをいったいどうするのですか」
 堪えられず木村史乃警部補が口火を切る。
 「調教しているのだよ。本人の考えが変われば日本に帰す場合もある」
 指宿がこれまでの経緯からは到底その真意を疑う発言をする。
 「え」
 四人全員が驚きの表情で指宿を見る。
 「懐柔しようとしても無理じゃないですか」
 木村史乃警部補は当たり前と否定する。
 「どうかな。女の悦びを極限まで教えれば女は変わる」
 指宿は大真面目である。そして自信を含ませる。
 「女の悦びを教えるなら何で甚振るのです」
 木村史乃警部補は拷問が納得行かない。
 「悦びに堕とすには、痛みと痒みは特効薬だ」
 木村史乃警部補と河口晴奈には解らないが、内山莉緒警部補と滝澤沙緒里には解りたくなくとも既に分からされている。
 あまりの言い分に木村史乃警部補はもう二の句が継げない。
 「私たちはどうするの」
 何を考えたか滝澤沙緒里無駄と分かる事をまたも聞く。
 「まだ結論は出てない。親父と北島副主席次第だな」
 これまでの盛高知里が飯星徳次郎に説明した内容から、木村史乃警部補と河口晴奈にはその状況は理解出来る。
 「小林真木さんや矢野真さんの様に成るの」
 「その可能性が半分超かな」
 「AV嬢に仕立てた沼緒輪加子さんはどうなったの」
 「AV嬢に仕立てたか。ふふ。お前等が追っかけた片瀬奈緒と同じ湖畔で贅沢に暮らしているよ」
 「ああっ」
 呻き声を上げて、盛高知里は浣腸の責めに耐えられず排泄した。
 四人ともモニターと雖も顔を背ける。
 盛高知里は悔し涙を流す。
 既に痒みは襲って来ている。この苦しみに躰を藻掻くが、吊るしの苦しい姿勢で如何ともし難い。
 鄭はもう一回洗腸の為に浣腸液をアナルに注入する。
 盛高知里はそれどころではない。痒みに堪えられない。
 二回目はアナル栓をねじ込む。
 そして前に貼り付けた粘着テープを一気に剥がす。
 「はあーーーーーーー」
 僅かな陰毛が更に抜き取られる。
 山芋の汁が流れ出す。痒みに苦しむ盛高知里は力を絞って膣から搾り出す。
 「力で押し出しても痒みは引かないぞ」
 「・・・」
 「希望すればいつでもこれで掻き回してやる」
 「洗って下さい」
 「馬鹿を言うな。お前がこれを受け入れるまで放置だ」
 「最初からそれを使えばいいじゃないですか。こんなに縛られて抵抗も出来ないのに」
 「そうは行かない。あんたが痒みに堪えかねてこれを受け入れる。そうでなければ効果が無い」
 「そんな」
 もう痒みは堪えられる状態でない。縛られ吊るされて痒いところをどうすることも出来ない。
 今拘束されてなければ見られているにもかかわらず、痒みに堪えられず指を突っ込んで局部を掻き毟らずに居られない。
 「どうする。これを入れるか」
 「ああーー。早くなんとかして」
 苦しみながら、ずばり言う事は逃げる。
 「入れてほしいんだな」
 「ああーー。はい」
 盛高知里は瀕死の表情である。
 それが分かる内山莉緒警部補と滝澤沙緒里には見ていることさえ堪らない。
 更に乳房の痛みも襲っている。最早、気が狂いそうな状況である。
 鄭の部下が二人、ドリルバイブを二本準備する。
 一本は細い。太い方は男根の形そのままである。現物のように弾力と撓りを感じさせる。
 鄭の部下が威嚇に始動させる。
 回転運動は無い。振動もさせない。ピストンだけである。だがカリ首の部分が反ったりお辞儀したり、ピストンとはサイクルの違う動きをする。
 細い方はアナルに捩じ込まれると盛高知里にも理解出来る。
 湯野中が両方に入れると格段に気持ち良く成ると言っていたのが、記憶にこびり付いている。
 これを受け入れたら官能に堕ちる事は逃れようが無い。だが、今は痒みと痛みから逃れる事しか考えられない。
 鄭の部下が先にアナル栓を抜く。
 「ああーー」
 一挙に淡い茶色の浣腸液が流れ出す。
 「ああーー。早く助けてーーーーーー」
 鄭はもう一度、ドリルバイブを始動する。
 ブルブルーーン。ブルブルーーン。
 浣腸液が流れ終わったのを確認して、鄭の部下がアナル付近をガーゼで拭く。
 「ああーー。たすけてーーーーーーーー。ああーーーーーーー」
 盛高知里の断末魔とも言える叫びである。
 ようやく鄭はドリルバイブの擬似男根を、先端から女の部分に挿入する。
 「あはーーーーーー」
 ゆっくり押し込み深さを調整する。
 「ああーー。だめーーーーーー。はやくーーーーーーー」
 スイッチを微動にして始動する。
 「はあーーーーーー。はあーーーーーーー。ああはああーーーー。はああーーーーーーーー」
 痒みから逃れたい一心で、縛られ吊るされた躰を無理して上下させる。
 「ああーーーーー。もっと早く。ああーーーーーーー」
 中途半端な刺激に焦れて涙声である。
 「もっと私の女を責めて下さいと言え」
 「ああ。ああ。あがううーー。ああもっと。わたしの女を・・せめて・・くださ・あい」
 悔しく理不尽限り無くても苦しみから逃れるしかない。傷みならまだ堪えられる。この痒みは堪える事は考えられない。
 鄭は一気にドリルバイブのスライドスイッチを加速にスライドさせる。
 「ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーー。ああーーーああーーーああーーー」
 盛高知里はドリルバイブの強烈な責めに躰を乗せてしまっている。痒みと傷みを官能に逃れるしか術はない。
 顔を軋ませ眉間に三重の皺を寄せ、大口を開けて官能の声を絞り出し続ける。四十女の意地も筋金ならず針金の如く切れる。
 「踏ん張らずにイキきってしまえ」
 鄭が追い討ちを掛ける様に、速度を上げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーだめーーーーーーーーー」
 吊り下がったままだらりと躰が沈み、声も治まり、ドリルバイブの振動に振れるのみである。
 白目を剥いた躯の逝き顔を晒している。一回目の失神が完了である。
 見るに堪えられないあまりの状況に、滝澤沙緒里は元より内山莉緒警部補まで泣いてしまった。残る二人は憤然と画面を睨みつけている。
 内山莉緒警部補が指宿と目が合う。
 「私達も、またあの様にするのね」
 「お前らはまだ序の口だ。これからだよ」
 「今までが序の口」
 内山莉緒警部補がいくら鍛えた警察官でも今まで以上は堪えられない。これまでも既に何度も失神させられている。
 「一つ俺は忘れていた。滝澤沙緒里は成り行きによっては日本に帰れるかもしれない」
 「どうして沙緒里だけ」
 内山莉緒警部補は訝しがる。
 「滝澤沙緒里は正規査証で入っている。それとAVの撮影したのを忘れていた。沼緒輪加子は確か偽名だったな」
 「それが」
 内山莉緒警部補はそう言いかけて、米倉礼子らが遺体で帰った事を思い出した。そして飯星徳次郎らも遺体をアメリカの空母に拾わせた。
 盛高知里の吊るしが限界と見てか、失神したまま一旦甲板に降ろす。
 両腕を広げて金属の棒に縛り付ける。脚は上に向けてV字に開いたまま二本の鉄柱の七十センチくらいの位置に脚首を縛り付ける。
 鄭の部下が左右からホースで顔に水を掛ける。
 手頃なところで鄭がそれを止め数回往復ビンタする。
 盛高知里の朦朧とした目は直ぐに輝きを取り戻す。そして鄭を睨み返す。
 痒みも痛みも同時に戻って来る。乳房の包帯は水を被って濡れた傷口が一部剥き出している。
 直ぐに痒みに腰を捩り出す。
 鄭と鄭の部下がドリルバイブを構える。
 吊るしの苦しみから手首の痛みは解放されたが躰の自由は利かない。
 鄭とその部下が二本のドリルバイブを始動する。
 「辛くなったら言え。何時でも入れてやる」
 「ああ。もおー。洗ってよーー」
 盛高知里は涙声で訴える。
 「ふぁはっはっはっは。聞いて貰えるわけないだろ」
 二人は寝そべってしまう。
 あと一人が電マをクリトリスのぎりぎり手前、ドテに軽く充てる。
 痒いところにも気持ち良いところにも届かない。
 「ああ。ああ。だめよーーーーーーーーーーーー。もうーーーーーーー。だあーめーーーーー。ああ。もー。突っ込んでぐちゃぐちゃにしてーー」
 もうプライドどころではない。気が狂いそうに喚き散らす。
 「あっはっはっはっは」
 鄭はゆっくり起き上がる。
 ドリルバイブの擬似男根部分を途中まで入れるが、直ぐは動かさない。
 「ああーー。だああめーーーーーーーーー。はやくーーーーーーーー」
 金切り声の悲鳴である。
 鄭はそろりと擬似男根部分を奥まで捻じ込んで、もう一人がアナルへの挿入を待つ。
 「ああーーはやくうーーーーーー」
 「アナルの力を抜け」
 「ああ。ああ。ああ」
 細い方のドリルバイブがローションの滑りに助けられて、盛高知里のアナルのゆっくり侵入する。
 「ああーー。だあめーーーーーーー。はやくうーーーーーーー」
 鄭の合図で二本とも始動する。
 盛高知里の辛そうに歪んだ顔は一気に軋む。
 「ああーーーーー。ああーーーーーーー。あはあーーーーーーーーー。ああーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーー」
 盛高知里の腰は浮き、縛られた腕を突っ張り、二本のドリルバイブの強烈な責めに躰を震撼させる。
 「あはあーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 声はどんどん強くなる。顔の筋肉は強張りって、口はロの字に叫び声と共に涎を飛ばす。
 「ごおーー。ぐおー。ぐおー。ぐおー。ぐおー。ぐおー。ぐおー。ごー。ごー。ごーごー。ぐおーぐおーぐおーぐおーぐおー」
 盛高知里は一気に上り詰める。強張って迫り上げた首が一気に堕ちる。
 「はあーー。はあー。はあー。はあー。はあー。はあー」
 甲板に躰を沈めて荒い息遣いを続ける。
 早いようだが痒みと傷みに追い詰められ、痒みから逃れんとバイブの動きを受け入れる。不本意でも傷みからは官能に逃れようとする。
 アクメは高いながらなだらかな起伏を何度も繰り返す。もう一度失神した。
 本日は限界と見てそのまま潜水艦に引き渡す。四名も同じ潜水艦に載せられた。そのまま元の鉄格子に戻される。
 警備員が食事をワゴンで運んで来る。隊長は銃を構えている。実弾ではない。パライザーである。
 直接は搬入しない。ワゴンを入れる部分は二重構造である。外の扉を開ける前に囲いを降ろす。外の扉を開けると中から操作は出来ない。
 ワゴンを外から入れて外からロックする。内部からの操作で囲いを開ける。
 「皆さん食事は摂って下さいね。メニューに希望があれば六時間前に言って下さい。出来るだけお応えします」
 警備員の隊長が声を掛ける。
 「着る物を支給して貰えませんか」
 河口晴奈が警備員から話しかけてきたので、言うだけは言ってみる。
 「それが私共も交渉したのですが、バスロープを認めて貰うもがやっとでした。北嶋副主席が納得しない事には」
 警備員の隊長は申し訳なさそうに言う。
 「では、バスロープは警備員さんが」
 バスロープと雖もウエストに巻く紐は無い。ウエストの横に小さく結ぶ紐が付いている。丈も短くミニスカート程度である。
 「ええ。私共も困ります」
 どうやら警備員らは拷問には関わらないらしい。
 「そうですか。ありがとう御座います。これだけでもかなり助かります」
 滝澤沙緒里が意外な事実に感謝を述べる。
 「食事はちゃんと摂って下さいね。まだ助かる道はありますよ」
 警備員が何処まで知っているのか、昼間、指宿の言った事とオーバーラップして意味深ではあった。
 滝澤沙緒里から気を取り直して食事に掛かる。他の三名もそれに習う。
 もう一度警備員の隊長とあと一人がワゴンを押して、ビールやワイン、ブランディ、日本酒を積んで来る。
 「アルコールも有りますよ。少し飲んだ方がよろしいのでは」
 滝澤沙緒里が最初に小瓶のワインを貰う。他の者も貰う気になる。既に内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は此処でアルコールを貰うことに慣れている。
 木村史乃警部補にビールは逃げる漁船の中以来である。ビールを貰う事にした。残る二名も小瓶のワインを貰った。
 「今日、指宿が変なこと言っていたね」
 内山莉緒警部補が切り出す。逃げるトラックと漁船の中で盛高知里らとの会話を想い出しそれと関連した疑問を呈する。
 「沙緒里が帰れる。知里さんを従ったら帰す」
 『帰して貰ったら、私みんな公表してしまうよ』
 滝澤沙緒里は内山莉緒警部補から教えられて、T市の鉄格子の中で使っていた手話で答える。木村史乃警部補も河口晴奈もそれが分かる。
 『それを奴らは出来なくする自信が有るのよ』
 河口晴奈が答える。
 「そんな」
 滝澤沙緒里は、唖然と言葉を発する。
 『私のAVがばら撒かれて心底恥ずかしくても、国家権力に強制されたと公表するよ』
 直ぐに気付いて手話に切り替える。
 『それが出来ないのよ』
 「何故」
 滝澤沙緒里はまた言葉を発してしまう。
 『貴方は、久保田奈緒子巡査部長の事を忘れている』
 「ああ」
 『それだけじゃない。貴方が何を証言しても信用されない存在にして日本に帰すのよ』
 河口晴奈はもっと事態を理解している。
 「ああーー」
 これまでの事で滝澤沙緒里にもなんとなく想定が付く。
 『日本には彼らの息が掛かった会社や、人、組織が沢山有る。貴方が何かをリークしてもその発言者である貴方自体を即時に社会的に否定する』
 『私が帰って、全員の救出を叫んでも無駄という事』
 『無駄以前。私達も人身御供よ。救出以前に処刑される』
 内山莉緒警部補も十分に置かれた状況が理解できている。
 『奴等はみんなをどうするの』
 『私たちの躰に利用価値が有る間、SMコンパニオン代わりにして、その後は最悪此処に居たという二人の様に処刑されるか』
 内山莉緒警部補にそれ以外は想定がつかない。
 『市江廣子と沼緒輪加子警部は懐柔して、テレビクルーとアナウンサーは処刑したのね。その違いが解らない』
 木村史乃警部補とて処刑は逃れたい。
 『我々三人は、日本に帰さない事だけは確かね』
 実名で入った滝澤沙緒里は雁字搦めにして帰す。使い道の無い男と年配者は死体で帰した。偽名で入った者は処刑か懐柔して利用する。
 唯一市江廣子だけが例外である。
 『とにかく此処に居る間は逃げる事は敵わない。暫くは従う姿勢になったほうがいい。奴等の拷問には足掻いても従わされてしまう』
 内山莉緒警部補はこれまでの経過からの判断と、痒み責めには敵わないと言いたい。
 『それしかない』
 木村史乃警部補も同意する。
 
 翌日、朝食が終わると滝澤沙緒里だけが鉄格子から出された。
 「もう此処に戻ることは無いわ。みんなに別れを言って」
 真紀子が行き成り宣告する。
 「何処に連れて行くのですか」
 「あなたが逃げ出したところ」
 「あのホテルの地下の」
 「でも、鉄格子の中じゃなくて沼緒輪加子の隣の高級邸宅よ」
 真紀子はにっこり含み哂いを見せる。
 「どういう事ですか」
 「着いたら詳しく説明してあげる。今はみんなに今生の別れを言って」
 「もう二度と会えないと言う事ですか」
 「そうね」
 「・・・」
 滝澤沙緒里は呆然とみんなを見回す。涙を零してまず内山莉緒警部補の手を握る。
 「副主席。永久に逢えない訳じゃないのでは」
 指宿がその先を促す。指宿はあまり追詰めないで希望を持たせた方が良いと言う考えである。
 「そうね。もう少し説明してあげましょう。残る三名は私達に逆らって処刑されない限り命は保障する。保障にならないか」
 真紀子は苦笑する。
 「更に私達の調教に従って、女の悦びを素直に受け入れたらT市の日本人居住区だけ自由にしてあげる」
 「私と同じところに」
 「貴方は日本とR国を参勤交代ね。貴方の躰で稼いだAVの収入でT市に高級邸宅を建て、日本でAV嬢の住む街に高級マンションで暮らす筋書き」
 「私が従わなければ」
 「久保田奈緒子はどうなってもいい」
 「久保田さんは今どうしているのですか」
 「AVで稼いだ収入で邸宅と日本人向け社員寮を建てて、家賃収入で両親と共に豪華に生活している。監視付きだけど」
 「そうですか」
 気を取り直して他の三人に無言で涙の別れをする。
 新しい下着と滝澤沙緒里が日本から着て来た衣服、キャリーバックが渡された。その場で衣服を着ける。
 屋上に上げられ、そこからヘリに乗せられる。
 「久保田奈緒子。あの局部拷問のあと麻酔が覚めてから、物凄い苦しみようだったみたい」
 「え、えー」
 「お○○こ縫って整形したのよ。壮絶なAVが撮れたわ。拷問されてお○○こ整形したAV嬢。すごい売れ行きよ」
 「それもAVに」
 「そうよ。でも全部ギャラは払っているわよ。そして貴方にも」
 「えっ」
 「貴方の口座に現金が振り込まれて、そこからT市の邸宅も、日本の姉ヶ崎のマンションも購入しているわ。あなたの名義よ」
 「どういうことですか」
 「要するに貴方はR国に来て国際無修正AVを撮影して一稼ぎ。R国の綺麗な湖畔に贅沢な住居を構えて、日本にも帰るマンションを買った」
 「・・・・・・・・・」
 「その先もあるのよ。貴方は同じ建物内のマンションを二つ購入して大家。家賃収入で生活。そして大人気の無修正AV嬢」
 「私のAVはそんなに沢山ばら撒かれているのですか」
 河口晴奈の予想以上である。既に滝澤沙緒里の人格は塗り替えられていた。
 「そうよ。何をどう言い訳しても超人気の無修正AV嬢ね」
 「そんな」
 「資産は全部あなたの名義。口座から支払われています。登記も全部終わっています」
 「・・・・・」
 「でも、姉ヶ崎は安形が造った街。五十階建てが六十四棟二列に木更津の手前まで並んでいる。一大ニューシティよ」
 「そこは総て監視されているのですね」
 「AV嬢が沢山住む街に貴方のお部屋は在る。もちろんこちらの系列が見張っている。でも細かくは管理しない。行動を起こせば久保田さんが」
 「参勤交代とは」
 「日本に住むのは年に五か月。それ以外はT市に戻って貰います」
 「実家に戻ったりは出来ませんか」
 「出来るわ。担当にちゃんと連絡してくれたら」
 「担当とは」
 「日本に帰ったら向こうから挨拶があるわ。空港に出迎えてくれるでしょう。住田会系大船一家の構成員よ」
 「やくざ」
 「貴方はR国では殺されない。でも、日本で何か行動を起こしたら命の保障はない。その上、他にも犠牲者が出る」
 「判りました。いつ日本に帰れますか」
 「一か月位先かな。貴方が女の奥の悦びを知ったら」
 滝澤沙緒里にこの恐ろしさは充分に分かっている。抵抗しても無駄である。それより日本に帰りたい。
 「なぜ、そこまで女の悦びを教えるのですか」
 「貴方がそれなしでは生きて行けなくなる様に」
 「知里さんもそうするのですね」
 「そうよ。今訓練している男性と一緒に日本に帰します」
 「解らないのは何故、そこまでして危険を冒して私達を日本に帰すのですか」
 「一つ。貴方は行方不明では困るの。一つR国の宣伝の為よ」
 「宣伝」
 「そうよ。知里さんは日本で事業に失敗して借金の解決に来た。湯野中と知り合って妾になり、借金を精算して系列企業の社長に成って帰る」
 「そういうストーリーなのですか」
 「R国に行けば女性は日本より稼げる。企業家、資産家はR国に行けば、日本人の出稼ぎ女が居て日本より愉しめる。そしてR国に日本企業が集まる」
 「どうして若村さん達を殺すまでしたのですか」
 「売春立国を守るためよ。ああいう倫理の人達は経済の敵よ」
 「それだからと言って」
 「入国前に警告しているわ。あなた方先進国が自分らの倫理を押し付けて介入するからよ」
 「でも、この国も日本や亜細亜に進出しているでは有りませんか」
 「そうね。亜細亜全部を経済的植民地にする為よ」
 「これは戦争と同じなのですか」
 「戦争。私達は、武力は使わないわ。経済侵略のみよ。若い女性首相が国民の代表の如く君臨しても経済的植民地」
 「でも侵略には違いないのですね」
 「日本だって同じでしょう。安田総理はその為に世界各国を訪問して、支援金を撒いているのでしょう」
 「そんな」
 「国民に認識がないだけよ。そして中国のように武力で制圧しないだけよ」
 「でもその日本の企業を引っ張って、日本にも経済侵略するのですね」
 「そうよ」
 ヘリは暫く川に沿って飛ぶ。小さな湖水の近くで高度を下げる。広い庭の有る家に着地する。
 「着いたわ。この家よ」
 湖水に面して広々とした庭を有する豪邸である。
 「何ですかこの家は」
 「だから邸宅と言ったでしょう」
 「いったいいくらするのですか」
 「貴方のAV一本の五分の一。日本で貴方が住むマンションの十分の一。僅か三百万よ」
 「いったい私はいくら稼いだ事に成っているのですか」
 「成っている。そんな仮説ではないわ。総て貴方の物。一億よ。口座の残金は七百万だけど」
 滝澤沙緒里は驚愕して言葉が出ない。
 
 滝澤沙緒里が日本に帰る日が来た。空港までヘリで指宿が送ってくれた。
 ロビーには盛高知里と、盛高知里をサポートして専務に成る坪井直樹が待っていた。
 坪井直樹は盛高知里と滝澤沙緒里を、津島に教育を受けながら調教した。日本でも同じ事を継続する。
 盛高知里も滝澤沙緒里もやっと日本に帰れる念願の日である。されど喜んではしゃげない。重苦しい空気が二人を包んでいる。
 坪井直樹の存在は更にその空気を凍らせる。
 二人とも余分な会話を控える。
 成田には住田会系大船一家の稲垣七郎が、組員二人を従えて出迎えに来ていた。
 そのままロールスロイス二台で姉ヶ崎に向かう。
 姉ヶ崎ニューシティは姉ヶ崎から二列に長く、内房線を途中跨いで巖根まで繋がっている。アクアラインの手前である。
 難しい土地買収だった。それが内房線を途中跨ぐ結果となった。
 姉ヶ崎寄りが家族の町で木更津寄りが独身者と風俗の街である。
 千葉港からは娼国に向けて船が出港する。
 貨物船を兼ねた客船だが、出港と同時に娼国の法律下と成る。姉ヶ崎ニューシティで娼国系の宅配風俗嬢が船に誘う。
 宅配風俗では本番は無い。船に乗せれば本番が可能になる。
 娼国まで運行するが、日本国内の港で戻りの船に乗り換えるか降りて新幹線で戻る。遠くても済州島で折り返す。
 娼国まで運ばれるのは僅かな客と積荷だけである。大方が娼国の経営する大規模農場で作った作物である。
 娼国での需要とR国その他の国で加工工場に運ばれる。
 盛高知里と滝澤沙緒里が住むのは独身者の街である。だが上層階は元風俗嬢、会社役員、芸能人他が多い。
 フロア毎、さらに南北に分かれて、EVを四十七階で降りたところからオートロックである。
 完全に世間から守られる。
 「滝沢さんが四七〇九。盛高さんが四七一一。キーをお渡しします。合鍵は管理人室にもありません。お預けなるかはご自由に」
 封筒に五本入った電子キーを渡す。
 「今日は、お二人でご自由にお話し合いして下さい。我々は此処で失礼致します。北嶋副主席から連絡がありますので、取り敢えず滝沢さんのお部屋へ」
 「はい」
 両名とも返事はしたものの唖然とした。
 「盛高さんは明後日から社長として出勤していただきます。滝沢さんは五ヶ月間はこちらでご自由に」
 「連絡は」
 滝澤沙緒里は真紀子の言っていた担当に連絡が気になる。
 「私にメールを下さい。このニューシティから出られる時だけで結構です」
 大きな封筒を一通ずつ渡す。
 「あとケアが必要になりましたらいつでもご連絡を」
 どうやらそれも稲垣七郎の担当らしい。
 「私の当面の生活費は」
 盛高知里は鉄格子から直接来て所持金がない。
 「ご心配なく。通帳もキャッシュカードもその中に。一か月分の給料も既に振り込まれています」
 「そう。ありがとう」
 一応、盛高知里が社長で坪井直樹が専務。周りに不信感の無い様に振舞う約束である。
 「では今申し上げた様に、滝沢さんのお部屋で北嶋副主席の連絡をお待ち下さい」
 滝澤沙緒里の部屋は入ると手前に小さな部屋が左右に続いて、右手が二十畳は有るリビングが広がっている。
 キッチンは手前にあり、カウンタータイプになっている。
 一番奥が窓である。外には出られないが眼下には東京湾が一望出来る。ロケーションは申し分ない。
 何故か一番奥に在るバスルームを覗くと、洗面も豪華だが浴槽は窓に隣接している。
 高層階なので外から見られることはない。ロケーションに浸りながら入浴が出来る。
 シャワールームも別途にガラス張りのボックスである。
 リビングにも、もう一つの洋間にも家具が入っている。リビングのテレビモニターも120インチはある。
 盛高知里は滝澤沙緒里に進められるままリビングのソファーに沈む。
 そこに真紀子から電話が鳴る。
 受話器を取らず音声を出す。マイクの音量を最大にする。
 「北嶋です。お疲れ様。どうですかお部屋は」
 「充分過ぎます」
 「T市の豪邸に比べたらたいした事はありませんが其処は日本です。資産価値は大きいと思います」
 「何故こんな豪華なマンションを」
 「貴方にはR国に行きAVで稼ぎ捲くって、豪華に暮らしている様に振舞ってもらわなければなりません。クローゼットを覗いてみて」
 疲れている盛高知里を残して、滝澤沙緒里は廊下に出て浴室の隣の寝室に入る。何とクローゼットは四畳間程の広さである。
 中に入れられた高級衣類はシャネル、ニナリッチぐらいは滝澤沙緒里にも解る。
 「どう。私と安形、湯野中からのプレゼントよ」
 「ありがとう御座います」
 滝澤沙緒里はこれまでの仕打ちに怒りも忘れて、総てあまりの高級感につい自然に礼を述べてしまった。
 既に日本に戻る時、滝澤沙緒里の心を諦めだけが支配していた。そして徐々にでは有るが確実に悦びに溺れ、虚飾に舞う自分が認識されつつあった。
 「滝澤沙緒里さんには毎月家賃収入が四十万入ります。それで税金と生活を賄ってもらいます。足りなければあと三本くらいAVに出ればいいわ」
 「そんな」
 「まあよく考えて今しか出来ないからね。インターネットでアダルトサイトをいろいろ見れば貴方の置かれた状況が解るわ」
 「ああ」
 滝澤沙緒里も絶望によろめく躰をソファーに沈める。
 「必要に成ったらいつでも稲垣さんに言って。それからあなた方が余計なことをリークするとどうなるか、封筒の中の青いUSBをセットして」
 直ぐに動画が始まる。
 円形の上が球状で、よく見かける鳥篭を大きくした人間の檻である。
 中には女性とおぼしき奇形の人間が椅子に置かれている。
 両手、両足がない。腹の部分のベルトで固定されている。
 自分で動く事はまったく出来ない。
 アップになるとそれなりに美形の日本人である。乳房の形もよい。
 全裸である。
 太腿の途中で切断された足は自分で閉じる事が出来ないのか、女の部分は丸出しである。ドテに黒い塊は無い。
 檻の外からは観光客らしきが観ている。
 スイッチボックスがあり、観光客がスイッチを押すと水が飛びその晒し者の女に掛かる。
 「どう。この状態で毎日観光客の見世物よ。自殺する事も自分で体を動かす事さえ出来ません。毎日点滴で栄養補給します。小水は垂れ流しよ」
 この映像は滝澤沙緒里と盛高知里を恐怖のどん底に陥れた。
 こんな状態で生かされては堪らない。死ぬ自由さえない。
 「次にあなた方が一番気に成っている三人の話ね。緑のUSBに入っている。河口晴奈は死んだよ。自分から死を選んだわ」
 「え」
 「残る二人は米軍の接待の後、入院中よ。命に別状はないけど、悲惨な躰よ。二人は警察官だったから仕方ないわね」
 「どうなったのですか」
 「全部動画を見れば解るわ。他に聞く事はない。私への連絡方法、R国に戻る時、他の連絡先、詳しい事はお渡しした封筒に入っています」
 「私はもう諦めて此処でおとなしくするしかないと思います。でも敢えて伺いたいのですが、娼国は亜細亜を武力で制圧する事はないのですか」
 無駄と解っても最後の足掻きである。ジャーナリストの本性が出てしまった。
 「武力。とんでもない。前に話した通りよ。軍事力は守るだけよ。日本の様にヒステリックに専守防衛とは言わないけど」
 「核があれば守れると言う事ですか」
 「馬鹿な。核を持つ国は何れ自らの核に滅びる。核を迎撃できれば核は必要ない」
 「言い切れますか」
 「では逆に、今の世界で自国の損害を出さないで核を撃てる国は北朝鮮と、今内戦で戦闘中の国家だけよ」
 「ああ。そうですね」
 「それだけじゃない。一発目は海上で迎撃しても、それ以上撃てば潜水艦からその国の上空で迎撃する」
 「ああーー」
 「侵略はあくまで経済だけよ」
 「何故、国際社会と一線を引くのですか」
 「彼方々の倫理を押し付けるからよ。貴方らが入ってきた様に。我々の経済力に反発すれば国家全体が経済的瓦礫の山になるまで侵略するよ」
 「売春を守るため」
 「人間の最高の悦びは複数の異性を愉しめる事よ。頑張って稼いだご褒美に。それが経済発展を呼ぶ活力になる」
 「男尊女卑に成るだけではありませんか」
 「違うわ。女にこそもっと必要なのよ。いい。男は沢山の女を欲しても同時には一人でいいのよ。女は本当に悦びの奥を極めたければ複数必要なのよ」
 「そんな。副主席はあんな事を」
 「私も貴方を訓練した津島に沢山悦ばして貰っている。お返しに時には私を自由にさせるけど。お金は払わないし貰わない」
 「お金を払わなければ個人の自由ですが」
 「お金を払わなければあり付けない人が九割よ」
 「そんな結婚出来いてる人は五割以上」
 「結婚、それはあなた方の国の束縛習慣でしかないわ。結婚によって殆どの悦びが遮断されるだけよ」
 資産を拡大したものは、多くの異性にそれを投入して限り無くこの世の満足を得る。それが更に稼ぐ最大の活力となる。
 多くの異性に投入された金は、その異性の贅沢に投入され社会を活性化する。
 「結婚制度も家族も廃止しようというのですか」
 「そうよ。その為に子育て介護の難題を解決しているのよ」
 R国では女性の社会進出等と誰も叫ばない。社会進出と言われる部分は日本人と日系人、そして娼国が握っている。
 介護も子育ても、生む職業もほぼ自然に割り当てられてしまう。
 「はぁ」
 滝澤沙緒里にはどこまで行っても理解する事はないが、争う力の無さと、自分の置かれた絶望感にもう何も言えなかった。
 せめて貰った贅沢を満喫するしかないとさえ考えてしまった。
 真紀子は二人に質問が無い事を確認して通話を切る。
 「どうします。動画を見ますか」
 「見るしかないわね」
 盛高知里も見たく無くとも見るしか無いと同意する。
 「食事をしてからにしません」
 「そうですね」
 動画を見た後、食事など喉を通らない。
 デリバリの注文方法は、シティ内専用サイトのアクセス方法から直ぐ解った。
 久々の日本と、寿司とピザを注文した。冷蔵庫に既にビールが入っている。寿司とピザにはビールが良い。
 「空母の上で酷い事をされてから、どうされていたのですか」
 「酷いやり方よね。でもそれもいつかどうでも良くなった」
 「そうですね」
 滝澤沙緒里は自分にオーバーラップして納得する。
 「なされるがまま。あいつ等の目的通り、失神するまで身を任せるしかなかった。何でも言い成りだった」
 「私も同じです」
 「酷いよ。女の悦びを強制的に教えて、女を失わせてあの牢獄で一生過ごすか従うかって言われて。従うしかないよ」
 盛高知里は嗚咽した。
 「あの津島とその部下。とにかく凄かった。あれだけ私を責めてとことん上り詰めさせて、自分らは一回も私に出さなかった」
 「そう。私も驚きました。外にさえ出さなかったです」
 「あの人達は私が恋人を作っても満足できない躰にしたのよ」
 「ああ。確かにそうですよね」
 滝澤沙緒里はそこまで考えなかった。ただ、傷みやそれ以上に堪えられない痒みから逃れたかった。
 官能の極地に堕ちる以外逃れる道が無かったのである。
 「あんな事しなくったって、最初から日本に帰してくれて、収入を保証してくれたら黙って従ったよ」
 盛高知里は滝澤沙緒里の注いでくれたビールを一気に飲み干す。
 「湯野中に拾われなかったら良かったのですか」
 「そうとも言えない。ハードコンパニオンの座敷を見たわ。とても私には堪えられない。湯野中は私にハードSMはしなかった」
 「それじゃ拾われたのはやや正解ですか」
 「湯野中が帰ることを赦してくれたら、今の立場でも受け入れたと思う。余計な事を喋ったりしなかった。あの国に抑留されたのが辛かった」
 「R国の在り方と戦う意思が有った訳ではないのですね。帰れないから飯星さんに協力して、私達を救出して日本に帰る道を作ったのですね」
 「復讐よ。私をあの国に抑留した」
 「子供を生めない躰にされたと仰ってましたが」
 「怒りに任せてそう思っていたというか、言ってしまったというか、本当は定かじゃないの」
 「どういう事ですか」
 滝澤沙緒里は、盛高知里のグラスに三杯目のビールを注ぐ。
 「あの国で妊娠したかもしれないと思った時、医者に言われた。子供は出来ないって。その時何かされたと思ったのだけど」
 「だけど」
 「元々出来なかった様な気がする」
 「ええ」
 「私は騙されて借金を作ったの。それでR国で働く事になった。私を騙した男は私に子供を作らせようとしていた。でも出来なかった」
 他のハードコンパニオンはみな子供を作らされている。盛高知里に子供は出来なかったが、逆に会社の代表にされていた。
 「R国の医師に出来ないようにされたと、それが湯野中の差金と、その時は勘ぐってしまったのですね」
 「そう」
 「それって湯野中の息の掛かった日本のやくざか、組織が沢山の女性を騙しているのじゃないですか」
 「そうかもしれない。今更どうでもいい。この間、湯野中が一回だけ来た」
 「え。何をしに」
 「TSに在った私の住居をT市に移したの。滝沢さんの近く。私を日本に帰して日本の事業に入れれば良かったと言っていた」
 「湯野中が間違っていたと認めたのですか」
 「どうせ今更。日本に帰りたかったけど、帰って何が出来る訳じゃない。湯野中の手先にされて、日本のマスコミが何か感じたら私が真っ先に叩かれる」
 「盛高さんはそういう立場に置かれているのですね」
 「そう。だからお金だけはなんとかしてと言った。湯野中笑っていた」
 「盛高さんはどこの出身なのですか」
 「秋田です」
 「ご両親は」
 「亡くなっていたわ。津島の部下が調べてくれた。明日一日有るからお墓参りに行く」
 「そうですね」
 「動画を見ましょう」
 滝澤沙緒里が重い気持ちを振り切ってUSBを差し込む。
 動画は滝澤沙緒里が連れて行かれた事のあるバンケットルームから始まった。市江廣子を見たR国北の日本風温泉旅館である。
 盛高知里は長くR国に居て市江廣子を知らない。政権交代やその後の民自党の政権奪還は情報を得ている。
 今回から女体盛りは日系人である。女体に盛れるのはオードブルとかに限定される。日本人向けではないので刺身は僅かである。
 現地人娼婦を日本人日系人の接待、買春に一切使わない方針に変えたのは市江廣子の提案からであった。
 だが、これに現地人娼婦から不満が出た。稼ぎが減るからである。湯野中も安形も足りない分を、将来収入確保出来るように優良株券を支給した。
 R国には日本のような生活保護制度は無い。だが、売春に従事できない年齢の生活困窮者には現金ではなく優良株券を支給する。
 配当で生活させるのである。株の価値が下がった場合は交換して貰える。
 但し、自分で買い換えたりした場合は保証されない。
 滝澤沙緒里には恐怖と怨念極まりない女性司会者の挨拶で始まる。
 「本日は日本女性に刺青をお愉しみ頂きます。タトーではありません。日本文化の刺青です」
 場内は一気に沸く。
 既に縛られ足枷を付けられた三名は驚愕の表情である。
 河口晴奈がここで切れた。
 「何で勝手に刺青なんか出来るんです」
 「お前らはスパイだ。日本で行方不明かもしれないが、この国に入国すらしてない。スパイは死刑と相場が決まっている」
 ベイソン少将が宣告する。
 「それならすんなり処刑すればいい。早く殺しなさい!」
 河口晴奈は完全にぶち切れている。
 「よし。お前一人は処刑だ」
 ベイソン少将が宣告する。
 「簡単な銃殺刑ではありません。銃弾は蝋燭です。撃ち捲くって出血多量で死ねるまで苦しんでもらいます」
 「そんな」
 河口晴奈も残る二人も驚愕する。内山莉緒警部補はこの恐ろしさを目の当たりに見ている。
 下士官らは女性司会者の指示で、河口晴奈を磔柱に引っ張って行く。
 後ろの壁を保護するため二重に衝立が置かれる。
 バスロープを取られ全裸で震える河口晴奈を下士官らが十字架に磔る。
 ベイソン少将はあっさり処刑を決めた。湯野中も止めない。河口晴奈の女にそれほど食指が沸かないようである。
 若い将校が並んで銃を構える。二人ずつ撃つ事になる。
 河口晴奈は空母の甲板を思いだす。銃口は盛高知里の乳房を狙っていた。
 あの時恐怖に叫んだ。『おっぱいが駄目に成る』いまその銃口は自分の乳房を狙っている。
 二人の将校が一斉に撃つ。
 ズガーーン。
 両方の乳房に命中する。
 「ぐああーーーーーーーーーーーーーーー」
 衝撃に左の脚が蹴る様に跳ね上がる。左右に伸ばした腕と腰はベルトが留まっているが、脚は藻掻くのを愉しむ為、態と固定してない。
 直ぐに乳房から血が流れ出す。
 二弾目は太腿を狙って来る。それなりに肉を付けている。
 「ぐわあーーーーーーーーーーーーん」
 痛みに脚を左右交互に、くの字を振るようにばたつかせる。
 「ぐうーーーー。ぐおーーーーーーーーーーー。おーーーーーーーーーー」
 次は連射する。
 ズガーーーン。ズガーーーーーーン。ズガアーーーーーーン。
 内腿の付け根を集注に狙う。
 河口晴奈は躱そうと腰から下を、ベルトに固定された限界まで左右に振る。
 「ぐわーーーーー。ぐわーーーーーー。ぐわーーーーー。ぐわーーーーーーー」
 叫び、必死に暴れる。
 太腿は血に染まり血が飛散る。
 次の二人が撃ち方を交代する。今度は乳房を狙って弾丸が集中する。
 「ぐおおーーーーーー。ぐおーーーーーー。ぐおおーーーーーー。ぐおーーーーー」
 やがて河口晴奈の、躱し、暴れる動きは止まって悲鳴だけになる。
 内山莉緒警部補と木村史乃警部補は凄惨な拷問を見ながら、河口晴奈は何で切れてしまったと思う。あんなに約束したのに。
 何でも受け入れて総てを晒しても、生き延びて必ず制裁出来る時を待とうと皆で誓った筈なのに。
 内山莉緒警部補は河口晴奈や木村史乃警部補より長く、この国で辛い拷問に堪え続けている。
 どんなに堪えても如何に年を取ろうと、必ず今の立場を明るみにしてこの国に報復したい。
 その為には今は刺青と雖も受け入れざるを得ない。河口晴奈に何故それが堪え頑張れなかったのかが悔やまれる。
 どんなに官能に陥れられ無様に喘いでも、必ず生き延びて自分らを救出に来てくれた河口晴奈の分も目的を果たすと自らに誓った。
 木村史乃警部補は涙を流しながら、きっちり光景を焼き付けている。仮にも警察官である。目を反らしたりはしない。
 河口晴奈は乳房全体と太腿から腰を血みどろにされている。顔は意識朦朧とした状態で虫の息である。
 「あまりこの女に時間を掛けられません。弾丸を強化プラスチックに変更します。腹部を狙います」
 木村史乃警部補には河口晴奈は一緒に来た同朋である。もう殺される事は避けられない。責めて苦しめないでと願うばかりである。
 四組目が構える。元から強化プラスチックの弾丸が装てんされていたようである。
 虫の息の河口晴奈から、最早、木村史乃警部補と内山莉緒警部補のところまで悲鳴は届かない。
 やがてぶら下がったまま動かない。気絶したのか、息絶えたのかは定かではない。
 下士官らが河口晴奈を磔から降ろして担架で運び出す。
 「どうするのよ」
 木村史乃警部補が堪らず叫ぶ。
 「ご心配なく。然る可き手続きの上、D市が埋葬します」
 態と形だけの黙祷が日本式に行われた。
 木村史乃警部補と内山莉緒警部補には怒りこの上ないが、黙って黙祷する。
 下士官らの手で大道具が入れ替えられる。
 新しい十字架、開帳台が運び込まれる。
 十字架はほぼ同じものだが、血で汚れたため交換したようである。
 一メートル四方の鉄板を寝かせて、その中心に柱が立てられている。
 十字架の横に伸びた柱には、左右の先端と少し手前に腕と手首を止める拘束具が付けられている。
 柱の天井からは左右に二本縄が下がっている。
 横の角柱には手首を固定する拘束具の有る下面にフックが付けられている。
 「これから日本からR国に潜入したスパイ、日本人婦警二名の拷問を行います。拷問は二パターン用意しております」
 また少佐の徽章を付けた女性司会者のアナウンスで始まる。
 内山莉緒警部補には前回から一番嫌な存在である。その残忍性が脳裏に焼付いている。
 どうやら一人が十字架に、大沢ナタリアや久保田奈緒子巡査部長のように吊る下げられ、一人が産婦人科診察台に恥ずかしい姿を晒させられると思った。
 「内山莉緒元警部補は前回拷問を受けています。木村史乃元警部補から拷問したいと思います」
 拍手と歓声が沸く。
 下士官が一旦、木村史乃警部補の戒めを解く。
 「木村史乃元警部補。貴方は診察台と十字架どっちがいいですか」
 「どっちと訊かれても。いや。診察台です」
 「正解のようですね。まだ体制が楽ですから。では抽選します」
 下士官がパネルスイッチと、ルーレットパネルを運び込む。
 ルーレットは十字架の少し離した横に、パネルは木村史乃警部補の前に置かれる。
 「そのスイッチを押してください当たれば希望の方に成ります。ピンクの部分が当たりです」
 ピンクが全体の三分の一である。
 木村史乃警部補は観念してスイッチを押す。
 ルーレットは回る。
 「もう一度スイッチを」
 女性司会者が促す。
 木村史乃警部補は掌を上に翳して一呼吸置いてスイッチを押す。
 場内の期待に反してピンクに止まる。
 下士官らが木村史乃警部補のスマートかつ、引き締まった躰を押さえて開帳台に寝かせる。
 両手首を揃えて頭の上で縛り合わせ縄の先端を台の後ろで留める。腹部をベルトで固定する。
 下士官らが左右両側から二人ずつ脚首と太腿を抱え、開帳台の足載せ部分に固定する。股間は割れ性器は丸出しになる。
 木村史乃警部補は、抵抗はしない。理不尽な仕打ちを受け入れても生き延びる意思である。
 女の部分には薄橙の皮膚に挟まれて、高さは鶏の鶏冠半分くらいで、薄いビラビラが二枚細く閉じ併せている。
 下士官がその部分を広げる。開いた内部は薄い緋色である。もう一人の下士官が小型のカメラを近付ける。
 モニターに映像がアップで映される。
 自分でも見た事の無いその部分である。周りの動きでモニターに映されたことは解る。
 恐々に事態を確認すべく顔を目一杯後ろに反らす。
 木村史乃警部補の動きを察して下士官が反対のモニターにも反映する。
 「あっちを見ろ」
 「ああーーーーーー」
 真から縮み上がる悲鳴である。
 自分自身でさえ今始めてみる部分が大勢の異性の前に広がっている。気丈な木村史乃警部補でも気が遠くなる。
 これまで内山莉緒警部補と滝澤沙緒里の受けた拷問と屈辱を聞かされていたが、木村史乃警部補には信じられない屈辱である。
 硬い人生を送って来た。こんな姿を曝す事は赦し難い海外サイトAVか、事件の被害者の話であった。悔しさは限り無い。
 女性司会者が下士官とベイソン少将に黒い書類を挟むクリップを渡す。
 木村史乃警部補は内山莉緒警部補と滝澤沙緒里が、これまで受けた拷問の話を聞いているが詳細には知らない。
 それでも躰の敏感な部分を抓まれる事は想像が付く。その痛さを感じ取り気丈な女の表情は怯え歪む。
 下士官二人が左右から乳房に三本付ける。真ん中の一本は乳首をぐっさり鋏んでいる。
 気丈にも声は上げないが傷みに広げられた脚に力が入る。
 ベイソン少将は下士官が付け終わるのを待って、女の部分のビラビラを抓まんで鋏む。
 「あううーー」
 さすがに傷みに呻く。六個鋏んだところで糸を縛り付け、太腿の上を通して開帳台の下部の金属棒に縛り付ける。
 それだけでは済まさない。怯える木村史乃警部補の前にもう一個を翳す。これまで付けたのよりは小さい。
 ベイソン少将の目はクリトリスを見ている。
 「あはあーーーー」
 ベイソン少将の指はクリトリスを剥きだす。そしてクリップを確り鋏み付ける。ちょうどクリトリスを鋏み込む大きさである。
 「あぐううーーーーーーー」
 木村史乃警部補の表情は傷みに引き攣っている。
 「そっちのジャップの女。これからどうなるか解っているだろ」
 ベイソン少将の部下、大佐の徽章を付けた人物が内山莉緒警部補に宣告する。この艦の艦長スコット大佐である。
 内山莉緒警部補には滝澤沙緒里の時と同じと思った。
 今更である。自分は気狂い道具に躰を任せて、多くの米軍エリートの前に醜態を晒しても木村史乃警部補の傷みをいち早く救ってやらなければ成らない。
 だが、女性司会者の要求は違った。
 「では、内山莉緒元警部補には、自慰をして体液を出してもらいます。今回は自分で責めてもらいます」
 女性司会者の要求で開帳台がもう一台運ばれる。
 下士官らが内山莉緒元警部補をそこに座らせる。敢えて腕は固定しない。脚乗せ台に脚首と膝のみ固定する。
 横にワゴンが運ばれ、電マ、ドリルバイブ、普通のバイブ、ビニールの棘が密生したバイブもある。
 上半身は好きなように動く。性器を隠さないように脚のみ開いた状態に固定している。
 「好きな道具を使っていいです。体液を汚物受けの代わりに取り付けた試験管に溜めてもらいます」
 開帳台の股間部の下に来る汚物受けが無く、代りに開帳台の股間の来る下に漏斗が付けられ、その下に小さな試験管が接続されている。
 「それ、潮を噴いたら一発だぞ」
 中佐の徽章を付けた士官が指摘する。
 「大丈夫です。木村史乃元警部補の躰に付いたクリップを取ってほしければ、それを一杯にして下さい」
 「潮でいいのかーー」
 中佐の徽章を付けた士官が騒ぐ。
 「潮もありです。でも一番痛いクリトリスを鋏んだクリップは、潮では取りません」
 「残りは潮で取るのか」
 「おお。それで充分です。ミス史乃の苦しみを充分に堪能できます」
 ベイソン少将はその先を期待している。
 既に木村史乃警部補は躰の敏感な局部をいくつも襲う繊細かつ強烈な傷みの応酬に、悶絶状態に成りつつある。
 ローションは認められない。内山莉緒警部補は自分の指で女の部分を潤わせるしかない。
 言語を絶する辱めである。それでもあの時、滝澤沙緒里の強烈に堪えられない悲鳴と、傷みに悶絶する姿は脳裏に焼付いている。
 そしてこのあと、自分と木村史乃警部補の立場を入れ替える作戦はなんとなく読める。
 最初にクリトリスのクリップを取ってやらねば成らない。内山莉緒警部補はどうやって濡れるかに悩んだ。
 まず電マを手に取る。
 「最初は中を濡らした方がいいわね」
 バイブを手にする。
 「ローターを沢山入れるのよ。ある程度濡れたら棘のバイブね」
 女性司会者が助言する。
 意地悪な女だが嘘ではなさそうである。
 ローターを数個手にする。自分で膣に充てる。モニターには恥ずかしい部分が拡大されている。
 将校以上と僅かな下士官だが、百人以上は見ている。それでも躊躇は出来ない。女の入口にローターを押し込む。
 もう一個押し込む。スイッチを入れようとコードを手繰る。
 「まだよ。五個ぐらい入れないと駄目よ」
 今は考える余地は無い。忠告に従って更に入れる。全員の目がスクリーンに映された自分の女の部分に注目している。
 木村史乃警部補は傷みにもうどうにもならない。躰を捩り引き攣らせる。内山莉緒警部補に恥ずかしい事をさせたくは無い。
 彼女は自分の痛みを知っているらしい。そして次に自分が同じ立場にされる。こんな理不尽な仕打ちはない。
 それでも今の傷みを知っていれば恥を捨てて仲間を救うしかない。
 そして報復の機会を待つには、ここで助け合って二人で生き伸びるしかない。
 内山莉緒警部補は言われた通りローターを五個入れてスイッチを手繰り、一つずつONにしてゆく。
 「それを娘で咥えたまま、電マを充てるのよ」
 女性司会者は更に追い討ちを掛ける。
 言う通りにするしかない。どうしたら濡れるかなど考えたことも無い。
 既に中ではローターが踊り捲くっている。
 内山莉緒警部補とてオナニーさえしないという事は無い。今は躊躇わず感じる部分に電マをあてがうしかない。
 隣のスクリーンでは、木村史乃警部補の傷みに歪む表情が拡大されている。
 電マをあてがうと内山莉緒警部補の整った理知的な表情を宿した顔も、頬と眉間に深い皺を刻み隠微に解れる。
 それでも内山莉緒警部補は声を出さない。内山莉緒警部補の表情を愉しみながら暫くの沈黙が続く。
 「そろそろ、ローターを抜いて、濡れを流すのよ」
 女性司会者が頃合を見て指示を出す。
 指示通りにリモコンに繋がった線を引っ張って、ローターを膣圧で押し出す。一刻も早くクリトリスのクリップを取ってやらねばならない。
 五個全部取り出して漏斗に流した内山莉緒警部補の女の液は、試験管に三分の一くらい溜まった。
 嬉しくない拍手が内山莉緒警部補を包む。
 木村史乃警部補はそれどころではない。取ってもらえるのを瀕死の表情を歪め軋ませで堪えている。
 まだまだ先は長い。
 「さあ。棘バイブで一気に濡らすのよ」
 言う通り棘付きバイブを手にする。こんなので濡れるのか痛いのではないかと思う。だが、相手が自分の羞恥を期待しているなら嘘は無いと思う。
 内山莉緒警部補は覚悟を決めて、ビニールの棘が総体に付いた針鼠の様なバイブを自分の女に挿入する。
 さらに内山莉緒警部補の顔の緊迫は緩む。頬の刻みは深く刻んだまま、眉間の皺を刻んでは緩め、また深く刻む。
 それでも気丈に声は抑えているが、緩んだ唇からは僅かに唾液が流れる。
 意地を張らなければ女の幸せな顔である。
 「さあ、お○○この中でピストンしながら時々抜いて液を流すのよ。やり過ぎると泡に成って乾くのよ」
 女性司会者は頃合を見ている。木村史乃警部補の傷みを愉しんでいるが限度はある。やり過ぎては次の愉しみが出来ない。適度にコントロールする。
 バイブを抜き取ると、棘付きバイブからタラリと内山莉緒警部補の女の液が流れ落ちる。
 また拍手が沸く。小さい試験管に体液は徐々に増えて行く。
 「はあ、あ」
 内山莉緒警部補は遂に不本意な声を漏らしてしまった。
 次にバイブを抜くとどろりを体液が漏斗に流れ滴る。
 大拍手である。
 「そこまで」
 女性司会者は試験管がほぼ満タンに成ったところでストップをかける。
 そして年配の下士官に木村史乃警部補のクリトリスを抓んだクリップを取るように促す。
 「いい。取るからね。取る時はこれまでの数倍痛いよ」
 女性司会者が木村史乃警部補を詰る。
 木村史乃警部補の顔に怯えが奔る。
 下士官は一瞬クリップの金具に指を当て抓まんで一気に開放する。
 「ああーー。ああ。ああーー。ああ。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 情けなく崩れた顔に涙が溢れ、狂ったように堪えられない痛みに、固定された躰を目一杯暴れさせる。
 これが気丈な婦人警官かと言う様な悲鳴である。
 「ぐああーーーーーーーん。あああーーーーーーーーーーー。ぐあああーーーーーーーー」
 木村史乃警部補は傷みに一頻り全身で暴れ捲くる。涙も、涎も飛散る。
 下士官はローター二つで挟んでクリトリスを揉む。
 「ああーーがあーーーーーー。ああーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警部補は驚愕の傷みに目を剥き叫ぶ。
 「揉まないといつまでも痛いよ」
 女性司会者から非常な忠告が飛ぶ。
 「ああーーはあーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 とうとう情けない叫びと醜態を晒し捲くる。内山莉緒警部補以外は満場の悦びである。
 抓まれて痛み続けていた部分が開放され圧迫から戻る時の痛みは、抓まれていた傷みの数倍となる。
 更に揉んで解す傷みは凄まじい。出口が無いとさえ思わされる傷みである。
 見ている内山莉緒警部補も悔し涙を流す。
 それを見てベイソン少将はニンマリ悦ぶ。
 木村史乃警部補は傷みに意識朦朧と白目を繰り返す。
 下士官は電マを使ってマッサージを繰り返す。
 「さて、膣の周り小陰唇と乳房のクリップは残っています。もう少し木村史乃元警部補に泣いて頂いて、内山莉緒元警部補も泣かせたいと思います」
 オーーー。
 満場の歓声が沸く。
 内山莉緒警部補には来るべきものが来たと思っても恐怖に震える。
 「さて、今度はお○○この周りのクリップね」
 女性司会者は内山莉緒警部補に向かって宣告する。
 木村史乃警部補の女の入口を包むビラビラは、黒い書類を鋏むクリップに抓まれ外に引っ張られている。
 更に乳房もクリップに抓まれ無残にへしゃげられて居る。これらを取る時の痛みも内山莉緒警部補には充分に分かっている。
 下士官が開帳台に取り付けられた漏斗の下に付けた試験管を取り替える。
 内山莉緒警部補はドリルバイブを取るか、そのまま棘のバイブで行くか手に持ったまま迷う。
 「そのまま棘のバイブでもう一杯分は取れるよ。ドリルバイブでは飛散ってしまうよ」
 内山莉緒警部補は観念してもう一度両手で棘のバイブを自分の女に挿入する。屈辱感は限り無いがそれどころではない。
 内山莉緒警部補は自らの蚯蚓千条の部分を擦るように動かす。そして子宮口に届くまでに捻じ込む。
 眉間と頬に強く皺を刻み、歪む顔がそそらせる女である。
 また場内に歓声が沸く。
 この歓声は内山莉緒警部補には冷や汗を噴く想いである。
 「静かに。今は静かに。濡れるものも濡れなくなります」
 女性司会者が静かにこの痴態を鑑賞して愉しむべく注意をする。
 内山莉緒警部補は我を捨てる気持ちで自らを刺激する。そして官能に身を任せる。
 僅か数分で抜いた棘付きバイブから膣液が流れ出る。隠微極まりない光景である。
 内山莉緒警部補の艶めいた皺を刻んだ顔は真紅に染まっては薄れ、また染まる。自らの手で乳房を弄る。乳首もその存在感を起立させる。
 長さ十二センチ直径一センチほどの試験管である。同じ量を三回搾り出せば満タンになる。
 内山莉緒警部補はこの国で捕らえられてから、何度も屈辱に堪えてそれなりに慣らされて来ている。
 同じ事を木村史乃警部補に出来るかは疑問である。
 自分はもっと苦しめられる事は想像に難くない。
 内山莉緒警部補にそんな考えが過ぎりながらも、必死に木村史乃警部補を苦しみから救う努力を続ける。
 「さあもう一回抜いて」
 女性司会者は先を急いでいる。
 だが、抜いた棘付きバイブから流れ出た量は期待よりは少ない。
 「駄目よ。もっと集中しないと」
 女性司会者は内山莉緒警部補の雑念を咎める。
 「あ、あ」
 内山莉緒警部補はただ呻くばかりである。
 女性司会者は内山莉緒警部補の手の上から押さえてバイブを操縦する。
 「ああはあーーーーーーーー。あっはあーーーーーーー」
 内山莉緒警部補の顔は官能に一気に軋み声を漏らしてしまう。
 次に抜くと棘付きバイブから女の液がどろりと流れ出る。
 内山莉緒警部補には羞恥の極地だが、見ている将校らには生唾の極地である。無言の圧迫感が会場を包む。
 「何とか一杯に成ったね」
 試験管はあと一ミリくらい残してほぼ満タンである。
 「おー。彼女苦しんでいます。お○○この周りとってあげましょーう」
 ベイソン少将が期待を膨らませてオーバーゼスチャーに言う。
 心は、取ったときの強烈な苦しみに期待している。
 下士官らが手伝って内山莉緒警部補を開帳台から降ろす。
 「さあ。貴方が取るのよ」
 女性司会者の発言はさらに残酷な思い付きである。
 「えーー」
 内山莉緒警部補は木村史乃警部補の股間部を広げて、繊細な粘膜を無残に抓んだクリップの前で、驚愕の表情で辟易(たじ)ろぐ。
 「早く取ってあげなさい」
 女性司会者の言葉は内山莉緒警部補の心臓を震えさせる。
 「と、る、よ」
 木村史乃警部補は眉間に皺を強くして、苦しむ顔を無言で静かに頷く。
 内山莉緒警部補は出来るだけ苦しみを小さく、六個のクリップを両手で一気に取ろうと目論むが、難しさを悟り両手で左右一本ずつたて続けに取る。
 「あー。あー。あー。あぐあわああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警部補は固定された開帳台の上で躰を迫り上げ硬直させ暴れる。
 「ぐうおーーーーーーーーーーーーーー。ぐわあおおーーーーーーーーーーーーーーー」
 目一杯縛られた躰を斜めに捻って鈍い悲鳴を搾り出す。
 またも満場の拍手が沸く。
 内山莉緒警部補は床に泣き崩れる。
 若い将校らは苦しみに喘ぐ木村史乃警部補の、クリップで鋏まれ、歪み、窪み変形した股間の粘膜を指先で揉み解す。
 「ぐおおおおーーーーーーーーーーーーー。おごおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 数人で躰を押さえているが、木村史乃警部補はその中で暴れ捲くる。壮絶な光景である。
 内山莉緒警部補は床を拳で叩いて泣き続ける。
 縛られ固定され、それでも躰を迫り上げ傷みに暴れる木村史乃警部補の肩と太腿を、四人の将校が更に押える。
 他の四人の将校が指先で弄る様に、木村史乃警部補の膣口を包むビラビラの粘膜を揉み続ける。
 「あー。あー。ああーーー。あがあーーーーー。ああー。ああーー。あーーーー。あがーーーーーー」
 木村史乃警部補は狂ったように悲鳴を搾り出し続ける。
 四人の下士官が床に蹲って泣く内山莉緒警部補を担ぎ上げ、再び開帳台に載せて脚首と太腿を固定する。
 「さあ。最期におっぱいのクリップを取るのよ。おしっこで赦してあげます」
 女性司会者は透明なアクリル板に金属の医療器具のようなもの、その下部に何かを鋏むため、手で握る部分が付けられた器具を持っている。
 金属棒を丸めて鋏の指が入る部分を内山莉緒警部補に持たせる。
 透明アクリル板は球面を握った手の方に向けている。鋏の手の部分を握ると下に伸びた金属の箆の先が開いて、アクリル板の球面が外を向く。
 「その下の金属の部分を閉じて、お○○この唇に割り込んで開いて。球面が外を向いておしっこがロートに流れるのよ」
 「ああ」
 それは内山莉緒警部補の女の恥ずかしい部分を開いて、尿道の亀裂を丸出しにして、小水が直に尿道の亀裂から出る姿を鑑賞させる道具である。
 更に女性司会者はアクリル板の上部に、クリップの付いた小型カメラを接続する。
 内山莉緒警部補には気が遠くなる恥ずかしさである。そして精神力を集中して小水を流さなければならない。
 それでも、金属の箆先で小陰唇を開いたまま、小水を出すべく躰を開放しようと努力する。
 もうかれこれ、クリップを乳房に付けられて二時間は経つ。取るときの痛みはかなり限界である。
 内山莉緒警部補は焦りに眉間に皺を刻み懊悩する。
 金属の箆で開かれた股間のピンクの部分に、尿道の小さな亀裂はくっきりその姿をスクリーンに映されている。
 間接的に広げているのは内山莉緒警部補自身の手である。内山莉緒警部補が懊悩する苦しみが、ピンクの部分をヒクヒクさせ見ている将校らに伝わる。
 内山莉緒警部補は必死に尿道に神経を集中して排泄を試みる。顔も躰も濃ピンクに輝いている。
 この理不尽限り無く隠微な光景は、見ている将校らの脳裏を究極に刺激する。
 若い男なら自然に情液が流れ出ても不思議無い。
 場内を無言のどよめきが支配する。
 それは限りなく内山莉緒警部補を圧迫する。尿道に神経を集中しても乱される。さらに焦れてなかなか出ない。
 緊張の汗が流れ出る。
 木村史乃警部補が堪えられない苦しみに、台の上で固定された躰を捩じって痛みに悶える。
 その微かな音だけが圧迫感の中で、内山莉緒警部補の焦りを促進する。
 「指で出してやるか」
 少佐の徽章を付けた将校が沈黙を破って女性司会者に提案する。
 次の瞬間。内山莉緒警部補の丸出しになった尿道の亀裂から細く小水が流れ出す。出始めると直ぐに威勢を増して透明なアクリル板に当たる。
 漏斗の下の試験官は大きいものに替えられている。メモリが六段階に区切られている。
 だが、それは一気に溢れる。そして床に音を立てて流れ落ちる。
 剥き出しになった尿道の亀裂から、直に小水を流す女の姿を、百人余りに鑑賞させて終了する。
 下士官らは女性司会者の指示で木村史乃警部補の戒めを取る。
 「さあ。全部取って良いわよ。自分で取るのよ」
 苦しむ姿をしんねり愉しもうとする残酷なやり方である。
 「出来るだけ一気に取るのよ。一個ずつやったら辛いよ」
 見かねて内山莉緒警部補が叫ぶ。切実な叫びである。
 洗濯バサミとは違う。クリップの摘む部分の金属は三本が扇状に外を向いている。
 木村史乃警部補も一個ずつ取るのは辛さを引きずることを、先程小陰唇の周りを取って貰った時に分かっている。
 何とか掴もうとするが難しい。
 最初左右外側の一個を外す。
 「ああぐうーーーーーーーーー」
 叫びながら左右一緒に残る二個を掴み取る。
 「ああーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 叫びながら木村史乃警部補は台から滑り降り、床に転げ乳房を掴んで悶え暴れる。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 究極の痛みに喘ぐ木村史乃警部補に満場の拍手が湧く。
 木村史乃警部補は恨みの目で回りを見返しながら自分で乳房を揉む。堪えられず涙が流れる。気丈だった婦人警部補の無残な光景である。
 手ごろなところで下士官らが取り囲み、木村史乃警部補の躰を押える。
 二人の下士官が左右から乳房を揉みしだく。
 「ああがあーーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴が場内を制覇する。
 数名の将校は破裂しそうな生唾の衝撃に堪え切れず、女躰盛りにされているコンパニオンに載った飲食物を皿にとり除き、個室に連れ込む。
 
 涙を流しながら見ていた滝澤沙緒里は、遂に堪え切れずスクリーンから離れたソファーに移動して泣き崩れてしまう。
 自分も辛かったが、木村史乃警部補への責めはもっと執拗である。
 滝澤沙緒里がスクリーンから離れると、盛高知里も一人で見るのは止めて動画を止めてしまう。
 最後まで結果は確認しなければならない。だが後日でも良い。これ以上一人で見るに堪えられない。
 
 滝澤沙緒里はそのまま疲れも手伝って眠ってしまった。
 気が付いた時には中天に太陽が昇って、昼の光が部屋を充満していた。既に朝ではない。盛高知里の姿もない。
 既に食べ残しのピザと寿司はごみ袋に詰められ、グラスは洗われて、ビールの瓶は流しの下に片付けられていた。
 滝澤沙緒里は勝手に寝てしまったので一言挨拶をしようと、盛高知里の部屋のチャイムを鳴らしたが応答はなかった。
 昨日話していた両親の墓参りに向かったのである。
 豪華なシャワールームを使って体調を整え、食事に三階のコンコースに降りる。やはり内山莉緒警部補らのあれからが気になるばかりである。
 店に入るのを止めて、コンビニでサンドイッチと炭酸飲料を購入して部屋に戻る。
 USBは刺さったままである。動画も昨日見た途中で止められていた。
 死を選んだ河口晴奈国民党都議会議員。そして残してきた二人を思うと滝澤沙緒里の胸は張り裂ける。
 米倉礼子がリーダーだったとはいえ、内山莉緒警部補を引っ張ったのは自分である。自分が先頭で篠田茉莉の敵を取ろうと主張した。
 娼国の久保田奈緒子巡査部長に協力を求めたのも自分である。
 皆を自分が巻き込んだ。その自分が本位ではなく、強引に作られたとはいえ豪勢な暮らしをしている。
 確かに自分はAV嬢に堕とされ、社会的にもう元のジャーナリストに戻れない。これまでの自分の主張をしてもまったく社会に相手にされない立場である。
 欲に眩んでAVに転向して虚飾に舞う女と位置付けられてしまった。
 それでも残してきた二人に比べればと思う。
 観念して動画の続きを回す。
 内山莉緒警部補は十字架に磔られている。
 木村史乃警部補は開帳台に脚を蛙の様に広げて固定されている。
 内山莉緒警部補は木村史乃警部補より背も高く、スマートさ均整は変わらないが一回り大きい。
 どちらも脚を揃えて立てば股間に拳一つはようやく入る。内腿は僅かに外に弧を描く。脚の線の美しさはどちらも変わらない。
 内山莉緒警部補は上背もあり磔た方が躰の良さが強調される。
 将校が三人で内山莉緒警部補の左脚を持ち上げる。
 膝に輪っか状にした縄を引っ掛け左脚を吊り上げ、十字架の横に伸びた柱の先端近く手首の下辺りに吊り下げる。
 股間部が解放され女の部分はその全容を曝す。
 内山莉緒警部補は抵抗すれば、この三名を蹴って押さえを逃れるくらいの武道は心得ている。だが、今は抵抗しないで延命する事が懸命である。
 動画を見ている滝澤沙緒里にもそれが充分に理解出来る。
 将校らはクリトリスを包む包皮を剥いて女の亀頭を丸出しにする。その状態で黒い書類用のクリップの半分ぐらいを使って抓む。
 大きさの大きいクリップの一部で抓む。その傷みは尋常ではない。
 「あははあーーーーーーーーーーーーー。あがうううーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美しい顔が、形相を破裂させて叫び上げる。
 「ぐおおおーーーーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーー」
 完全に躰全体が傷みに悶えている。
 場内からは拍手が沸く。
 ナイス!ナイス!
 内山莉緒警部補の苦しみを逆撫でして、褒める言葉も飛び交う。
 滝澤沙緒里にはこれが自分の受けた痛みの、更に数倍である事が充分に感じ取れる。見る事すら堪らない。涙はぽろぽろ零れる。
 木村史乃警部補はこれまでのように、開帳台に女の部分を丸出しに縛られている。
 「さあ、貴方が逝きまくって、ぐちょぐちょに成って失神したらあれを取ってあげます」
 将校が二人、濡らす目的を兼ねて、木村史乃警部補の女の入口を指先で弄くり始める。
 女性司会者は一本の電マで乳首を責め、もう一本の電マの振動部分を手で握ってその手を耳に充てる。
 既に木村史乃警補の表情は責めに軋み始めている。
 逆に内山莉緒警部補は両足をくの字に突っ張り、腕に満身の力を込めて痛みに堪え続ける。
 木村史乃警補に責めに抵抗する意思はもう無い。自分の為に羞恥を忍んで女の極限を晒した仲間を、今度は自分が救わなければならない。
 ただ躰を任せるのみと言い聞かせる。それでも女の躰は不本意な官能には抵抗する。
 だが、残っている乳首とクリトリス付近の痛みが、官能へと逃げる方に導き始める。
 それでも、失神まではまだまだ遠い。内山莉緒警部補の状況は痛みの極致に瀕している。
 将校二人の不本意な弄くりにも、女の躰は徐々に濡れる。
 女性司会者は電マを股間部に翳し、弄くる二人の指を下に追いやって、電マをクリトリスに充てる。
 「ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警補の表情は既に紅潮し、眉間の皺は三重に刻まれる。
 女性司会者は内山莉緒警部補の状況を見ながら、五十年配の下士官にドリルバイブを指示する。
 木村史乃警補は覚悟をしていても、始めて挿入されるドリルバイブに慄いている。
 「ああ」
 神経質そうな眼差しでドリルバイブを見る。
 シリコンで出来た柔らかい擬似男根が、振動しながら僅かにピストンするタイプである。
 五十年配の下士官は擬似男根の先端部を指先で押さえ持って、木村史乃警補のあまり大きくない膣口へ慎重に挿入する。
 「ああーー」
 挿入だけで既に木村史乃警補の表情は引き攣っている。
 下士官は三分の二以上挿入した擬似男根の付け根を持って、スイッチを入れる。
 「ああーーーああ、ああーーー。あはあーーーーーーーーー」
 一気にアクメは破裂する。
 「がああーーーーーーー。ぐあああーーーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーー」
 木村史乃警補の顔色は紅から土色になり、恐怖にこの上なく引き攣っている。
 「がはああーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーー。があはあーーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警補は硬直させた躰を暴れまくらせ、ドリルバイブに押し捲られ破裂寸前である。
 下士官は膣圧で押し返されるドリルバイブを懸命に抑え続ける。
 膣口を覆うビラビラの粘膜に突き刺さったドリルバイブが暴れまくり、そこから女の液が水滴の玉に成って飛び落ちる。
 「がああーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーー。ああーーだめーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警補の表情はさらに一気に軋む。
 女の躰がイってしまったのが解る。
 容赦なくドリルバイブは責め続ける。
 「あがああーーーーーーーー。だあーめーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーー。だあーめーーーまた・・ああーーーーーーーーー」
 女の躰は上り詰めれば、立て続けに何回もイク。
 だが、内山莉緒警部補の状況がさらに厳しくなる。堪えられず躰を突っ張って腰を捩る。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 叫びと共に遂に漏らしてしまった。失禁である。
 「おーーーーーーーーー」
 若い将校が指差して叫ぶ。
 医師が状況確認に近付く。
 「ああーーはあはあはーー」
 内山莉緒警部補は最早、羞恥より傷みに狂った様に叫ぶ。
 医師は自分の判断で取ってしまう。
 「あがわあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴が場内を劈く。
 「がわあーーーーーーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補はそのまま失神してしまう。躰は磔柱からぶら下った状態である。
 床に着いた脚はくの字に曲がり、吊り上げられた脚と手首の戒めでぶら下っている。
 医師は局部麻酔を準備する。
 「全身麻酔でいいです。そのまま刺青します」
 女性司会者はこれまでと刺青準備を宣言する。
 「まて。麻酔は打つな。この女をもう一泣きさせろ」
 ベイソン少将はまだ内山莉緒警部補を甚振りたい。
 医師は驚愕の表情で振り返る。
 「電流で起こして、一度縄を解け」
 下士官も驚愕の表情で太腿に電極を充てる。
 「ううーー。うーーー。ああーーがああー。あがあーーーーー。があーーーーーーーー。があーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は傷みに腕の縄を突っ張り、悶絶状態に喚き続ける。強烈な苦しみである。
 縄を解かれると床にもんどり打つ。
 床を叩いて転げ、痛む局部を両手で押さえまた転げまわる。
 「ああがはあーーー。あがあはあーーーーー。がはあーーーーーーー」
 大口を開けて床に転がりながら傷みに悶える。土色に破裂した表情はいつまでも止まない。痛みに堪えて揉む以外出口のない傷みである。
 ぶりーーー。ぶりーー。
 遂にガスも漏らしてしまう。
 医師はベイソン少将に向かって注射器を翳し指差す。
 ベイソン少将も頷く。
 内山莉緒警部補はその前に傷みに再び失神してしまう。
 木村史乃警部補もその直ぐ後に失神した。少し間に合わなかっただけである。
 ベイソン少将はまだ許さない。次の指令を出す。
 二人を開帳台に寝かせて固定する。二人とも左の乳首だけにクリップを止める。片方にしたのは、もう片方は責めるからである。
 極太で直径四センチはあるドリルバイブが用意された。これは内山莉緒警部補に使用するようである。
 木村史乃警部補には回転とピストンしかしないが、先端の太さが変わるドリルバイブを用意する。
 湯野中が提案してきて使ったものである。
 本日の拷問の進め方も湯野中の提案から女性司会者が行っている。
 「今回は湯野中氏の提案で、マスタードより効果があるといわれる・ヤ・マ・イ・モ・でーす」
 ベイソン少将が豪快に宣言する。
 年配の下士官が和式の器に入れられ、入念に擂られた長芋の擂汁を浣腸器に吸い取り、内山莉緒警部補の膣に注入する。
 続いて木村史乃警部補の膣にも注入する。
 乳首の痛みと長芋が効いて来るまで待つ。女体盛が終了して開放したコンパニオンで暫くつれづれな時間を過ごす。
 滝澤沙緒里にはこの結果が十分に解る。空母の上で責められた盛高知里以上である。
 
 「さあ。そろそろいい。始めよう」
 二人に電気ショックを与える。
 「ああーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーん。ああはああーーああーーああーー」
 痒みと痛みのダブル責めである。
 下士官が乳房のクリップを取る。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 「があはーーーーーーーーーーーーーーーー」
 二人の強烈な悲鳴が轟き渡る。
 乳房の痛みはまだ甘い筈である。これまでの方がもっと痛かったと思われる。それでも苦しい。そこにもっと辛い痒みが膣を蹂躙している。
 若い将校が一人ずつドリルバイブを持って空回しする。
 「貴方たちが要求するまで入れません」
 女性司会者が宣言する。
 内山莉緒警部補に最早、堪える意味は無い。言う通りに従ってこの場を逃れるしかない。
 内山莉緒警部補と木村史乃警部補は互いを見合す。そして頷く。
 「いれてくださーい」
 「いれてくださーーい」
 異口同音に二人は叫ぶ。
 「本名フルネーム。官名官職。何を。どこに入れるまで言うのよ」
 女性司会者また屈辱的な要求をする。
 「ああーー。内山莉緒警部補。ドリルバイブを。私の性器に」
 おーーーーーー。歓声が上がる。
 「何処の警部補。何課。最初から正式に。性器じゃ駄目よもっと具体的に」
 女性司会者は更に追い詰める。
 「ああーー。あはあーーーーー。警視庁。組織対策五課。内山莉緒警部補。ドリルバイブを。私のお○○こに!。ああーーーはやくうーーーーー」
 おーーーーーー。いいぞーーーーーーーー。
 歓声が更に強くなる。
 「警視庁。組織対策五課。木村史乃警部補ですーー。ドリルバイブを。私のお○○こに。ああーーーーーーーー。はやくうーーーーーーーーーーー」
 将校はゆっくりドリルバイブの先端に装着した極太の擬似男根を、内山莉緒警部補の女の入口を抉じ開ける様に押し込む。
 「ああーーーー。駄目うごかしてーーーーーーー」
 「動かしてほしいか」
 「ああーーー。うごかしてくださあいーーーーーーーー。おねがいいーーーーーーーー」
 内山莉緒警部補は焦らされるのを先回りして言う。その位堪えがたいのである。既にここでは意地を金繰り捨て生き延びると決めている。
 女性司会者はいまいち物足りないが、既に深夜に突入している。適度に終了したい。
 「出港を半日伸ばす」
 ベイソン少将は女性司会者の考えを見透かしたように宣告する。
 木村史乃警部補の方も将校はドリルバイブを入れたまま焦らす。
 「ああーーー。だめですーーーー。おもいっきりまわしてーーーーーーー」
 若い将校はスイッチを探すように焦らす。
 「ああーーーーー。はやくうーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーーー」
 今は少しでも素直に弱い者に成って振舞うしかない。
 ドリルバイブを持った将校らはゆっくりスイッチをローで始動する。
 「ああーーー。もっとつよくーーーーーーーーー。ああだめーーーーーーーーー」
 それでも将校はローで動かし焦らす。
 「おねがいーー。つよくまわしてーーーーーーー」
 木村史乃警部補の叫びに、将校は一気にドリルバイブを膨らませる。バリアブルプーリーの変化の様に疑似男根の太さが変化する。
 それを回転とピストンさせる。
 「ああーーーーーーーーーーーーー。あがああーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。だめーーーーーーー」
 将校は一気にしぼませる。回転も止めてローでピストンだけにする。
 「ああーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー。もっとーーうごかしてーーーーーーー」
 「なんだよ。どっちも駄目って言うじゃないか」
 「ああーーーーーーー。うごかしてーーーーーー。もっとはげしくうーーーーーーーー」
 「早くして大きくしたら、だめーーって叫んだじゃないか」
 「気持ち良くなり過ぎたらだめーって自然に叫んじゃうよ。分かってよーーーーーーー」
 恥も外聞も無い。傷みの上痒みには敵わない。
 「そうかじゃあいくぞーーーーーーー」
 「ああはやくうーーーーーーー」
 一気に膨らまし、速度を上げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーー。ああはあーーーーーーーーー」
 木村史乃警部補は一気に表情を爆発させ躰を震撼させる。
 将校は擬似男根を膨らませたり萎めたり、変化を巧みに演出する。
 木村史乃警部補は静かに成り白目を剥きかけては、轟音の声を上げる。
 内山莉緒警部補の股間は、飛沫が泡を撒きドリルバイブが散らし暴れ捲くる。
 「ああーーーーーーーーーー。いくうーーーーーーーーーーーーー。いくうーーーーーーーーーーー」
 駄目と言えば寸止めされる。だからAV嬢の様に『いくうーーーーー』と叫ぶ。
 AVのシーンは捜査で見ている。その時は不自然と思ったが、これが一番男性を悦ばせると今悟った。
 湯野中らは一応録画を撮っている。
 「どうでしょう。これをお届けしますか」
 「いや、貰っても困る。こっちに来たら見せてもらうよ」
 ベイソン少将も用心深い。滝澤沙緒里のAVとは違う。流出は危険である。
 滝澤沙緒里はこの状況を見ながら、拳を握り締め涙を吹き上げる。
 二人が今の苦しみから逃れる事と、河口晴奈国民党都議会議員の死を目の当たりにして、生き延びて何時か報復を誓う強い意思は理解している。
 その道程の果てしない遠さも充分に分かっている。
 滝澤沙緒里はどうすることも出来ない不甲斐無さに号泣するのである。
 木村史乃警部補は度重なる切り返しの責めに、轟音の悲鳴を流しながら遂に失禁してしまう。
 将校は一本で弧を描く放尿から身を躱しドリルバイブを操縦する。木村史乃警部補は失禁が終るまで狂ったサイレンの様な叫びを上げ続ける。
 内山莉緒警部補はドリルバイブの強烈な責めに、躰を硬直させ捩りクビを回すように悶えながら声を飛ばし続けていたが、一気に静かに成る。
 そこからはドリルバイブの総攻撃にも反応無く、失神した躯状態となる。
 木村史乃警部補への責めは止まない。
 木村史乃警部補は躰を完全に硬直させ大口の悲鳴を流し続ける。
 女性司会者が電マでクリトリスを責めて加勢する。
 「ああーーああーーーーーーーーーーーああーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーー。あごおーーーーーーーーーーーーーー。あごおーーーーーーーーーーー」
 木村史乃警部補の目は真っ白い点が上を向いている。
 躰は静かに微動を続けたままである。
 将校は暫くドリルバイブを稼動し続ける。
 やがて反応が無い事を確認して、擬似男根の膨らみを萎めて抜き取る。木村史乃警部補の膣から濁った白い液が流れ出る。
 滝澤沙緒里はこの状態にむしろほっとせざるを得なかった。とにかくこの地獄が早く終了してほしい一心であった。
 
 二人は全身麻酔で眠らされ専用の台に寝かされる。
 コの字を伏せた形のボックスが躰の上を動いてゆく。モニターから画像を選択して、その位置を躰の線に詳細にセットする。
 モニターに写った画像を見て滝澤沙緒里は驚愕した。
 そこに写っているのは、これまで已む無く見ざるを得なかった内山莉緒警部補の性器である。
 ドリルバイブが挿入されているものを改造したようである。ドリルバイブの代わりに蛇が突っ込まれている。
 画像の編集内容から首の真下が土手になり、クリトリスが乳房の谷間に来る。臍の下まで性器が描かれ、挿入された蛇は太腿まで尾を伸ばしている。
 木村史乃警部補の画像に切り替わる。こっちの性器も本人のものであろうと思われる。構図はまったく同じである。
 二人はこれからこの刺青を抱いて、あの国で囚われの身で生きて行くのである。いつか報復して国際社会に総てを公表出来る日を待って。
 滝澤沙緒里はその場に泣き崩れた。
 将校らは湯野中の贈り物の女を所望すべく各部屋に引き上げた。刺青は下士官と女性司会者で実行している。
 最後に二人の刺青が完了した全身画像が数秒ずつ放映され、拡大して下からカメラがなめて行く。
 動画はそれで終わっている。

 滝澤沙緒里は内山莉緒警部補と木村史乃警部補がR国に偽名で入国していても、日本で行方不明の筈である。それがどうなったか疑問に思った。
 確かに二人は長期休暇を取った。だが、それを過ぎて戻らなければ行方不明者と成る筈である。
 滝澤沙緒里に出来るのは、R国に着いてからの行方不明関連の記事を調べる程度となる。
 それ以上動けば直ちに内山莉緒警部補と木村史乃警部補、更に久保田奈緒子元娼国巡査部長に危害が及ぶ。
 それだけではない。滝澤沙緒里が動いても既に誰も相手にしない。自分のAVが公開されているサイトを見て驚愕した。
 一般の掲示板に書かれている自分への批判。その逆におたくらの評価するコメント。
 おたく系男性の自分のAVへ陶酔するような評価が、更に滝澤沙緒里を絶望に追いやる。
 いくら褒められても滝澤沙緒里には嫌悪以外の何者でもない。更にその人気度はメジャーに強く位置付けられ、超人気AV嬢の立場が確立している。
 国際ジャーナリストとして取材に動く清楚な姿と、色香に塗れたAV嬢の姿が比較され、両サイドの評価がそれぞれのサイトで展開されている。
 最早、実家に帰るのも難しい。家に帰って両親に合わせる顔も無い。
 完膚なきまで情報操作は行われている。
 そして内山莉緒警部補と木村史乃警部補の行方不明情報も無い。

 内山莉緒警部補と木村史乃警部補はD市の病院からT市に移された。刺青をされてしまったので、最早、その女の躰は接待用としては役を果たさない。
 危険を承知で二人を生かすのは、滝澤沙緒里を強制して協力させる人身御供である。
 二人が退院して移されたのは、滝澤沙緒里の住む湖畔の家から少し奥に入って外界と日本人居住区を区分する塀の近く、メイド等が済む住居である。
 滝澤沙緒里の待遇とは雲泥の差になる。そして日本円で一人五万の生活費が毎月支給されるだけである。
 日本人居住区の中では自由に動ける。日本人居住区の通用門を出る事は出来ない。
 日本人なら出入り自由だが、久保田奈緒子元娼国巡査部長共々、この二人は完全にマークされている。
 滝澤沙緒里と盛高知里は湯野中の所有から安形、真紀子の管理下に移されていた。
 湯野中は表面に出る意思は無い。安形の様に大型シティを進出させたりはしない。盛高知里もそのやり方は充分に分かっている。
 湯野中は静かに裏から浸透する。巨大資本がまったくその実態を掴ませない。
 安形、真紀子ラインは表から経済侵入する。
 盛高知里は日本進出の娼国企業の先鋒である。本人の意志に関わらずその立場に置かれ、それに沿った発言をさせられる。
 滝澤沙緒里はシカゴからR国に移った無修正AVのトップ女優である。
 日本では猥褻図画等販売目的所持となり販売出来ない無修正AV。それを娼国、R国から日本に進出させ日本から売上げを吸い上げる。

女衒の國 その七 続女躰崩壊 完
その八 北嶋真紀子の野望に続く


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